最近の語学事情と治安問題

すごく心に刺さる文章を読んでしまったあとは、自分もなにか書き散らかしたくなる。ということで久々のNoteです。この一文目を書き始めてから今回のネタを探してます。

ヨーロッパに来て2回目の冬を過ごしています。思い返せば1回目の冬は本当に素晴らしく最悪だった。今年は寝室のヒーターが故障&洗濯室水浸しだけで済みました。ヨーロッパ生活への期待値が奈落の底まで転落しているのを実感します。12月はびっくりするくらいずっと曇ってて、1ヶ月まるまる通して晴れてた時間が19時間しかないらしいです。東京にいたら2日ちょっとで摂取できる太陽の量。なんでこんな悪天候な地域がヨーロッパの首都を名乗ってるんだろうとか思わなくもないです。EU本部、イタリアとかスペインとかああいう気候のいい地域に置いたらいいのに。

そんな忌々しい天気の街、EUの首都であるところのブリュッセルの公用語はフランス語とフラマン語と2言語あるので、公共の場所ではすべて2言語併記されています。でも実際はフランス語が優位な街で、スーパーで流れているCMは全部フランス語だし、カフェでもレストランでもまずフランス語で話しかけられ、インターホンも電話も全部フランス語。外国人だからって顔見た瞬間に英語で話しかけられる…みたいなあれはあんまりないです。学校以外ではどこ行ってもずっとフランス語フランス語フランス語。逆に英語で話しかけたら多くの場合は英語でも対応してくれるんですが。
というわけで8月からちまちまDuolingoでフランス語を勉強しています。負けず嫌いな性格があのトーナメント制にうまくマッチした結果、いまダイヤモンドリーグ22週目なのですが、チリも積もればなんとやら、理解度0%だったフランス語、いま20%くらいわかるようになり、会話は2歳児程度、読み書きは4歳児くらいになりました。Duolingoなかなかやりよる。

寝室のヒーターが壊れたとき、まぁ実は1年目の冬から調子は悪かったのですが、寝室はまぁ寝るだけなので気にせずにいました。ところが2年目の秋の終わりに久しぶりに暖房を入れたところ、うんともすんとも言わないことに気付きました。
ベルギーの冬って思ってたより寒すぎなくて、いまも7〜12度くらいあります。むしろもうちょっと寒いほうが冬感があって好きなんですけど、1ヶ月に一度くらい、度を越した寒いタイミングがあって、今年は最高気温−7度という日がありました。さすがにこの気温だと、暖房のない寝室は雪山状態(言いすぎ)。室温は6度台まで下がりました。

さすがにこれだけ寒いと寝ながら凍死するのでは、と思ってついにプランパーさんに来てもらうことになったんですが、このプランパーさんは去年にも来てもらったことがあって(水回りのトラブル多すぎない?)、そのときはGoogle翻訳などを使って頑張ったんですけど、今回はプランパーさんが何言ってるかもそこそこわかるし、私が乳児レベルのフランス語で話すこともプランパーさんは理解してくれて、英語に頼らずフランス語で会話が成り立つという奇跡が発生。Duolingoすごい。Duolingoだけでフランス語力を伸ばしてる私もすごい。(?)

3ヶ国語以上話すのが当たり前な人しかいない環境に身を置いてるわけなので、いつもみんなに「英語をしゃべってもらっている」という感覚があります。ブリュッセルにいると基本的にフランス語を話す/話せなくてもわかるひとがほとんどなので、ほっとくと会話はすべてフランス語で進んでいきます。音楽院では公用語が英語なのでまぁ英語のことがほとんどですが、なんかふとした瞬間にフランス語に切り替わって、途中で私がついていけなくなってぽやーんとしてたら、あぁごめん英語だよね、ってなったり、あとはマスタークラスとかだとなぜかもう最初からフランス語のことすらあって、あれ待ってみんなわかる?ゆきはわからんか?じゃあ英語ね、ってなったり。フランス語がわからない人がいるのでそのために英語にしましょうみたいな確認タイムが入るんですよ。まぁみんな何ヶ国語でもしゃべるので英語でもフランス語でも変わらんって感じなのでしょうが、「私のために…🫠」という少し惨めな、というと大げさなのですが、まぁ少し思うことはあります。
たとえばこれがイギリスだったらみんな英語だし、フランスに行けばフランス語だし、ドイツならドイツ語なんでしょうけど、でもこれがベルギーのいいところの一つだと思ってるんですけど、ベルギーだといろんな国から来ている人がいていろんな言葉を話すことが当たり前という価値観が受け入れられてる、と思います。自分の母語をものすごく大事にすることと、他人の母語を尊重することが両立されてると言ったらいいのかな。移民が多いことも影響してるのかもしれません。フラマン語が母語の人にフラマン語を話したら喜んでくれるし、フランス語が母語のフランス語を話したら喜んでくれる、でも相手がフラマン語/フランス語を話さないことももちろん理解して尊重する、みたいな?
まぁ公用語3つある時点で、「ベルギー国籍同士のひとが会話するときですら、お互いの母語が伝わらない(会話できない)ことがある」という単一言語国家ではあまり起こらないことが普通に起こるので、言語に対する考え方が近隣の大国とはちょっと違うのでしょう。スイスとかはもしかして似てるのかもしれない。知らんけど。まぁこれに甘えちゃいけないので、フランス語はもうちょっと気合い入れて続けていきます。

