ゴッシーが行くvol.32《エクスタシープリーズ》

指揮者名言集その10
v. ノイマン 《エクスタシープリーズ》

メロディは
いくつかのフレーズで出来ている

更に、フレーズは文章でいえば単語にあたる複数のフィギュア(Figure)形で出来ている




現場の音楽家にとって重要な事は
3つのポイント

「始まり」「終わり」「目的地」

が メロディにもフレーズにも
フィギュアにも、それぞれにあって
この3つをはっきりさせないと
聴いているお客さんが
眠くなってしまうという事なのだ



作曲家は 「目的地」に

fz  やアクセント、装飾音等を書いて
ヒントを与えてくれているが
フレーズの「目的地」は
演奏者に ある程度、任されており
正解がひとつだけではないところが
悩ましいところだ



大手のレコード会社、クラムフォンや
フィリップスで
ベートーヴェンやブラームスの
シンフォニーの録音をした事があるが
ディレクターが口を揃えて言うのは
ディレクション、目的地に向かう動きと目的地をハッキリさせてくれ
だった



ベートーベンより以前の音楽は
楽譜にヒントが少なく
ベートーヴェンの楽譜のように
目的地の目印 、fzやアクセント、trが
頻繁に書いてある訳ではないので
目的地をアタックし過ぎると
不自然になってしまう

特に

モーツァルトの音楽は
少ないヒントから
「始まり」「終わり」を割り出して
「目的地」を探り当て
フレーズを理解する事も出来るが

まるで 川の流れている風景や 海の波のように自然現象のような音楽なので
無理に動きを作ると
(目的に向かう作為的な動き)
音楽が壊れてしまう



友人の天才ピアニスト
清水和音は
モーツァルトの音楽は
ドーレミファソラシドーシラソファミレドー
だけなのに
素晴らしいんだから
どうしようもないよと言っていた
名言である




話しはノイマン先生だった

先生は この 目的地に着いた時の
ヤッター!という感激や気持ちいい!
を 実に解りやすく
ここで   エクスタシーをお願いします と言っていた

楽団員の人気は抜群で
N響には立派な指揮者用の大きな椅子があったが、これはキライだと言って
小さな折り畳みイスに座って指揮をしていた




練習は ご自分で歌って
こういう風にお願いしますという
注文も勿論あるがとにかく 褒めまくる



チャイコフスキーのSym
悲壮をやっている時だった   2楽章のチェロのメロディ
#ファーソーラソラシ #ドレシ#ドー を先生はブラボーと言いながら振り始める

先生!私たち まだ弾いていませんが と思いながら
みんな笑う→身体がリラックスする→音が良くなる→人気抜群




ある年いつものように
エクスタシー!と言っていたが
言っている事が良く理解されて
いないと思ったのだろう
なんと今度はオルガスムス!
と言い出した    先生!たのむよ
メンバーには女の子もいるんだから

私たちがどんな顔をして良いやら
キョトンとしていると
先生 も少し恥ずかしいのか
オルガスムス→オルガッスム→オルガ と だんだん短くなっていったが
あの年は オルガ    オルガ
オルガの連発だった

本番で
エクスタシーのポイントのところで
先生を見ると
音楽を抱きしめるような
ジェスチャーをしていた

素晴らしい音楽家だった

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