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ビジネスジェットの利用促進に向けての課題
ビジネスジェットはさまざまな構成要素を元に稼働しています。その一部分でも不具合があれば、ビジネスジェットの運行に支障をきたします。ビジネスジェットを受け入れる空港ターミナルの場合、以下のケースが揚げられます。
空港ターミナル
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一例として北の拠点、新千歳空港にはVIP 専用レーンがなはく、他の定期便の乗客列に並び続けなければならないのがネックです。
羽田空港や成田空港のビジネスジェット専用ターミナルは 1 回利用で約 25万円程度。利用するゲストは多いようです。
新千歳空港でも、専用のターミナ ルを作らなくても特別レーンを用意する方法もあります。
最近始めた中部国際空港では、特空いていたスペースを少し改装して、使用料は 1 回 15 万円程度で、首都圏の空港よりも安価のため、利用が伸びてきています。
スポット・駐機場
ビジネスジェットの場合、オープンスポットに止めさせられる空港は敬遠される傾向があります。新千歳空港は機体の国籍に限らず基本的に冬は降雪の影響で駐機できないのが障害です。
新千歳空港は 12月1日〜3月31日の間は原則すべてのビジネスジェットの駐機が不可となるので、冬期間は定期便や増便運航も含め駐機場が不足します。
1週間程度駐機すると、雪に埋もれて出せなくなることもあります。
また、新千歳での旧共産圏機の駐機制限は、通年で駐機希望であれば金曜午後から日曜までとなります。
例えば機体が米国籍でも運航会社が中国系だと規制対象になり、駐機時間が限制約されるようです。
新千歳の代替駐機場所として、5〜6年前は函館が多かったが、近年は成田空港、関空、セントレアが多い。
これらの空港は、雪が降雪がほとんど無いことと、成田空港はスポットが多いのです。
特に関空・セントレアは 24時間対応空港というのが強みです。
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空港からの移動手段
空港到着後の移動手段は新千歳で言うと専用車が大半です。首都圏以外の主要空港に言えるのですが、高級車の手配がて困難な現状です。
マイバッハやベントレーをはじめ、ベンツ・BMWのリムジンがないそうです。
一部北海道内のラグジュアリーホテルに送迎車がある程度です。
アジア富裕層に人気のある観光地、北海道の場合、基本的に新千歳からの移動は車です。
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アルファードやハイエースのハイヤー手配が多く、なかにはマイクロバスの貸し切りや、自分でレンタカーを運転する客もいます。
荷物が大きいのでセダンではなく大型ワゴン等を手配することが多いが、冬場になると大型ワゴン車が足りなくなることがあります。
その場合は、2~3 人であってもセダン 2 台を手配することもあります。
新千歳空港からニセコまで車で3時間近くかかるので、移動手段をヘリコプターにする富裕層も少数派ですが存在します。
ただ、現状の新千歳の体制だとビジネスジェットを降りて、一旦旅客ターミナルで入国手続きをして またヘリに乗るためにターミナルを上がる動線になります。
車ならその間にニセコについている。
成田でもビジネスジェット旅客用のヘリサービスをしていたが、同じように動線が長すぎるということであまり広まらなかった。
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ケータリング
ケータリングができるかは重要です。
このケータリング手配の如何でクルーの評価に直結します。
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1人あたり 1~3 万円程度が相場。 人気があるのは寿司やうな重など。
居酒屋メニューで定番の枝豆、焼き鳥なども食べてみたいということで人気がある。
新千歳周辺でケータリングの調達先が少なく、希望のメニューの手配が困難なことが多い。また近くのスーパーを駆けずり回って自分達で探すことも多々あるのです。
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CIQ関係
ビジネスジェット受け入れではCIQ の縦割り行政が最大の障壁。
佐賀空港は佐賀県で CIQ含む関係機関との事前調整をまとめて対応してくれており、ビジネスジェットの利用が増加してます。
アメリカは入国空港が決まっていて、入国手続きを警察が一手にやってくれる。そこで手続きをすれ ばその先の国内移動は自由なので楽。シンガポールは CIQ業務をまとめて委託業者が受けており理想的。
CIQのない地方空港に行くのに内航機変更(内変)という方法がありますがクルーはあまりやりたがらない傾向があります。
特に地方空港はCIQが常住しておらず、時間によっては対応困難なこともあり得るのです。
海外では、CIQ 職員が飛行機に行って手続きをする空港もあります。
どうしても冬場に運航が集中するので、ターミナルで列に並ぶよりは自分の機内で待っている方が良いというお客様も多いと思われます。
内変に慣れている羽田空港や成田空港では通常手続きプラス1 時間でトータル 2 時間程度です。新千歳空港だとプラス 2〜3 時間。トータル 3~4 時間かかることもあります。
空港職員の立場としては内変は手間がかかり煩雑ですが、お客様からすると毎到着地で税関・出入国がいらなくなるので利便性が高いのです。
発着枠
コロナ前は新千歳のスロットを思うように取れないことはあったのですが、ビジネスジェットが使える発着枠が少ないのです。
新千歳の発着枠は、1時間あたり32回のときは全然取れなかったが、42回になって幾分余裕ができた。
それでも昼間、特に 13〜14時は発着枠が取りづらいのです。
定期便と合わせて1時間あたり60回ぐらいは欲しいところです。
定期便の発着枠確定後の残った枠で取得するしかない現状がある。
空港パス
成田空港、羽田空港、関西空港、中部国際空港は空港立ち入りに必要なランプパスと税関パスが一体になっているのですが新千歳空港は別々。一体パスにできて、さらに道内 7 空港で共通になれば理想的。
この業界はまだまだ人材が不足しており、共通パスができれば 人材の融通もしやすくなるので、現状は空港毎にパス発行の講習が必要です。
給油目的着陸
フューエルストップ(給油目的着陸)で立ち寄るというパターンも珍しいことではありません。
『あそこの空港使える』
といった情報は同業者間にすぐ広がるので、ビジネスジェットのパイロット如何によって評価が大きく変わります。
彼等への根回しもとても重要になります。
丘珠空港について
札幌市内中心部に程近く、立地的には丘珠のアドバンテージ はやはり高い。
富裕層もニセコから札幌市内に必ず行っている。
一方で丘珠は国際化へのハードル が高い(滑走路長、CIQ 体制、自衛隊との調整等の国際化へのハードルは高いのが現状です。
したがって丘珠は新千歳に就航中の国内定期便 を受け入れて新千歳の国際線枠を増し、新千歳でビジネスジェットのハブ機能も強化するという形が良いと思われます。
コロナを経験し、不特定多数との 接触を避けた行動を求めるようになった行動心理から、コロナ禍前よりビジネスジェットの需要は増すものと考えられ、今後、定期便利用からのシフト傾向が想定されます。
丘珠にビジネスジェットが自由に降りられるようになったら、中国人客は殺到すると思う。
中国人客の行き先はニセコがほとんどだが、最終宿泊地は札幌の場合が多いのです。
実際に丘珠に降りたいという問い合わせもあるが、現状は 「NO CIQ」の一言で話が終わる。
オリンピック開催や生活スタイルの変化や密の回避などでビジネスジェット利用のメリットに気づく富裕層や企業が国内外問わず増えてくるのではと思われます。
入国制限が緩和・解除された時、ビジネスジェットは真っ先に飛んでくるかもしれません。
ニュースで入国緩和の動きが出てきたらその日のうちに問い合わせがくる状態です。
『制限が解けたら、すぐにでも日本に行きたい』
と言っているビジネスジェットが数十機は確実に存在するのです。
今後ビジネスジェットの利用はポテンシャルが高くなりつつあります。