冬虫夏草
曜変天目という器を見たことがありますか。
世界に3碗しかないと言われる中国製の美しい茶碗を。
数年前に見たこの器(これは油滴天目 ※東洋陶磁器美術館所蔵)
最初にこの器を見た時、少し怖かったのを覚えています。
見込みには小宇宙を閉じ込めたかのような絶景が広がると言われますが
夜空をかける星雲は妖艶なまだらに見え
蠱惑に誘われている気がして、動悸がおさまりませんでした。
時に人の手を超えた名作を
神業と呼びますが
これは悪魔の窯で地獄の業火で焼かれたのではないか、、、
南宋時代(1127-1279)に日本に伝わったもののよく分かっていないことが多く。
作り方はもちろんのこと、なぜ日本に渡ってきたのか。なぜここまで人を魅了するのか、、、。
ただ、ひとつだけわかることは。
自分自身がちっぽけな存在であること
美しいということが不変で。
それこそ宇宙に対する自分自身のようで
つけいる隙がないということが明白であるということを
手のひらにおさまる器が証明していたということです。
800年の時を超え、美しいということを。
自身の存在価値を証明し続けるということ。
それこそが本物の、、、。
気になる方は5月に藤田美術館で展示される予定らしいのでぜひご覧下さい。
、、、さて、わからない。
というのは一つの魅力なんじゃないかと個人的には思います。
おそらく、僕がファッションを好きなのもそうで。
STEAF 24SS “unknown”
わからない。が美しさの源泉の一部であるとするなら
24SSシーズンのSTEAFはまさにその言葉を体現するシリーズとなったのではないでしょうか。
機能的だけではなく、誇りを持つこと。
国を挙げた冒険に選出されるのは屈強であることはもちろんのこと知性も求められ
探検家たちはそれぞれの威信をかけました。
未知への旅路に勇む、探検家が身につけるジャケットには機能的なマルチタイプのポケットを。
険しい道を進んでいく旅人にはタフな素材のドレスチノがふさわしいのかもしれません。
ドレスアップするというのはただ本当にドレスを身に纏うという意味ではなく
変身する。スイッチをオンにするという意味が近いと僕は考えていて
そういった意味でこのシャツはぴったりでしょう。
本当の美しさはどこに存在するのか。
僕の中の答えは出ていて。
自分の思う美しさを追求していくこと。追いかけていった先にきっと辿り着くはず。追いついてみせる。きっと。
例えいくつになろうとも。
そして明日からは。
4/5-4/7
STEAF 24AW PREORDER “coexist ”
13:00- 19:00
自然と都会の調和。
こちらについてはまた後日お話しさせていただきます。
イベントは明日からで、デザイナーの影山さんも終日店頭にいらっしゃいます。
ぜひ、会いに来て下さい。
冬虫夏草
四季があるのは人を退屈にさせないためではないだろうか。
同じ景色が続いているのはとても退屈だから。
冬の厳しさを感じる時。
一体いつまでこの日々が続くのだろうと思う。
寒さの意味について考える時。
身体の震えが、自分の意志とは関係なく生きていると感じさせる。
厳しい寒さは北風だ。
沢山着込まないと凍えてしまう。
北風がビューっビューっと吹き込んでも
太陽は知らぬ顔。
見て見ぬふりを決めている。
太陽は大切だが退屈な友人だ。
特に、センスがない。
そんな話しを誰かがしていた気がするけど。
どうやらそんなこともないらしい。