【今日のバッハのカンタータは?】2024/7/2(火)聖母の訪問
WHICH BACH CANTATA TODAY?" (「今日のバッハのカンタータは?」)の 2024年7月2日の記事の和訳です。以下,一部訳注やリンクの追加をしている以外はほぼ直訳です。原文の著者Michealの許可を得て翻訳や画像引用をしています。
エリザベト訪問
2024年7月2日 - 7月2日は、バッハの時代における「聖母の訪問」(Visitation)の祝日だ。現在は5月31日に祝われることが多いが、ドイツでは今でも7月2日だ。この日のためのカンタータが3曲ある。 どれも、ライプツィヒ時代のものだ。
バッハはもともと、ワイマール時代の待降節第4主日のために「心と口と行いと生活で」《Herz und Mund und Tat und Leben》BWV 147を作曲した。しかしライプツィヒにおいては、待降節は「閉ざされた期間」(Tempus Clausum)と呼ばれ、ミサのおける音楽演奏を含む,あらゆる祝祭的な活動が厳しく制限されていた。そこでバッハはこの素晴らしいカンタータが無駄にならないように少し修正を加え,トマス教会でこのカンタータを1723年に演奏した。こちらの作品番号は147aとなっている。
この曲の最終楽章には、「イエスは変わらざるわが喜び」《Jesus bleibet meine Freude》と題名が付けられている。この曲は,故マイラ・ヘス女史がピアノ用に編曲した「主よ、人の望みの喜びよ」《Jesu, Joy of Man's Desiring》により大変に有名になり、人気を博している(実は私も若い頃、この作品をピアノで弾いたことがある)。ネルソン・フレイレによるヴァージョンも追加したが、こちらはヴィルヘルム・ケンプによる編曲だ。
「我が魂は主をあがめ」《Meine Seel erhebt den Herren》BWV 10は、1年後、1724年の作品で、バッハがコラール・カンタータ・サイクルを始めたばかりの時のものだ。このカンタータには、ルター自身が翻訳し、「ドイツ・マニフィカト」として知られるドイツ語訳のマニフィカトが使われている。
最後の作品「マニフィカト」BWV243は、バッハがラテン語のテキストを用いて作曲した最初の主要作品である点で普通のカンタータとは異なる。ルターはミサでラテン語を使うことを,「聖母の訪問」などの特別な日以外では禁じていた。
バッハがこの変ホ長調のマニフィカトを1723年の「聖母の訪問」の日,つまり、上記のワイマール・カンタータBWV147の改訂版と同じ日のために作曲した。その後、いくつかの楽章を追加し、その年のクリスマスに再演した。こちらの作品番号はBWV 243aとなっている(私のクリスマス用プレイリストでも聴くことができる)。
1733年の「聖母の訪問」の日のために、彼はこの原典版を修正し、いくつかの楽章の楽器編成を変更または拡大し、トランペット・パートの演奏上の理由で変ホ長調からニ長調に変更した。これが,今日一番よく知られているるマニフィカトの版だ。
Music for today
Herz und Mund und Tat und Leben, BWV 147
(first performance 2 July 1723, Leipzig period)Meine Seel erhebt den Herren, BWV 10
(first performance 2 July 1724, Leipzig period)Magnificat, BWV 243
(first performance 2 juli 1733, Leipzig period)
Extra information
オランダ・バッハ協会のウェブサイトには、より詳しい情報とBWV 10の演奏が掲載されている:
https://www.bachvereniging.nl/en/bwv/bwv-10/
Playlist
WBCF0702-Visitation