幸せだったからガスバーナー買った

最近、幸せだと感じることが多い。

仕事もプライベートも、ちょうどいい順調さがある。

金に余裕があるのかと訊かれたら頷けないし、
周りから尊敬される仕事ぶりなのかというと、そうでもない。
老後が不安な金まわりだし、仕事で怒られることもある。

でも、そんな不安や辛いことでさえ、些細に感じられるほど幸せだ。
“日々を幸せに感じるための、ちょっとしたマイナス“くらいにも
感じられてしまう。

だからこそ、もういいかなって思ってしまった。
なんかもういいやって、今の心情をストレートに書き出すと、
そんな感じだ。

幸せになったら心にも余裕ができるのかと思っていたが、
まさか虚脱感が待ち受けていたとは。
何のやる気も起こらない。ずっと浮游してる感じ。
そんな感覚が続いていた。

忙しい日々が好きな自分にとって、
無気力に一日を過ごす状況は苦痛だった。
だから友人に相談してみた。すると、

「もっと欲張って生きてもいいんじゃない」

と返ってきた。

確かに。
自分は自分の幸せの範囲を決めつけて、
それに縛られていたのかもしれない。
身の丈にあった幸せこそが一番で、
それ以上は毒だと思い込んでいたのかも。

正直、他にやりたいことも無かったから、という理由もあるが、
この言葉を受けて自分は、もう少し欲張ってみようと思った。
そんなわけで、人生で初めてガスバーナーを買ったのだった。

少なくとも自分にとって、ガスバーナーは贅沢品。
+αな代物だ。

料理にこだわる性格でもないし、アウトドアの趣味もない。
ガスバーナーを買ったって、一度二度使えば最後。その後は、
棚の奥に眠ってしまうだろう。
だから、普段なら買わない。

でも今回は、“ちょっと興味があったから“という理由で買ってみた。

値段は、ガスボンベ合わせて1800円くらい。
もっと高いのかと思ってたから、ちょっとびっくり。
でも、試しに使ってみたら、もっとびっくりした。

炎の勢い、熱、ガスの臭い……。
映像で見るよりも、ガスバーナーの迫力は強かった。

こんな火力強いの?
てか止まらない。熱っ。怖っ。火事になるっ。

説明書を読まずに使ったせいで、火の止め方がわからずにアタフタした。
けど、何度か使ってみると慣れるもんだ。
チーズ炙ったり、クリームブリュレを作ったり、何だかんだ楽しかった。

こういった“ちょっとした興味”を実践するのは、
意外と面白いことに気づけた。
だから他にも色々やってみようと思い、
ありきたりだが『やりたいことリスト』を作ったりした。

そして、いくつか他のことにもチャレンジしてみて分かったことがある。

リストをこなしていくほど、人生は充実する。
前よりも経験値が溜まって、普通の人間に近付いている気がする。

でもどこか、ちょっと質の良い暇つぶしをしている感覚が残る。
あとやっぱり、真面目に生きようとするのは大変だし、疲れる。