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ダンスを聴く:RIWOO


『僕は、ダンスは目で聴く音楽だと思っているんです。なので、僕のダンスが音楽を聴くようにみなさんに届くよう、特にリズムの乗り方には意識しています。』

日経エンタテインメント! より



あたりめです。


リウくんがダンスについて『目で聴く音楽』、聴くもの、音楽であると思っている、そう話していた。

自分の心のなかの何かが急速に沸き立つ感覚がした。同時に、点で存在していた彼に対するあれこれが、瞬く間にいくつも結びついていったような気がした。どうしてか泣きそうになった。



ダンスの経験がない私からすれば、彼がこの考えを持っているのが心底不思議でたまらない。

これが音楽制作やボーカルから入って 後にダンスをやり始めた人の言葉なら、まだなんとなく分かる気がする。でもリウくんはダンスから全てが始まったひとであり、BOYNEXTDOORのメインダンサーなのだ。人生の半分を共にしてきたダンスに対して、最初に『音楽』を結び付けたこと。こんな最高に分からなくて、最高に愛おしいことってあるのか。



先日出演していたリムジンサービスで、ボーカルについて "踊るようなイメージ" を持って取り組んでいると話していたことを思い出した。




リウくんにとってダンスが『目で聴く音楽』なのであれば、ボーカルは『耳で視るダンス』になるのかもしれない。

ふとそう思ったとき、これまでのステージでの姿が一気に脳裏を駆け巡った。その相互作用、めちゃくちゃ靭やかな一本の芯になって全部に表れてたんだなぁ。



先述した通り私はダンスの経験がなく、音楽自体もロックバンドを聴いていた時期がかなり長かった。だからこれまでボーイグループに興味を持ったきっかけは100%楽曲だったし、特に惹かれたメンバーも100%、その声や歌い方が最大の理由だった。



リウくんに惹かれた理由もまた、声だった。だから声の話を先にさせてほしい。(勝手にしなされ)


リウくんはエッジがめちゃくちゃ効いていて、とにかく真っ直ぐに通る声をしているように思う。

その要素が彼のボーカル(声)の基本ベースだと私は感じているのだけど、そこに重ねられる『抑揚』や『緩急』、えげつない数の引出しを持っているのではないだろうか。





音域がそんなに広くなくて〜、という話をこれまでに何度か見聞きしたけれど、私は一度もそんな風に感じたことがなかった。だけど本人が言うのだから、それは事実としてそうなのだろう。

聴く人にそんなことを一切感じさせず、彼のボーカルの魅力を唯一無二のものに引き立ててくれているのが、抑揚や緩急・アクセントなのだと思う。リウくんの持つそれは、メロディーが持つ繊細な心情の揺らぎであったり、リズムが持つ大胆な質感の変化なんかを、まるっと全て可視化させる力がある気がする。



リムジンサービスでイ・ムジンさんがおっしゃっていたことがまさに…と感じるものばかりだったので、ただの盲目オタクがこんな改まって乱文を書く意味とは…となってしまうな。



リウくんがブルーノ・マーズの 'That’s What I Like' を歌ったあと、ムジンさんは「ダンスを先にされていたからか、旋律よりリズムが強い音楽に対する理解度が高い気がします」と言っていた。この前に歌っていたエド・シーランの 'Bad Habits' も同じようにリズムが先行する楽曲で、立体感や重量のあるサウンドが際立つものだった。



おそらくこういう楽曲では、単語が持つ『意味としての質感』に加えて、『発音としての質感』をどんな風に表現するかという部分にものすごく個性や魅力が生まれるのではないかと思う。

リウくんはこういった部分について、楽曲を分解し細部まで捉える力であったり、聴く側が実際に見て触れられるかのように具現化する力がとんでもないのだ。これが冒頭に書いた『抑揚や緩急・アクセント』の話に繋がっていく。

彼は歌うなかで自分の声を遊ばせるのが本当に上手い人だなぁと感じる。どのフレーズを聴いても音の粒がイキイキしていて楽しいし、隙間なくぴったりハマっている感じがして気持ち良いのだ。自分では音程が合っているかすら分からず、オーディションでは1曲で歌うのを止められた過去があったこと。今の姿を見て、一体誰が信じるのだろうか。




ダンサーの歌唱スタイルに惹かれたパターンはこれまでにもあって、ホソクさんやソウタくん(BE:FIRST)がそれにあたる。でもこの2人に関しては何度踊る姿を観ても「ウゥホォォォオオオオオ!!!!!!!!!!」とかいうゴリラの雄叫びをあげながら ただただパフォーマンスを楽しむばかりだった。ある意味当然なのだけど その人自身に、ダンスの技術に焦点が当たる感じ。



それから、私の場合はダンサーだから惹かれたというより、惹かれたのがたまたまダンサーだったというパターンなので、踊っている姿よりも歌っている姿を追うことが圧倒的に多かった。

でもそれが、なぜかリウくんには当てはまらなかったのだ。歌っている姿と同じくらい、踊っている姿を追ってしまう。歌唱の無いダンスのみの映像を何度も繰り返して観るし、ダンスのライブ配信は何時間でも眺めていられる。『推しだから』というのを考慮しても、すごく不思議なことだった。



この配信をもう何度観たか分からない。



なんで私はこんなにもこの人のダンスを観るのが好きなのか。技術に関する知識は一切無い。K-POPグループの方なんてもはや全員上手い。じゃあ何がこうさせるのか。分からなくて全然いいけど、とは思いながらも、頭のどこかでずっと考えていた。




『僕は、ダンスは目で聴く音楽だと思っているんです。なので、僕のダンスが音楽を聴くようにみなさんに届くよう、特にリズムの乗り方には意識しています。』


この言葉を見たときに、なんだか全部が分かったような気がした。




リウくんがフリーで踊るときの音の取り方が気になっていた。何も分からないなりに、他のダンサーと比較してみたりもした。なんとな〜〜く、メロディ・ボーカルとリズム・ビートで取り方に傾向があるように感じられた。なかでも印象的だったのは、リウくんが他の方よりもメロディ・ボーカルをかなりしっかり取っているように見えたことだった。




でもこれは、私が何も知らないからそう見えるだけであって、絶対に他の方もそれぞれのスタイルで取っている。どこをどう取ってどんな風に表現するかは、一人ひとりの個性だ。

なんというかリウくんのフリースタイルは、私の目には全ての音がバランスよく、そしてものすごくクリアに映っていた。ここでも緩急が一際目を引いた。ボーカルが呼吸をする一瞬の静寂を決して逃さない表現に、何度も息を飲んだ。私、ずっと目で音楽を聴いてたんだなぁ。



技術と同じくらい、音楽そのものに焦点が当たるようなダンス。ただ音楽を聴くよりももっとずっと、音楽が聴こえてくるダンス。何時間でも観続けられるの、なんかもう、当然だったのかも。



『僕のダンスが音楽を聴くようにみなさんに届くよう_』、めっっっちゃくちゃ届いてるよ。









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あたりめ
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