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MSC再生医療製品についての情報整理 2025.01.23

世界的で承認されているMSC製品についての情報

Bioinformant で現在、世界で販売可能なMSC製品12種類が記載されていました。そこで、それぞれを深堀して、随時アップデートしていきたいと思います。
(更新した際にはタイトルの日付を変更していく予定です)


MSCの細胞医療製品の現状

・2025年1月において、世界で販売可能なMSC製品は12種類
・2024年12月、米国内で初のMSC製品として Mesoblast LimitedによるRyoncil®(remestemcel-L)を承認
・武田薬品のAlofiselは、2024年12月13日に自主的に撤回
 (臨床データにより臨床的利点が正当化されないことが判明したため)

  • 韓国

    • アンテロジェン クイーンセル

    • Pharmicell  Cellgram AMI

    • アンテロゲン キュピステム

    • Medipost  Cartistem

    • Corestem  NeuroNataR

  • 日本

    • JCR Pharmaceuticals  Temcell HS

    • ニプロ株式会社 ステミラック

  • ヨーロッパ

    • Chiesi Farmaceutici  Holoclar

  • インド

    • Stempeutics  Stempeucel

  • イラン

    • Cell Tech Pharmed  MesestroCell

  • カナダ・米国

    • Mesoblast Ryoncil (Remestemcel-L)

  • 中国

    • プラチナライフエクセレンス社 ヒト臍帯由来MSC製品(アミメストロセル注射剤)「瑞博生」(hUC-MSC PLEB-001)に条件付き承認Ruiboshengというブランド名
      中国初のヒト臍帯由来間葉系幹細胞(hUC-MSC)製品

Mesoblast社 Ryoncil®

2013年10月 Osiris 社は、オーストラリアのMesoblast Ltd.(Mesoblast社)にProchymalに関する事業を譲渡し、以後はMesoblast社で開発が行われている。

テムセルHS注 CTD 第1部(モジュール1) 1.5 起源又は発見の経緯及び開発の経緯によれば
Osiris 社は、ステロイドによる標準的な初期治療に反応しないグレード B~D の急性 GVHDを対象としたProchymal(一般名:remestemcel-L)投与の安全性と有効性を評価する第Ⅲ相臨床試験(280試験)を、米国、カナダ、欧州、オーストラリアで実施

〈試験結果〉
 主要評価項目(28日間以上持続するComplete Response (CR))においてプラセボ群に対する優位性を示すことができなかった。
 しかし、比較的重症例である肝、消化管GVHDを有する被験者においては、プラセボ群に比して Prochymal 群で有意に高い反応率が認められた。また、小児においても高い反応率が認められた。
 安全性においては、両群ともにすべての被験者で少なくとも1件の有害事象が発現した。1名あたりの有害事象の件数、1名あたりの重篤な有害事象の件数、1 名あたりの副作用の件数、感染症の発現率、原疾患の再発率のいずれにおいても両群で差はなかった。
 小児被験者集団、小児対象のExpanded Access Program、及び様々な治療に抵抗性を示した小児を対象に人道的投与を行った緊急使用試験を併せて解析を行った結果、小児における高い反応性が示された。

〈承認〉
2012年5月 カナダで承認
急性移植片対宿主病(GVHD)の小児患者の治療として市販承認。製造済み幹細胞製品に与えられた世界初の規制承認。GVHD治療薬が承認を受けたのも初めて。
2012年6月 ニュージーランドで承認
2025年1月 米国で承認
青年および十代の若者を含む生後2か月以上の小児におけるステロイド抵抗性急性移植片対宿主病(SR-aGvHD)に対する治療製品

JCRファーマ株式会社 テムセルHS注

テムセルHS注 CTD 第1部(モジュール1) 1.5 起源又は発見の経緯及び開発の経緯によれば

2003年8月 米国Osiris Therapeutics Inc.(Osiris社)とライセンス契約締結
hMSC製剤(Prochymal)の技術導入
米国Cambrex BioScience Walkersville, Inc.(Cambrex 社)から輸入したヒト骨髄液を用いて hMSC製剤(JR-031)を製造、開発
ラットにおける安全性薬理試験(中枢神経系及び呼吸系)及びカリオタイプ分析試験を追加実施
血液がん関連染色体検査、軟寒天コロニー形成試験を実施し、安全性に問題ないことを確認
2006 年 8 月 「細胞・組織を利用した治験薬の品質及び安全性の確保について」に基づいて申請
Osiris 社で実施された非臨床試験、臨床試験及び JCR で行った上記非臨床試験
2007年6月 指針適合の確認(薬食発第0621007号)。

・同種造血幹細胞移植後に発症した標準治療抵抗性のグレードⅡ~Ⅳの急性GVHD患者を対象とした第Ⅰ/Ⅱ相試験(JR-031-201試験)及び継続調査(JR-031-202 試験)を実施
:より重症度が高い(グレードⅢ~Ⅳ)ステロイド抵抗性(標準治療の他、ステロイドパルス療法を含む)の急性GVHD患者を対象とした第Ⅱ/Ⅲ相試験(JR-031-301試験)を実施

〈試験結果〉
JR-031は生命予後が不良で治療法が確立していない造血幹細胞移植後のステロイド抵抗性急性GVHDに対して高い有効性を有することが示唆された。
臨床上問題となる有害事象及び間葉系幹細胞の投与において、理論上、その可能性が懸念された異所性組織形成等の特徴的な有害事象の発現は認められなかったことから、安全性について特筆すべき問題はないと判断された。

2015年 日本にて、テムセル®HS注[一般名:ヒト(同種)骨髄由来間葉系幹細胞]承認
造血幹細胞移植後に発症する重篤な合併症である急性移植片対宿主病(急性GVHD)の治療製品
健康な成人から採取した骨髄液からヒト間葉系幹細胞(MSC)を分離し、拡大培養した同種製品

ヘリオス社 MultiStem

1995年 Athersys, Inc.(アサシス、オハイオ州)設立
2007年 米ナスダック市場上場
2023年 上場が廃止
2024年 破綻したAthersys, Inc.(アサシス、オハイオ州)から全資産取得
体性幹細胞再生医療製品「MultiStem」の開発・製造・販売に関する権利を単独で獲得
「MultiStem」は、脳梗塞急性期と急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治療薬として開発中