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研究の目的を明確にするためのビジネスモデルキャンバス活用ガイド

ビジネスモデルキャンバスを用いた研究戦略


アカデミアでの研究活動は、情熱と探求心から生まれるのが理想ですよね。でも、現実には研究費がなければ、研究できません。PIとなった時、実験に使う研究費だけでなく、ポスドクや技術補助員の給与を確保するためには、研究資金を効率的に集める必要があります。

ビジネスモデルキャンバス(BMC)を使い、研究の目的や価値を明確にすることで、頭も整理され、効率的に研究を推進するのに役立ちます。これを元にヒアリングのプレゼンや申請書などを作成すると、研究の意義を効果的に伝えることができるのではないかと思います。

私は、アカデミア時代の後半に、このビジネスモデルキャンバスに出会いました。その後、アカデミアを離れて企業に勤務している時に、個人的にビジネスモデルイノベーション協会のトレーニングに参加してノウハウを学びました。もっと早くにこのツールと出会い、もっと活用したかったと思います。

ビジネスモデルキャンバスは、ベンチャーの事業計画やイノベーションなどの企画に活用されるのが一般的ですが、アカデミアでの研究活動にも非常に有用です。世間のアカデミアの話を読むにつけ、研究がどのように社会に役立つのか、研究者はもっと説明してアピールする方がいいと思うのです。そこで、ぜひBMCを活用して、研究の可能性を広げていただければと思い、以下にその活用法を概略したいと思います。

ビジネスモデルキャンバス

1. 研究の目的を明確にする

まず重要なのは、研究の目的を明確にすることです。
何のために研究するのか?
「そこに山があるから」、とか、「解明されていないことがあるから探求したい」、では不十分です。
・国民の健康を守るため
・便利な生活を提供するため
・特定の病気を治すため
など、具体的な目標を設定します。この目的を基に、どのような研究が必要なのかを考え、予算配分者に理解してもらうことが必要です。自分の研究が社会にどのように貢献するのかを具体的に示すことで、研究の目的が明確になります。

2. 誰のために、何のために研究するのか?

次に、研究が誰のために行われるのかを考えます。ターゲットとなるステークホルダー(患者、医療従事者、一般市民など)を特定し、そのニーズを把握します。また、研究の成果がどのようにその方々の生活に影響を与えるのかを具体的に示すことが重要です。これにより、研究の意義を強調し、予算配分者に対する説得力を高めることができます。

3. どうやって研究を進めるのか?

研究の進め方についても具体的に明確化していきます。研究の方法、実験デザイン、データ収集の手法などもリストアップして、どのようにして目的を達成するのかを示します。これにより、研究の実現可能性を確認します。

4. 誰と協力するのか?

現代の研究は、多くの場合チームワークが必要です。共同研究者やパートナーシップを通じて、研究の幅を広げることができます。どのような研究者や機関と連携し、相互にどのようなメリットがあるのかを考えて、研究の信頼性を高めます。

5. 経費がどのくらい、何に必要なのか?

予算の詳細についても具体的に考えていきます。
研究に必要な経費(人件費、設備費、消耗品費など)を具体的にリストアップし、それぞれの項目がどのように研究の目的に貢献するのかを考えます。
これにより実現性を自身で評価することができます。

6. 必要な技術や人材

研究に必要な技術や人材についても具体的に考えます。
その研究に、どのような専門知識や技術を必要なのか?
どのような機器が必要なのか?
それをどのように確保するのか?
特に、自分だからこそできる研究の特徴や強みを明確にして、オリジナリティーを生かした研究計画を考えます。

7. なぜ自分がやるのか?

最後に、自分自身の研究への情熱や動機を整理しておくことも大事です。
なぜ自分がこの研究を行うのか?
どのような背景や経験があるのか?
を整理しておくことで、自己説得力を高め、モチベーションを維持できます。また、手伝ってくれる共同研究者、ポスドク、大学院生、技術補助員さんへの説明にも役立ちます。

ビジネスモデルキャンバスを研究に活用してみる

結論:ビジネスモデルキャンバスを研究に活用する利点

ビジネスモデルキャンバスを用いることで、以下の利点が得られます。

研究の目的や価値の明確化
必要な予算、人材などについての戦略立案
研究活動の現実的な側面の分解と実現性の向上
説明資料や申請書作成の効率化
研究費獲得の可能性向上
周囲の理解と協力の獲得
研究の全体像の把握と関係者とのコミュニケーション円滑化

このnoteが皆さんにお役に立てれば幸いです。