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透析における結合塩素のリスクと安全対策

結合塩素は、水道水の消毒に使用される塩素がアンモニアや有機物と反応することでできる化合物です。

遊離塩素とは異なり、持続的に残留しやすい性質があり、殺菌力は弱いですが、低濃度でも水中に長時間留まる傾向があります。


透析での結合塩素の影響

透析で使う水に結合塩素が含まれていると、患者さんに以下のような悪影響を及ぼす可能性があります。

  1. アレルギー反応:結合塩素が透析液中に残ると、体内に取り込まれた際にアレルギー反応が出ることがあります。透析患者さんは免疫が低下していることが多く、かゆみや発疹などの症状を引き起こすリスクが高まります。

  2. 細胞や組織へのダメージ:結合塩素も遊離塩素と同じく酸化力を持っており、体内の細胞に影響を与えやすいです。細胞が傷つくと、患者さんの体調悪化や健康維持が難しくなる可能性があります。


結合塩素の管理基準

透析に使用する水には、結合塩素も厳しく管理されています。

透析施設では、結合塩素の残留濃度が0.1 ppm以下になるよう管理し、基準を満たす水だけが透析に使われています。

この基準値を超えないよう、透析施設では定期的な水質チェックが行われています。


結合塩素の除去方法

結合塩素を透析用水から除去するために、以下の方法が一般的に用いられます。

  • 活性炭フィルター:活性炭は結合塩素を吸着するため、透析用水を活性炭フィルターに通すことで結合塩素の除去が行われます。これにより、透析液の安全性が高められます。

  • 逆浸透(RO)膜:透析水処理に用いる逆浸透膜も結合塩素を除去する効果があります。RO膜は極めて細かいフィルターで、有害な物質を透過させずに除去します。


まとめ

結合塩素は透析患者さんに悪影響を及ぼす可能性があるため、透析施設では活性炭フィルターや逆浸透膜を使って除去し、基準値以下に管理しています。

透析治療の安全性を守るためには、遊離塩素だけでなく結合塩素も徹底した管理が必要です。

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