森田香央里アシストマーケティング代表が考える死後のSNS問題
連日、テレビや新聞のニュースでは痛ましい事件に関する報道が行われ、被害者の人となりが紹介されています。その際、被害者が生前に運用してきたSNSでの投稿や写真が利用されており、堂々と使われており、アシストマーケティングでSNSマーケティングも手掛ける代表の森田香央里さんはこの状況にいら立ちを覚えるのと同時に、亡くなった後にSNSのアカウントを消してもらうかどうか、そのあたりの議論をするべきだと考えています。
名前を隠してやる人も多いだけに
諸外国を見ても、SNSを実名でやっている人が多く、匿名でやるのは日本など限られた地域と言えるでしょう。日本の場合、実名で本音をぶちまけていくと不利益を被りやすく、企業側が内定した学生の名前で検索をかけ、会社にふさわしくないと判断されれば内定が取り消されたり、能力以外の要素で不合格にされたりと、実名のメリットが日本ではあまりないのが実情です。また、家族やパートナー、友人には言えないことをぶちまけたり、公には言いにくい趣味に関するアカウントを作ったりと、名前を隠してSNSを楽しんでいる人も少なくありません。家族に内緒でSNSをやっていた人が、急に家族にバレて大変なことになった人もいるようです。
できるだけ内緒にしたい人が多い中で、亡くなってからだから本人の承諾はとりようがないと言わんばかりにSNSをしていた事実を広めていくことは、本当に被害者のことを考えてのものか、死んだ人に敬意を払っての行為なのか、森田香央里さんは強く疑問を持ちます。報道のためであれば許諾の必要はないとされ、堂々と利用できるようですが、その報道を見た人が面白おかしく故人のSNSを見て、興味本位で好き勝手なことを書かれるようになります。このような事態を招いてまで報道すべきなのかと森田香央里さんは不思議に思います。
先を行くFacebook
自分が死んだ場合、SNSのアカウントをどうすべきか、それを決めている人はほとんどいません。とはいえ、死んでしまってSNSのアカウントが放置されてしまうケースがあり、これで本当にいいのだろうかと森田香央里さんは考えます。実はSNSのアカウントは「一身専属の原則」という考え方が適用され、本人以外に権利が移らないようになっています。亡くなった人たちに生前の感謝の気持ちを伝えたい、だけどパスワードが分からない場合に、親族だからとパスワードを教えてくれるわけではありません。パスワードを教えてくれないので、SNSカウントは放置され、故人にとって不本意な形で拡散されたり、運営サイドの都合で消去されたりしてしまいます。
森田香央里さんはFacebookのやり方が今後のトレンドになるのではないかと考えます。Facebookには追悼アカウントというものがあり、もし亡くなった場合には生前、自分のアカウントを管理する人物を指定し、亡くなってから指名した人物に管理をしてもらうことができるのです。一方、亡くなったらアカウントを全削除するように求めることもできます。亡くなってからの管理をどうするか、それを自分の考えで決められるのはとても大きく、今後トレンドになってくるのではないかと森田香央里さんは考えます。
実際に追悼アカウントの管理人として指定された場合、友達申請のリクエストや写真の変更なども行えます。しかし、全ての管理ができるわけではありません。今までに投稿した内容を消すことはできず、生前にダイレクトメッセージを送っていてもその中身を見ることはできません。それを踏まえた上で管理人として指定をすることになります。
アカウント管理のビジネスは成功するのか
IDとパスポートさえわかってしまえば、誰でも簡単に入ることができます。それが原因でハッカーがアカウントを乗っ取って悪さを働くこともします。アカウント管理のビジネスをもし始めたとしても成功するかどうかは未知数ではないかと森田香央里さんは考えます。例えば、IDとパスポートを生前、信頼できる人物に伝えるのが一番確実と言えます。病気がちで、余命が短い人は故人の遺志を受け継ぎ、アカウント管理をするケースも出てきています。そのサポートにつながるビジネスがあるかどうか、ここを見つけられたらかなりのビジネスになると森田香央里さんは予想します。
誰しもSNSアカウントを持ち、もし死んだらどうなってしまうのかという不安は誰しもが持ちます。そんな不安な気持ちをくみ上げるサービスを誰が開発するのか、今後の注目ポイントです。