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ドライウェイトからの体重増加幅:適正な範囲とその根拠

人工透析を受けている方にとって、透析間の体重増加を適切に管理することは、健康維持のために非常に重要です。特に、ドライウェイト(DW)から3%以内の増加が推奨されている理由には、いくつかの医学的な根拠があります。本記事ではその理由と、実際の管理方法について詳しく解説します。


適正な体重増加幅とは?

一般的に、透析患者に推奨される体重増加幅は以下の通りです。

  • 中1日(透析間隔が1日)の場合:ドライウェイトの2〜3%以内

  • 中2日(透析間隔が2日)の場合:ドライウェイトの4〜5%以内


例えば、ドライウェイトが60kgの患者の場合

  • 中1日:1.2〜1.8kg以内

  • 中2日:2.4〜3.0kg以内

これを超える体重増加があると、心臓や血圧への負担が大きくなるため注意が必要です。


ドライウェイトからの増加を3%以内に抑える根拠

透析間の体重増加幅を3%以内に抑えることには、以下の医学的な理由があります。

心血管系への負担を軽減

体重が増加すると、体内の余分な水分が血液量を増やし、心臓が常にフル稼働状態になります。これにより、次のようなリスクが高まります。

  • 高血圧

  • 心不全

  • 心拍数の増加による疲労感

心臓への負担を軽減するため、体重増加を3%以内に抑えることが推奨されています。


透析中の合併症予防

透析中に体重増加分の水分を急激に除去する場合、以下のような症状が出ることがあります。

  • 低血圧:急激な水分除去により血圧が下がる

  • 筋肉のけいれん:体液バランスが崩れる

  • 倦怠感や吐き気:水分除去が速すぎる場合に体が対応できない

体重増加を3%以内に抑えることで、透析中の不快症状を防ぎやすくなります。


予後(長期的な健康状態)の改善

日本透析医学会の調査では、透析間の体重増加がドライウェイトの10%を超える患者は、5%以内の患者に比べて予後が不良であることが示されています。

このため、体重増加を3%以内に管理することが健康維持に直結します。


中1日と中2日での違い

中1日では間隔が短いため3%以内の増加で収まることが理想ですが、中2日では間隔が空くため増加幅が広がりがちです。

これを超えると心臓や血圧に大きな負担をかけるリスクがあります。


体重増加を適切に管理するためのポイント

水分摂取をコントロール

飲み物だけでなく、スープや果物などの隠れた水分にも注意しましょう。


塩分を控える

塩分を摂りすぎると喉が渇き、水分摂取量が増える原因になります。減塩を心がけましょう。


食事内容を工夫する

水分や塩分が少なく、栄養バランスの良い食事を選びましょう。低塩レシピの活用もおすすめです。


体重を毎日記録する

朝晩の体重を測定し、増加傾向を早めに把握しましょう。


中2日を意識した計画を立てる

中2日がある週末は水分や塩分摂取を特に控え、増加幅を抑える努力が必要です。


おわりに

ドライウェイトからの体重増加を3%以内に抑えることは、透析患者の健康を守るための重要な目安です。

心臓や血圧への負担を軽減し、透析中の合併症を防ぐだけでなく、長期的な健康状態を良好に保つためにも、日々の体重管理が欠かせません。

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