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くじらびと

朝、「堺行こう!古墳や!」と思って6時に起きたのに、雨ザーザー降りで二度寝。
8時半に目覚め、天気が良かったため、二度寝を後悔。
堺に行く気をなくし、とりあえず読書をする。
岡田斗司夫の『30独身女、どうよ!?』を読んで、強いて結婚しなくてもいいかなという気分になる。
現代は、女が自立するという歴史上初のことが起こっている時代と書かれていて、面白い見方だなぁと感心した。女の敵は自分の中の母親である、という論には、めっちゃ納得した。
同時に、この本が2001年に出版されていることに、衝撃を受けた。

気づいたら正午を過ぎており、やばい!と焦る。
午前中のうちに外に出ないと、その日は怠惰に過ごしてしまいがちだからである。

久しぶりに行きたくなったコメダ珈琲店へ。

ハンバーガーでかっ…

でかいとは聞いていたけど、マクドの倍とは。
モスバーガーの1.5倍とは。
初めて食べたけど、美味しかった。

その後、ふらりとなんばパークスシネマへ立ち寄り、気になる映画を発見した。

『くじらびと』(監督:石川梵)

クジラ漁をする人々を追ったドキュメンタリーなのだが、これがまぁ、大当たりの作品だった。

舞台は、インドネシアのラマレラ村。

ラマレラ村に息づく自然崇拝・祖霊信仰の文化が、日本と非常に親和性があると感じた。
喪の期間や鎮魂の祈り(海に蝋燭を流す)など、細かいところもよく似ていて、一度も行ったことがない村なのに、妙な懐かしさを覚える。

祖父から父へ、父から子へ、世代を超えて受け継がれていくクジラ漁。
「私たちは、クジラ漁を通じて祖先とつながることができる」という言葉が印象的だった。

当たり前のことだけれど、私たちは、ご先祖様からの命を受け継いで、今ここにいるんだなぁって思ったよ。
核家族化が進んで、世代が分断されていく日本では気付きづらいよね。

漁には、ジンクスというか、昔から受け継がれる掟がある。
例えば、漁の期間中は家族と喧嘩をしないとか、狩った鯨の肉は決められた通りに分けなくてはならないとか。
古臭いおまじないみたいに見えるけど、この掟は、命懸けだからこそ家族との最後の思い出に後悔がないようにとか、取り分で揉めて力を合わせて漁ができなくならないようにとか、先人の遺した知恵だよね。
昔からの言い伝えって、理由があるからこそ残っていると思うな。

クジラ漁のシーンは、もう号泣。
人によっては、「クジラが可哀想」と思うかもしれないけど、私は、監督が描きたいのはそこじゃないと思う。
あれは、命と命のぶつかり合いだった。
人もクジラも、命懸けだった。



流した涙が、どういう種類の感情だったのか分からないけど、心を思い切り揺さぶられた。
自分が海にルーツを持っているから、尚更、胸に迫るものがあったのかもしれない。
言語化の範囲を超えた。
生きるってこういうことだと思った。


個人的にこの作品は、「境界」に焦点が当てられている思っていて、たとえば、
▼陸と海
▼死者と生者
 ー 祖先と子孫
 ー 狩るものと狩られるもの
▼世代と世代
などなど…

異なる存在同士が接するところや、次代に受け継がれるその瞬間に、命が鮮やかに輝く瞬間がある。
その一瞬の輝きを、見事に捉えていると思う。


私の貧相な語彙では、語り尽くせないし、これは語るものじゃなくて、体感して受け継ぐものじゃないかな。
いろんな人に見て欲しい!

雄大な自然と、そこに生きる人々の表情が、本当に素敵だったな。
世の中にはいろんな美しさがあると思うけど、私が思う「美しい」は、こっちの方向にあるんだなと、再認識できた。

良い作品に出会えた。
朝の雨に、感謝だなぁ。

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