副業をどう考えますか?
副業禁止の会社はまだまだ多いと思うのですが、会社で働いたうえで、休日に副業をする場合、休みをどう使うかは基本的に本人の自由なので、会社にそれを禁止する根拠はあまりないんです。私も就業規則を作ってきたのである程度わかるんですが、何を根拠にしてきたかといえば、これまでは労働時間の通算の問題と、情報漏洩のリスク、つまり守秘義務を守るためということを盾に禁止してきたんですよね。
ところが、年功序列も崩れ、中堅~ベテランの賃金を上げられない状況になってきたので、国は今や副業推進に舵を切っています。働く人にとってこれはメインの仕事とサブの仕事があり、どちらの組織ともつながる状況になりますので、必然的にメインの組織とのつながりが弱くなるということになります。これからの働き方の大きな方向性はこれなんだろうと思うのですが、まだすんなり進むとは思えないにしても、徐々にそうなっていくのでしょうね。
これがもっと進んでいくと組織と個人のつながりが弱くなり、その行きつくところはフリーエージェントになっていきます。もっと言うと、会社に属しているかどうかはあまりキャリアに関係なくなってきて、その人がどんなことができるのか、がより大事になっていきます。
コロナという外圧でリモートワークが進んだように、時間と場所の制約がどんどんあいまいになってくると、組織に所属してフルタイムで働く、ということが必須ではない、ということに会社側も頭を切り替える必要があります。1日8時間労働は法定労働時間ですが、それより短い分には別に構わないわけです。賃金を上げられないならなおさらで、8時間かかる仕事を6時間でできる優秀な人がいたら、無理やり仕事を作って8時間働かせるよりも、6時間に対して同じ時間単価の賃金を払って、余った時間で副業も認めてあげたらいい。それでお互い助かりますよね。技術革新が進んでも機械化が進んでも生産性が上がらないのは、労働時間を固定で考えているからだと思います。1人1人の仕事ぶりをちゃんと見ていないから給料が存在給になっちゃっているのが問題です。短時間で成果をあげても時間いっぱい拘束されて評価もされないなら、ばかばかしくてそれ以上頑張らないですからね。
わが国は非正規雇用者がすでに2000万人を超えています。また、高齢化社会で介護や家庭の問題が働き方に影響することも避けられなくなっているでしょう。労働時間と報酬の問題をきちんと考えて、短時間正社員や非正規社員の教育投資など、本気で取り組む会社がもっともっと増えて欲しいと思います。