でそんなわけで最近の私はフランス語をもけもけよたよたしゃべるので、私がフランス語を話したいと思っているのを感じ取ってくれる心優しいひとたちが、いろんな言い回しを教えてくれます。たとえば近所のパン屋さんのたぶん店長らしきお兄さんは、あいさつから注文の仕方、パン屋やケーキ屋でこう聞かれたらこう答えたらいいよとか、ものを注文するときに必要なフランス語を全部教えてくれました。いまも行くたびになにか新しい言い回しとかを教えてくれます、ペースが早すぎて覚えられないけど。UnかUneかわからなくなったらdeux頼めばいいよって言われました。それは買わせたいだけなのでは…?そしてまんまとtroisとか言い始める私。
あとこのパン屋さんで「こんにちは!」と話しかけてくれたことで知り合った自称発明家のおじちゃまとは、しょっちゅうWhatsAppでフランス語でチャットしてます。

この発明家おじちゃんは、元奥様が日本人、お子様もいまは日本にいるいうことで少し日本語がわかるらしいのですが、言える言葉は「おしりぺんぺん!」「たからもの🩷」「私は発明家です」、あとさかなさかなさかな〜♪が歌えるらしいです。どんなチョイスや?
私相手にはいつもふざけ散らかしてるおじちゃんなんですが、実はかなりやり手の実業家らしくて、Flageyという大きいコンサートホールがある広場でプロジェクションマッピングとかやってるらしいです。

ご近所さんにはとても恵まれています。同じフラットに住む人たちはみんないい人たちだし(みんな国籍バラバラでこれまたおもろい)、パン屋の店員さんたちもだいたいみんな顔見知りになってタダでホールケーキもらったり😂、治安も比較的いいところなので帰りが夜遅くなっても安心です。

という「このあたりは安全」神話が壊れたのが年末のことでした。あまり書いて特定されたくはないのでぜひ詮索しないでいただきたいのですが、ある夜お風呂上がりにドライヤーしようと思っていたとき、下の階からドンガラガッシャンドシャンガチャガチャバンバン聞こえてきました。だれかご機嫌斜めな住人がスーツケースでも持って帰宅したのかなーくらいに思って気にせずに、YouTubeを見ながら爆音爆風ドライヤーで髪を乾かしました。終わるころには音はおさまっていたので気にも止めていませんでした。てかなんなら忘れてました。ところが翌日出かけるときに0階に入っているお店のドアが派手に割られていて、なかには警察がわらわらいて、夜のうちに強盗に入られていたことを知りました。※人的被害はなし

私が聞いたドンガラガッシャンドシャンガチャガチャバンバンはご機嫌斜めな住人なんかじゃなくて、強盗犯が強盗をしているそのものの音でした。強盗に入られる音なんて人生で一度も聞いたことなくてまさか強盗だとは思わないので、もちろん通報なんかできなかったし、最悪のケースとして「強盗中の建物内から物音がする=住民がいる=襲撃音を聞かれている=だからこの住民も襲って口封じ」みたいになってたかもしれない。発砲音を聞いたことがないから耳にした時に銃撃だと思わなくて、なにこの音?って思って音の理由を探してるうちに逃げ遅れて襲われる、てのと同じやつです。
実は0階に入っているお店というのは、前述の「フランス語を教えてくれてホールケーキをくれる近所のパン屋さん」なんですね。結果的に銃撃犯が襲ったのはパン屋さんのレジだけで、私を含めフラットの住民もパン屋の店員さんにも被害はなかったけど、私たち住民もついでに襲われる可能性があったし、強盗という凶悪犯罪とその犯人がすぐそこにあった/いたという事実があまりにも強烈で、すぐ立ち直れるようなものでもありません。
なかなか割れなさそうな素材で新しく設置されたパン屋さんのドアを見るのは、いまでもしんどいものがあります。
で、あとから知ったんですが、このパン屋さんはこの1年で2回も強盗に襲撃されたらしいです。1年?えわたし1年以上前からここに住んでますが…?2回目……?つまり、、、?(考えるのはやめよう☺️)

