PR: 育児休業の真実 - 取得率目標と「取らされ育休」問題
男性の育休取得率と政府の目標
岸田文雄首相が中心となって掲げる「こども未来戦略方針」では、男性の育児休業の取得率について、2025年に50%、2030年に85%を目指すという目標が設定されています。中小企業を中心に、育児休業が取りづらい状況が見受けられますが、政府はこの数値目標を通じて、育児休業の取得を促進しようとしています。
しかし、一方で、この取得率を増やすことだけが先行すると、「取るだけ育休」や「取らされ育休」を招く恐れがあると、専門家からは危険を指摘されています。
「取るだけ育休」、「取らされ育休」の定義と現状
「取るだけ育休」は、男性が育児や家事に向き合うのに十分な時間を確保できていない育児休業のことを指します。一方、「取らされ育休」は、育休の期間や取得のタイミングを従業員が主体的に決定できず、会社の取得率向上のために「取らされる」形で育休を取る状況を指します。
経団連が発表した調査によれば、育児休業取得率は上昇傾向にあります。しかし、調査対象が大企業が中心の経団連会員企業であるため、中小企業や小規模事業所を含む厚生労働省の調査では、政府の目標とはかなり乖離(かいり)しています。
育休取得期間の確保とその課題
育休取得の目標化について、コネヒト代表の高橋恭文氏は「非常に危険だ」と危惧を表しています。「取るだけ育休」の問題が既に起きている中で、企業のパフォーマンスのために形だけの育休を取る「取らされ育休」が増える可能性があると警告しています。
育休の取得期間を見ても、大企業と中小企業とで格差があります。大企業では1カ月以上3カ月未満が最も多いのに対し、中小企業では2週間未満が半数以上を占めています。つまり、十分な育休期間を取得することが新たな課題となっています。
育休取得への後押しとその問題点
政府は、経済的理由で育休を取得することをためらうことがないよう、取得給付金の増額や中小企業への支援を打ち出しています。しかし、高橋氏は、「育休を取ることも、取らないことも従業員の権利」とし、企業から取得を強制されるのではなく、パートナーと向き合って育休期間をどう過ごすかを考えることが重要であると指摘しています。
育休取得のタイミングも、母親の体調や育児環境により異なるとのこと。例えば、パートナーがまだ入院中でやることが少なかったり、パートナーが仕事に復帰する直前に取るというケースもあるという。
これらの情報から、私たち一人一人が理解し、アクションを起こすことが大切です。政府の目標はあくまで目標であり、それを達成する手段が個々の生活や働き方にマッチしなければなりません。「取らされ育休」の問題を警戒し、働く男性が育児休業を自身のライフスタイルに適した形で利用できるよう、企業や社会全体でサポートする必要があると感じます。