HDとHFの違いをわかりやすく解説!
透析治療は、腎臓の働きが十分にできなくなったときに生命を維持するために必要な医療です。
その中でも、血液透析(HD)と血液濾過(HF)は、治療の方法としてよく知られています。
これら2つの治療法にはどのような違いがあるのか、わかりやすく解説していきます。
HD(血液透析)とは?
血液透析(Hemodialysis: HD)は、体内の老廃物や余分な水分を取り除くための方法です。主に以下の仕組みで行われます。
膜を通じた拡散
血液透析では、半透膜を利用して、血液中の老廃物(尿素やクレアチニンなど)を拡散によって除去します。濃度の高い物質が低い側へ移動する仕組みを利用しています。
ポイント
老廃物や余分な水分を効率的に除去。
電解質バランスを調整。
一般的に週3回、1回あたり4時間程度行われる。
HDは、透析患者さんの治療に最も多く採用されている方法であり、安定した治療が可能です。
HF(血液濾過)とは?
血液濾過(Hemofiltration: HF)は、老廃物の除去方法がHDと異なります。以下の特徴があります。
濾過による除去
血液を膜を通して加圧することで、老廃物や余分な水分を物理的に濾過(ろ過)します。このとき、血液成分のうち、水分と一緒に老廃物(中分子量物質など)も取り除かれます。
置換液の使用
除去した血漿成分を補うために、置換液を体内に戻します。これにより、体液バランスを保ちながら治療が行われます。
ポイント
中分子量の物質(β2ミクログロブリンなど)を効率的に除去。
高度な機械操作が必要。
体液バランス調整に注意が必要。
HDとHFの違いを比較!
適応の違いは?
患者さんの病状や治療目的に応じて、HDとHFを使い分けることがあります。
HDが適している場合
老廃物の濃度が高い。
短期間で効率よく治療が必要。
HFが適している場合
中分子毒素(例えばβ2ミクログロブリン)の除去が必要。
特定の病態(例:敗血症性ショックなど)で体液の適切な調整が求められる場合。
HDF(血液透析濾過)とは?
最近では、HDとHFの長所を組み合わせたHDF(血液透析濾過)が注目されています。HDFでは、HDの拡散とHFの濾過を同時に行い、幅広い老廃物の除去が可能です。
老廃物除去能力が高い。
β2ミクログロブリンなどの中分子毒素も効果的に除去。
日本では普及率が高く、患者さんのQOL向上が期待されています。
まとめ
透析治療には、HD(血液透析)とHF(血液濾過)という異なる方法があります。
それぞれに特徴があり、患者さんの状態や治療目的に応じて選ばれます。
また、最新の治療法としてHDF(血液透析濾過)も広く活用されています。
透析について正しく理解し、自分に合った治療法を選ぶことは、患者さんの生活の質を向上させる大切な一歩です。
医療スタッフと相談しながら、自分に最適な治療を見つけていきましょう。