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2-05「二人劇」

7人の読書好きによる、連想ゲームふう作文企画「杣道(そまみち)」。 週替わりのリレー形式で文章を執筆します。

前回は屋上屋稔の「トビとジェラート」でした。今回は葉思堯の「二人劇」です。それではお楽しみください!

【杣道に関して】
https://note.com/somamichi_center/n/nade6c4e8b18e

【前回までの杣道】
2-04 「トビとジェラート」/屋上屋稔
https://note.com/qkomainu/n/n67b74aa7e1dd?magazine_key=me545d5dc684e
2-03 「陽の光もなく」/S.Sugiura
https://note.com/ss2406/n/n925e6e4f1f3f?magazine_key=me545d5dc684e
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-劇を見た。何人かの登場人物がいて、あの色になったりその色だったり、これにまたこれを塗り重ねて、その色に戻ったから、大体冬から一巡りしてまた冬に入りかかるくらいの時間が経つ。その間、ずっと一つの葛藤があったようで、動いていても、じっとしていても、話をしていても、ザラッ、と音が聞こえた後は、それは何度かあったの、とても綿延となる。


-そういうふうに落ち着くのは良くありません。


-……ザラッ、と音がして後は、その度に目まぐるしいほどの乱雑さが目の前を覆いーー (閉まっている磨りガラスの窓を見つめ動かなくなる)


-もっと勢力的に、いいえ、勢力というのは付け加えるわけではありませんので勢力的にと言うのは今この瞬間においても、傾いていることを捨象せず、状態において混沌を言うその単純さに帰結せず、ただただ落ち着くわけにはいかないのです。


-その葛藤は実に細微で、全くもって差し迫ったものではないのだけれど、細微であるがためにそれよりも大きさの大きいところであればあらゆるところに忍び込み、つまりまずは気に触れる出来事自体の数が増え続け、次はと言うと、それらの出来事とそれらが届く周辺は、たとえ似ていると言えてもそれは互いに異なっているわけで、そのすべてが現存する一つの何かに似ているということは決してないから、性質の数が増え続けたの。


-おもしろくない劇だということはわかりました。 (散らかっているジェンガのブロックを手に取って観察し、気に入ったものを口に差し込む。四つのブロックを噛んだところで口がいっぱいになった。)


-(口に入れられたジェンガの端の方を一つ取り上げる)


-(少し隙間ができた口で)私が言いたいのは、一つも話がわからないじゃありませんか。リンゴでも狼でも、何か出てきませんでしたか?リンゴでも狼でも、何か出てきていれば、そこから話がわかってくるのです。


-そう埋め尽くされてしまうとーー


-と?

-(取り上げたジェンガを口に入れ)……ぼくは会話をやめるつもりはないのだけれど、リンゴは木に生っていて、狼は群れで暮らしている、あれはそういうお話。

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次週は1/24(日)更新予定。担当者は親指Pさんです。お楽しみに!

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