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現金に体を張れ

特に何の大義もなく渡比した私ですが、ひとつだけ目標がありました。

その目標とは「絶対に赤字で帰らない」というものです。

真面目に働いて、大して遊んでもいないのに、赤字は、ヤバい。

私は別に駐在員とかではなく単なる現地採用。給料はべらぼうに安いんですね。どんぐらい安いかって言ったら、まぁ、日本のコンビニで頑張って働いていた方が稼げるんじゃないでしょうか。

ただ、こちらは家賃も安いし、タクシーも安いし、マッサージも安い。タバコも日本の半額です。決して裕福ではありませんが、まぁ、割に快適には過ごせます。

東京の感覚で言えば「勤務地は丸の内で、住まいは会社まで徒歩5分。築浅のキレイなタワーマンション」みたいな感じでしょうか。なかなかコンビニの店員では手の届かない住環境だと思います。

ただ、だからと言って、前述したように裕福ではありません。

コーヒーとかファストフードなんかはそんなに価格差はないし、「これ、日本だったら100均で買えるよなぁ」みたいなものが意外に高かったりする。私は今日、ジップロックの密閉容器みたいなものを買いましたが、2個セットで700円近くしました。たっか!

さて、私はセブにやってきてそろそろ2か月になりますが、今月末、ようやっとまともな報酬が手に入ります。先月の給料は満額じゃなかったんですよね。勤務日数が2/3ぐらいだったので。

で、今月までの財務状況はどのようなものだったのかと言うと、まごうことなき大赤字です。ヤバい。別にヤバくないけど、目標とは大きくかけ離れています。

移住した当初、私はひとつだけクレジットカード(日本で作ったもの)を使う時のルールを設けていました。

「タクシーはクレジットカードで払ってもいい」

これは特例措置。フィリピンはぼったくってくるタクシーが多いので、流しのタクシーを拾うと面倒が多い。しかし「Grab Taxi」という配車アプリを使うと、料金をクレジットカードで支払えるし、お金のやり取りがスムーズになる。だからこれはもう、致し方なくクレカで払って行こう、と。

ま、こっち来て気づいたんですけど、セブのタクシーはなかなか良心的で、流しのタクシーを拾ってもぼったくって来ることは今のところ一度もないんですけどね(同じ国でもマニラはひどい)。

ただ、それでもタクシーは基本的にGrab Taxiを利用し続けました。現金減らしたくないから。しかし、いくらタクシー代をクレカで払っても、そんなので減らせるペソの流出は雀の涙。

先月末、今の住まいに引越したあたりから、私の中の「クレジットカード切ってもいいルール」がだいぶゆるゆるのガバガバになってきました。

まず「大型ショッピングモールで買い物する時は安心してクレジットカードを使えるから、使う」というルールが追加されました。

「引越し後で色々買いそろえないといけないから、荷物いっぱい持ってる中でちまちま現金払いするのは面倒だから仕方ないね」と、言い訳をしながらバンバンクレジットカードを切りました。

続けて「LAZADAで買い物する時は、さすがにクレジットカードを使うしかないから、使う」というルールが追加されました。

LAZADA」というのは、簡単に言うとフィリピンのAmazonみたいなものですね。色々なものが買えます。ショッピングモールで見つけられなかったものや、ショッピングモールでは高くて買わなかったものを「LAZADA」で買いました。

これはもう、仕方ない。だってAmazonだってクレカで買うじゃん。それが世の潮流じゃん。私の前職の社長みたいにAmazonで「代引き」を選択する人もおりますが、おれっちはやっぱりクレカ派。そりゃそうでしょ。ちなみに「LAZADA」は現金でも支払えます。

そして今度は「マッサージはなんかよく分かんないけど、クレジットカードを使う」というルールも追加されました。

これに関してはもう、よく分からない。あえて言うなら、ライフラインだから! 「いま現金がないから……」とか言ってられないから!  おれはもうマッサージなしでは生きていけないカラダになってるから! 水道光熱もみほぐし費だから! 水道より一足お先にマッサージは民営化されてるから!

更に言うと、昨日からは唐突に「フードデリバリーサービスでクレカ決済に対応しているサイトを見つけたから、それは積極的にクレカで支払うべき」というルールも追加されました。

FoodPanda」っちゅうサイトがありましてね、これはクレカ決済に対応してます。良いサイトだね。クレカで食ったピザ、美味かったよ。もちろん「FoodPanda」も現金払い可能です。

フィギュアスケートやスキージャンプの選手もびっくりなこのレギュレーション変更の嵐。甘いんだ。私はとにかく、自分に甘い。熱帯のパイナップルにも似たこの甘さ、私はこの自分のだらしなさが人間っぽくて嫌いではありません。

とはいえ、とはいえね! 今月末にはもう正規の給料がビシッと入る訳ですから、この猥雑なレギュレーションの見直しもガッツリしていこうと思います。地産地消! 現地の消費は現地の給料でまかなう! なんだよ、マッサージの民営化って!

今日、私はGCashというサービスに登録し、Globe(フィリピンの通信キャリア)のサービスセンターでGCashのデビットカードを作ってきました。アレです。LINE payカードと同じです。LINEにチャージした分だけクレジットカードが使えるってやつ。アレのフィリピン版。

今月末からは日本で作ったクレジットカードは使いません! クレジットカードが必要になったら、すべてこのGCashデビットカードで済ませます!

ここは熱帯。だらしない国、そして、だらしない私。

「GCashのカードはMastercardなんだけど、Mastercardは使い勝手悪いんだよねー」なんつって、日本のクレジットカードを切る自分の姿が、いま私の目にははっきりと映っています。


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