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24/11/13 誠実な方のリスクヘッジ

気に入って使っているショルダーバッグの、ストラップ部分が千切れた。

ストラップと鞄本体が金具で繋がれているタイプではなくそのままつながっているので(多分中に軸とか入ってる感じ)、使っているうちに境目がそのまま裂けたのだと思う。

数日前に某大手靴の修理とかやってくれます系ミニットに持ち込んだところ、一度工場に送ってからの見積もりになると言われた。修理の方針も金額も期間もわからないのに長く待つのは嫌だったので断る。近所にある個人の革製品修理店へ持ち込むことにした。

お店は徒歩30分ほど行ったところ、商店街の中にある。散歩にちょうどいい。コロナ禍にはよく行ったエリアだ。大きな焼売がおいしいお肉屋さんと、ふちがパリパリの鯛焼き屋さんと、いつ見ても人で埋まっているフルーツパーラーがある。カルディも西友もある。

日が沈んで人の多くなった商店街を、自転車のオジサンとぶつかりそうになりながら歩いて向かった。知らないカフェができていて、魚屋さんはなくなっていて、フルーツパーラーは夕方早々に閉まり真っ暗で、カルディはコーヒーを配っていた。コロナが大流行していた時期をすごく昔に感じてしまう。線路横のマツキヨは、建物ごとなくなっていた。唐突にベンチが設置され、誰かのゴミがそのままある。

のどかな商店街だなと思っていたが、なぜか唐突にホストクラブに出会う。全く気づかなかった。自分に必要ないものって見てないものなんだな。

地図を見ながらメインストリートを外れて歩く。姿勢のいい人に追い越されたので、自分も背筋を伸ばして歩いた。

商店街も終わりかけのくらい中に、ぽやっと明かりが見えるのが、修理のお店。入口からも作業している人が見えるオープンキッチンスタイル(キッチンじゃないけど)だ。オレンジ色の照明と革製品の雰囲気とで、なぜか飲食店のような雰囲気がある。御夫婦かなと思しきふたりが並んで座っていて、女性の方が対応してくれた。

修理の方針や金額などは男性の方が判断するみたいだったが、間を全部女性が聞き取ってこちらに伝えてくれる。男性と私との直接の会話はない。表情も見えず、謎の職人という感じだった。

お会計を終えてお店を出ようとしたら、最後の最後で男性が話しかけてきた。

「構造的に負荷がかかりやすい場所なので、今回修理しても、いずれまた千切れると思います。動かさずに使うっていうのは難しいとは思いますが、『負荷がかかりやすい場所なんだな』と思っていただくだけでも長持ちするかと」

誠実だなと思った。修理してもまた壊れるよって、意外と教えてくれないことでもある。でも実際手を動かす立場の人なら、ここのリスクまで伝えるのを大事にしていたりするよね。私は広告屋なので、自分がこれを仕事でやると言い訳だの期待値調整だの言われるけれど。じゃあ壊れたらまたお願いしますねと思いながら店を出た。

帰りに焼売を買おうと思ったけれど、お肉屋さんは閉まっていた。修理は2月に仕上がるらしいから、3ヶ月後にまた来よう。

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