令和の和氏之璧 2023年下半期Vtuber楽曲10選
我ら人間が日々の暮らしに汲々としているうちに2023年は最後の月となり、恒例の発起宣言が出る季節となった。その間に素晴らしい音楽作品は次々生まれ、追いきれない文化の奔流にただ流されていく。「人の時間は早いね」というエルフの感慨が現実の我々に深く突き刺さる。
今年1年でリリースされたVTuber楽曲はオリジナル・カバー併せて9000を超える。その中から下半期にリリースされたオリジナル曲・カバー曲各5作品をピックし、上半期分と合わせて今年の10選としたい。
↓上半期編はこちら
オリジナル曲編
①とあるVTuberの歌枠
\本音言えばまだ寝たぁーーーーーーい!/
百日の眠りから覚めしランプの暇魔人、新島らんぷの日常。朝配信に臨むVTuberの裏側はこんなどったんばったん大騒ぎなのである。
それでも元気をあげたくて、元気を貰いたくて。現代の片隅で行われる善意のギブアンドテイクが末永く続きますように。
余談だが、ストリーミング向け音源では最後の台詞が異なる。可能であればストリーミング版を聞いていただければ、そちらの台詞に「なるほど!」と得心するはずである。
②Glory sun
醒めないままで見ていてね
陽光の使者、陽月るるふの世を照らす1stシングル。王道バンドサウンドの名手buzzGがもたらした眩いばかりの後光は彼女の意志の強さ。
MVにはライブで大観衆の喝采の中、本楽曲を歌う彼女のイメージを落とし込んだという。それが夢物語で終わると思う者はないだろう。
③リアルタイムスーパーマーケット
勢いだもう一回 行けけGo Let's Go!
日本中の才が集い覇を競ったぽこピープロデュースから1年3ヵ月。ぽこピーと選ばれた3人が満を持して披露した楽曲は、アイドル然としながらもその内容は荒野を征く開拓者の覚悟と決意。いずれ何かの一部になるのが定めと知ってなお、彼女らは歩みを止めることはない。
④Futurescape
未来へと 誓い掲げて
アニメを愛しアニメに愛されたサブカルの寵児、黒咲ルシアが投げた乾坤一擲の叫び。
活動3周年記念として制作された本楽曲の歌詞はこれまでの活動の総括と未来への宣誓、共に歌ったVsingerたちは活動の中で得た天下無双の仲間たち、クリエイターは活動を通して見つけ出した百戦錬磨の天才揃い。MVの全てが3年間の結晶。
サビのバックボーカルをコーラスでなくあくまで「シングアロング」としているのは、ライブで聴衆に共に歌ってほしいとの思いからという。来るべきその日に向けて我らは声出しの訓練に励もう。
⑤ソワレ
君へ詠み継がれる 僕たちの物語
不世出の魁星、星街すいせいが踊り明かす大喜劇。おしなべてペシミスティックな楽曲が得意な星街が大きくイメチェンした一曲。この世は差し渡し4万kmのダンスフロア、全ていずれは大団円に終わると決まっている。浮かない顔の君も、悲しみに暮れるあなたも踊らな損損。今日もブチ上がろうぜ、お天道様の見ぬ間に。
カバー曲編
⑥リアライズ/桜あおい
憧れだけじゃ終われないから
全知全能のポップスシンガー、桜あおいが放った希望の光。未来を生きる挑戦者のための楽曲は、正にこんな力強く伸びやかな声で歌われるべき楽曲と我ら人類は気づいたのである。
⑦Happy Halloween/古今こま
もうない?それなら悪戯の餌食ね
純粋無垢の神の使徒、古今こまと年に一度の宴で遊ぼう。何にも怖くないよ?ちょっと魔法にかけられるだけさ。報酬は山盛りのお菓子でいいよ。
一度イエスと言ったが最後、その透き通る瞳、天真爛漫な笑顔からもうあなたは離れられない。
⑧想像フォレスト/町田ちま
世界はさ、案外怯えなくていいんだよ
全てを包む向日葵の揺籠、町田ちまのマスターピース。揺らぎ移ろう感情を描写させれば天下一の町田が、この曲をカバーするのは宇宙開闢以来の定め。彼女のいない世界は、今より味気なく空疎なものになろう。
⑨ボルテッカー/宙月ティラ
もっともっと 私を見てよ
天を衝き地を裂くロックシンガー、宙月ティラがVTuber音楽シーンに仕掛けた大勝負。パワフル&エネルギッシュな彼女の歌声は10万ボルトどころではない、「聴くエナジードリンク」の異名は伊達ではないと分かる。
宙月は現在はオリジナル楽曲制作費のクラウドファンディングを募集中。楽曲完成の暁には、天地は返り神々は宙月に平伏すであろう。
⑩怪獣の花唄/Noizee
ねえもっと 騒げ怪獣の歌
クールでスタイリッシュなシンガーユニット、Noizeeの記念すべきデビュー作。この爽快感と優しさこそが本楽曲のコアであり、素晴らしい再現度で歌い上げている彼らの今後は大いに期待できる。
Noizeeは男性歌い手/YouTuber/Vtuber6人が集まって今年8月に結成されたばかりの歌い手グループ。元々個人でもシンガーとして名高い実力派が集まったグループは今後も目が離せない。
この10本+上半期の10本の計20本を以て2023年の総括としたい。来年はVtuber音楽シーンのさらなる隆盛を見られることを祈念する。