てわけでブリュッセルっていま治安がすこぶる悪いんです。いやまぁもともとなんでしょうけどね。でも10月にフィンランド人2名が犠牲になったテロがあって以降、ものすごい勢いで大使館から「銃撃事件のお知らせ」「連続爆発事件のお知らせ」「ナイフでの襲撃事件のお知らせ」みたいなメールが来るんです。各日本大使館から現地邦人向けのメールってそれぞれのウェブでアーカイブが見られるんですけど、こんな勢いでこんなお知らせが送られてる国はほかになかなか見つかりません。ほんでだいたい犯人逮捕されてません。警察なにやってんの〜〜。最近は銃撃事件が昼14時とかに起こるので、もう24時間臨戦体制です。
こんな小さい国のこんな小さい首都で、ものすごい頻度で起こる銃撃事件。知らなかっただけでベルギーは実は銃社会なのか?って思うし、面積や人口比で考えたら銃社会のアメリカより銃撃事件が多いのでは?とすら思えてきます。
銃撃事件に限らず、周りの日本人やアジア人友人たちが、いろんなところでスられたり暴行を受けたり、いろんな被害に遭っています。私は24時間臨戦体制のおかげか奇跡的にまだ何の被害もないですが、いつどんな被害に遭ってもおかしくないです。
なんでただここで勉強したいだけなのに、強盗に怯えて、銃に怯えて、スリと暴行に怯えて、ものっすごい円安に疲弊して、あと大麻とドラッグも蔓延ってて、とまぁなかなかストレスフルです!海外にいるひとみんなえらい。

ところで日本でたまに大麻使用で逮捕みたいなニュースありますよね。アパートの隣人がにおいで大麻に気付いたみたいなパターン。あれに「なんで大麻のにおいがわかるんだ?(わかるってことは使用したことあんだろ)」みたいなコメントがつくことがほとんどなんですけど、ヨーロッパに1ヶ月もいればまぁまずどこかしらで嗅ぐと思いますし、一度嗅いだら二度と忘れないくらいには強烈です。鼻と脳に危険信号とともに刻み込まれます。笑

ベルギーでおそらく一番大きい駅ってブリュッセル南駅だと思うんですけど、この駅はベルギー国外に行く高速電車(Eurostar, TGV, ICE)が発着する場所なので、人の往来がとても多いです。人が多いということは犯罪も増えます。この南駅では日々たくさんの犯罪が起きているらしくて、スリや暴行はもちろんのこと、大麻や麻薬の取引もあるらしいです。この駅で浄化作戦をしたところものすごくたくさんの違法なものが集まったらしいですが、その腹いせというか報復でギャングが街中で銃をぶっ放しました。
(※というニュースをしばらく前に読みましたが、記憶が定かではありません、こんなことが多すぎてどの銃撃事件がどのニュースと関係があるのかわからなくなってます。ということで違ったらごめんなさい。)
これが音楽院のすぐ裏にある大きなショッピング通りでの出来事です。安心して歩ける道がほしいです。

なんかですね、街中で見知らぬ人に急にニーハオ🤭プークスクス🤭ってされたり、シノワ〜🖕🖕ってされたりとか、アジア人差別ももちろんちょこちょこあるんですけど、こんなん声かけてくるだけなら実害ないしほっときゃいいやって思えちゃうくらい、命の危険のほうが身近にあるんですよね。私はスラム街にでも住んでるんか??

留学は精神的に鍛えられる、と言うけど、思ってたのとは違う方面で鍛えられてます。まぁ日本は日本で痴漢やらなんやらあるので…たくましく生きるしかないですね。護身術とかやるかぁ。
あとここまでブリュッセルは危険と書きまくってしまうと来たい!と思ってる人も来てくれなくなっちゃうので、「場所による」ということを付け加えておきます。私が住んでいる場所や学校のあたりはブリュッセル市内でもかなりマシな方だとは思いますが、それでも市街地に近いこともあり、若者が多い印象で、わりと活気があって、閑静な住宅街っていう感じではないです。この超都会すぎず田舎すぎない感じが埼玉の実家のあたりと似ていて私は好きなのですが、もうちょっと市街地から離れてファミリー層が多いエリアとかだったらもうちょっと安心して住めると思います。

今度「24時間臨戦体制の私が送る、スられづらい生き方」みたいなの書こうかなと思ってます。おたのしみに。


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