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じゅげむ

自動車教習所を卒業して1日が経った。
手持ち無沙汰である。

なんやかんやこれまで学科の動画を見たり、技能の予習復習をしたりしていたので、その分ぽっかり時間が空く。

暇だなぁ。

などと考えていたところ、部屋の隅からガタガタと金属音がした。

「エサくれ!」


そう、実はこの7月から私はこの可愛い生き物とと同居しているのだ。
出会いはペットショップ。
一目惚れ…ではないのだが、お店に通い詰めるうちに気になってしまい、妹の後押しを受けてお迎えした。

この可愛い生き物はデグーという。
私は彼に「じゅげむ」と名付けた。

じゅげむをお迎えした日、仕事で関わった幼児が「じゅげむじゅげむごこうのすりきれ…」と大きな声で合唱していたので、「じゅげむええやん」と思い、そのまま名づけることにしたのだった。

しかし私が「むーちゃん」「じゅげやん」「ムッシュじゅげむ」など気ままにあだ名で呼ぶため、本人は自分の名前を全く認識できていないと思われる。

さて、じゅげむはとてもお利口である。

まず、朝が早起きだ。
6時過ぎに起床し、滑車を回して運動する。
飼い主が目覚めたことに気づくと、ケージを齧って「エサをくれ」とアピールする。
飼い主が二度寝しようとすると、「ピッ!!」と鳴いて起こしてくれる。

芸もすぐに覚えた。
じゅげむは、「おまわり」「お手」ができる。

しかしエサがほしいあまり、こちらが何も言っていないのに、フライングおまわりをすることもよくある。
そういうところも可愛いなと思う。

立っているじゅげむ

じゅげむのおかげで、飼い主は諸々のストレスから救われている。
生き物というのは、ほんとうに偉大である。

じゅげむの過ごす環境を快適にすべく、あれを買いこれを買いしていたら、とんでもない金額を費やしていた。多分数十万はかかっている。

そんな私の様子を見た母は、「ペットビジネスはすごいわね」とのたまい、早速ペットビジネス関連の株を買っていた。
余談だが母の趣味は投資である。

そんなこんなで我が家に迎えて5ヶ月が経とうとしているじゅげむ。よく食べ、よく眠り、よく運動してすくすく育ってくれている。

じゅげむのおかげで、私はちっとも寂しくないのであった。

しかし、寂しさがなくなったことにより、今度は「あと半年で福岡に帰るのか…嫌だな…」という別の問題が浮上している。

これは困りものだ。
転職も決まってるのに!

そんな飼い主の悩みを知る由もなく、じゅげむは「エサをくれ」と純粋な眼でこちらを見つめるのであった。

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