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塩素ガスの危険性

透析業務において、次亜塩素酸ナトリウム(以下、次亜)と過酢酸水素(以下、過酢酸)は、透析装置や配管の洗浄・消毒に広く使用されています。これらの薬剤は、それぞれ異なる特性と効果を持ち、適切な使用が求められます。

次亜と過酢酸を混合すると、化学反応により有毒な塩素ガスが発生する危険性があります。塩素ガスは吸入すると呼吸器系に深刻な影響を及ぼすため、安全対策が重要です。


塩素ガスとは?

塩素ガス(Cl₂)は、黄緑色で刺激臭を持つ有毒な気体です。常温常圧で気体として存在し、強い酸化力と殺菌作用を有します。主に水道水の消毒や漂白剤として利用されていますが、取り扱いには注意が必要です。

  • 主な性質:色と臭い:黄緑色の気体で、特有の刺激臭があります。

  • 比重:空気より約2.5倍重く、低い場所に滞留しやすい性質を持ちます。

  • 溶解性:水に溶けやすく、水溶液は強い酸化作用を示します。


人体への影響

塩素ガスは有毒であり、吸入すると以下の症状を引き起こす可能性があります。

  • 低濃度:目、鼻、喉の刺激、咳、息苦しさなど。

  • 高濃度:呼吸困難、肺水腫、最悪の場合、致命的な影響を及ぼすこともあります。


発生原因

透析洗浄用の次亜と過酢酸を混合すると、化学反応により塩素ガスが発生します。このため、洗剤の使用時にはラベルの指示を守り、異なる種類の洗剤を混ぜないよう注意が必要です。


過去の事故

例塩素ガスに関連する事故は過去にも発生しています。例えば、2024年9月2日、広島市中区の中島土谷クリニックで、薬剤の誤混合により塩素ガスが発生し、職員や患者9人がのどの痛みなどを訴え、入院する事態が発生しました。


まとめ

透析業務における洗浄・消毒は、患者の安全と治療効果に直結する重要なプロセスです。

次亜と過酢酸の特性を理解し、適切な使用と安全対策を徹底することで、効果的な洗浄・消毒と安全な作業環境を確保しましょう。

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