石巻の街並みをFoveonと散歩する。
仕事でも遊びでもなく、縁あって石巻へ。向こうで何に出会うかわからないときはできるだけ身軽に。ここぞというシーンに出会ったら撮ろうと、コンパクトなdp3 Quattroを1台だけカバンに忍ばせて向かった。
このカメラ、小型だからスナップ用かと言われるとちょっと違和感がある。例えるならば、浜辺できれいな小石や貝殻を拾い上げてしまうような、街なかのそんな瞬間だけを切り取るカメラだ。
dp3 Quattroというカメラ
Foveonセンサーという独特のセンサーを搭載しており、手触りがわかるようなリアルな質感を伝える唯一無二のカメラ。ただその解像感は諸刃の剣で、手軽に1枚さっと撮るのには向かない。だからこそ被写体にしっかり向き合って撮ることができるので、私は大好きだ。
横長で薄べったい外観も特徴的で、アートに造詣の深いこだわり派の方々からよく褒められます。それもそのはず、プロダクトデザイナー・岩崎一郎氏のデザイン。
そんなこだわりのカメラを持って、石巻のまちなかを散歩した記録です。
2月のある日。石巻1日目。
一泊二日の旅程の1日目。午後に空き時間ができたのでいそいそとdp3Quattroを持って散歩にでた。
石巻は、江戸時代から続く港町。港町として栄えた当時、まちの玄関だった北上川の方に向かう。
このあたりに船がつき、たくさんの積み荷や人が行き交ったらしい。
川べりを散歩した後、すぐそばの天ぷら屋さんでお昼ご飯。
お昼食べて、少し用事して、夕焼けをみようと高台を目指す。日和見山公園へ。急坂を上る途中、大日本製紙の吐く息が、雲とたなびく様に興奮しました。空中に浮かんでいるかと思った。
住宅街から登ること10分、頂上に着きました。すべてが優しい赤橙に染まる。
頂上の駐車場には、おそらくもう営業していないレストラン。3面窓ガラスから夕陽が射しこみ、美しい時間です。
頂上には大きな鳥居が海に向かって建てられています。
鮮烈な夕陽に浮かされて、たくさん撮ってしまう。
夕陽の中、来た道を戻る。
この後、帰り道はもう影になっていて、黄昏時。
Foveonセンサーは暗い場所に弱いので、もうこれ以上は撮れない。夕焼けの余韻に浸りつつ、宿に帰って、この日の散歩は終了。
石巻2日目。
朝ごはんを食べに宿を出て、そのあとお散歩を再開。
少し宿で用事を済ましてから、気になってた本屋さんとコーヒー屋へ。
新刊だけの書店なら、きっと買うことのなかったような本と出合えるので、時間があれば古本屋さんには寄ってしまう。のんびりした時間を過ごしているうちに、静岡へ帰る時間となった。
穏やかな時間の余韻と共に仙台へ特急で1時間、仙台から東京まで「はやぶさ」で1時間強、さらに東京から静岡へ1時間。飛ぶような速さで石巻が遠ざかり、現実に戻りました。石巻でこれがしたかった、という悔いはないはずなのに、今も名残惜しさを感じています。またきっと訪れてしまいそう。そしてそのときも、Foveonのカメラだけを持って行くんだと思う。
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一つ前の投稿では、石巻に訪れた理由や特徴をもう少し詳しく説明しています。このまちのもつ魅力やしなやかさが伝われば嬉しいです。
ご参考)Foveonセンサーの魅力
今日は、dp3Quattroが発売されて8年目。8年たってもここまでたくさんのファンに愛されるガジェットなんて、他にあるんだろうか。君のかわりになる存在なんてない!
過去にも何度か、このカメラへの愛をしたためています。