【ナタン・ミルシテイン, 1904-1992🇺🇦ウクライナの芸術家シリーズ20】
20世紀のヴァイオリンの巨匠ナタン・ミロノヴィチ・ミルシテイン(Nathan Milstein, 1904(旧暦1903)-1992)はロシア帝国オデッサ(現ウクライナ)生まれ。
音楽には無縁のユダヤ系の中流家庭の生まれだったらしいが,ミルシテインが7才の時,当時11才のヤッシャ・ハイフェッツのコンサートに感動した両親が我が子をヴァイオリニストにしようと習いに行かせたらしい。そのときに習ったのがダヴィド・オイストラフの教師でもあったピョートル・ストリヤルスキー。ストリヤルスキーはレオポルド・アウアーの孫弟子,アウアーの曾孫弟子,またニコロ・パガニーニの孫弟子にもあたるという,なんともすばらしい系譜の中にいる人物だ。ミルシテイン自身も11歳の時にアウアーのいるサンクトペテルブルク音楽院へ行き,最後の弟子となる。
18才のときキーフでコンサートをした時,当時まだキーフにいたウラディミール・ホロヴィッツ(Vladimir Horowitz, 1903-1989)と,その姉でやはり名ピアニストとなるレジナ・ホロヴィッツ(Regina Horowitz, 1900-1984)と仲良くなる(ウラディミールとレジーナの過去記事も見てね)。
ミルシテインは,「いやぁ,ホロヴィッツの家にお茶に呼ばれて行ったら,そのまま3年間一緒にいることになっちゃったよ」なんて言っていたくらい仲良くなり,ホロヴィッツ姉弟とは共に演奏旅行にも行くようになる。
動画は1986年のミルシテインの最後のリサイタルのときのシャコンヌ。82才でこのゆるぎない演奏は信じられない。一つのコンサートを弾ききるには,かなりの精神力(集中力)も体力も必要。僕なんか,このミルシテインよりは大分若いはずだが,1レッスンを乗り切るだけで疲労困憊だ。