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中日、今季のMVPは

 ペナントレースを5試合残し、全勝したらAクラスに滑り込める可能性を残した中日だが、クリンナップのA.マルティネスとローテーションの一角の大野雄大を抹消したために残りの試合を後進の育成に費やすのだろう。今回は、今季の中日投打のMVPを1人ずつ個人的に選定した。

髙橋宏斗

 この投手は中日にとって久しぶりのスターだ。直球勝負で強力ヤクルト打線を封じ込めた、正真正銘の本格派である。

 前半戦は制球に苦しむこともあった。このnoteでも、失礼ながら髙橋宏は球数を使いすぎているということを何度も書いたが、後半戦はその姿が嘘のようにスイスイとストライクゾーンに投げ込むことで7回を100球で収めることができるようになった。髙橋宏の最大の持ち味は広いナゴヤドームでも狭い神宮球場でも同じように投げられるところだ。遠征に弱いというレッテルが貼られた中日を変える存在になり得る選手である。

 来季は2桁と言わず、最多勝を目指して欲しい。将来的には、長い間空き番号となっている中日のエースナンバーである20番を背負って、我々が待ち焦がれていた地元出身のエースとして長い間チームを支える選手となると期待している。

岡林勇希

 この選手は後半戦、ほとんど触れることがなかったがそれは個人的にもはや大島洋平やビシエドのような絶対的なレギュラー選手と同列の扱いをしていたからだ。高卒3年目での150安打も達成。これは坂本勇人以来の記録であり、中日に絞れば立浪和義現監督以来実に32年振りの快挙である。

 ほぼ開幕から全試合に出場している岡林だが、開幕直後は指の故障に泣いた。岡林本来の打球である低く強い辺りのライナーはほとんど出なくなり、力ない飛球を打ち上げて「懲罰交代」とも取れる交代を食らったこともあった。しかし、それでも我慢した立浪監督は素晴らしい。交流戦前後には2割前半に打率が落ち込んでも使い続けた結果、指が治癒に向かっていくと同時に打率も文字通りのうなぎ登りであった。

 そんな岡林の完全復活を印象付けたのが8月7日の横浜戦。指を故障していた時は打球と同じく弱かった送球で本塁へとタッチアップした横浜の楠本泰史と言う俊足の選手を見事に刺した。捕球体制、送球の力強さ、制球の良さ全てが紙一重であり、まさに塀際の魔術師と呼ぶのに相応しい選手である。オールスター前後には内野手への転向も噂されたが、このプレーからほとんどその話を聞かなくなった。聞くところによると、ドラフトで内野手の即戦力を獲得する方針に転換したようで、これは岡林が外野のポジションを確固たるものにしたからではないか。来季は中堅手として、大島洋平の後釜に座って欲しい。

最後に

 今回は、今季台頭が目立った若手を選んだ。まだまだBクラス、最下位も有り得るのに、こんなにも満足したシーズンが近年あっただろうか。

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