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【Vladimir de Pachmann, 1848-1933🇺🇦ウクライナの芸術家シリーズ9】
ピアノギークなあなたなら,きっと知ってる伝説の名ピアニスト,ヴラディーミル・ド・パハマン (1848-1933)もオデッサ(ロシア帝国,現ウクライナ)出身。ショパンは1810年に,リストは1911年に生まれているので,その少しばかり後の子ども世代になる。
オデッサ大学の教授だった父親はかなりの腕前のアマチュアのヴァイオリニストで,ウィーンでベートーヴェンやウェーバーらにも会ったことがあるとか。パハマンはこの父親に18歳まで音楽を習い,その後,ウィーン音楽院でピアノをカール・ツェルニー(Carl Czerny, 1791-1857)の弟子のヨーゼフ・ダックス(Josef Dachs, 1825-1896)に,作曲をアントン・ブルックナー(Anton Bruckner, 1824-1896)に習う。(wikipediaの日本語版には 「カール・タウジヒの弟子のヨーゼフ・ダックス」とあるが,これは間違い)
パハマンの名前に"de"と入ってるのは,パハマン自身が気取って入れた称号で,演奏中にもよく喋る変人系ピアニストとして紹介されることが多い。
ステージに出てきてピアノを弾くかと思ったら,不満げに椅子を上げたり下げたりを何度も繰り返した後,舞台裏からデカい本を持ってきて椅子の上に置いてみて首を傾げ,最後に本から1ページを抜き取って椅子に置いて満足そうに座って拍手を催促したりしたという逸話がある。パハマンがあまり喋らないでコンサートをしていると観客が怒ったなんて話もあって,今ならIgudesman & Joe, 20世紀ならVitor Borge みたいな感じかなと思う。
そんなこんなで,口の悪い批評家はパハマンのことを「ションパンジー(ショパン+チンパンジー)」と呼んで「ショパンをBGMに下手な芝居をするやつ」とか言っていたが,ピアノの魔術師ともよばれるパハマンの演奏は信じられないくらい軽やかで表情豊か。その音は,ビロードや真珠の音とも形容される。 時折即興的なアレンジも交えた演奏は生き生きとして,まさにその瞬間に生を得たような音楽を聞かせてくれる。
こちらの動画はリストのリゴレットパラフレーズのパハマンによる編曲。ピアノロールなので本当の演奏とは少々違うはずだが,それでも軽やかなタッチと自由闊達なフレーズ作りを堪能できる。気に入ったらショパンの子犬のワルツ(前口上付き)や,エチュードなども聞いてみてほしい。
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