全1話完結のおはなし付きイラスト 22 上の森 シハ|Uenomori Shiha 2020年7月12日 19:53 父さんが揚げる海老フライは中身が細くて衣が厚い、見掛け倒しの安物だった。冷凍食品のね。タルタルソースは手づくりで、自家製ピクルスが入っている。そこに手間をかけるより海老フライに金をかけて欲しかったよと、大人になった俺は文句を言いながら弁当箱におかずを詰め、嬉しそうに笑う父に手渡した。 日曜日、おねえちゃんが泣きながら豪快にカレーライスを食べていた。何があったのか尋ねると、好きな俳優さんがほかのオンナと結婚しちゃったんだって。会ったこともない、生きてる世界もちがうのに。私が不思議がると、おねえちゃんは「関係ないわよそんなもん!」と反論し、むせた。 お星様には慣れないけれど、卵焼きにはなれるんです。ぼくはキミの王子様だから。甘いあまい言葉で、すっぱいキミを変えてみたいのです。 ナニイッテルカ、ワカンナイ。チキュウジンは、アスパラガス。にんにく。にんじん。ダイコン。カオの種類はいっぱい。わたしはウチュウジン。よろしく。 こころが雨模様。傘を忘れてさまよう。水が落ちて地団駄を踏み、擦れる声を塗りつぶしていく。先生は子どもだった。先生は泣き虫。先生は憂鬱な世界の住人をやめたかった。 電車の中で吊り革を握る。西京焼きが美味しいお店に入ってこれから食べるぞと大きな口を開き、目が覚め、夢だったと眠気眼で気付いた瞬間、枕の尖った先を噛んでいた僕のことなど誰も知らない。 #イラスト 22 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート