一流の会社ってなんだろう?
私は大学生向けの就活サイト(PORTキャリア)で、アドバイザーとして記事のコメントを月に5~6本程度担当しています。また、福島県の2つの大学の面接指導を15年以上やらせていただいており、大学生の質問や関心事が本当にピンからキリまであって驚くことが多いです。
そうした中で、最近考えさせられたことが「一流の会社に入りたい」というテーマです。この「一流」というのは色々な解釈ができますよね。一般論で言えば大企業やシェアの高い企業を指すのかもしれませんが、地方でも、中小企業でも一流と感じる会社がたくさんあります。
また、私は「人を大切にする経営学会」という学会のメンバーでもあります。この学会では「日本で一番大切にしたい会社大賞」という賞を設けていて、以前、たまたま仕事でご一緒した福島県の「株式会社ナプロアース」という会社を推薦させていただいたところ、非常に厳しい審査をクリアして見事にその年の審査員特別賞を受賞してくださいました。この会社は県内でもいろいろな賞を受けていらっしゃるのですが、「アライブフーン」という車のドリフトレースを題材にした映画製作にも参加していて、身近な多くの人を幸せにするようなユニークな事業活動をしています。全国的に知られていなくとも、地域を大切にして従業員とその家族を大切にする、社会の課題を解決する理念を持っているなど、仕事に関するひとつひとつのこだわりが「一流」に通じていくということを感じました。
結局のところ、「一流」の解釈は100人いたら100通りあるようなものだと思いますが、目の前のお客様への対応でも、社員教育でも、安全衛生でも、小さなことに一流のこだわりをもって仕事をする1人1人の集まりが一流の会社をつくるのではないかと思います。もっと言えば社員1人1人のプライドと言えるかもしれません。
経験が増えればプライドも増えていく仕事だったら、社員は自分のスキルを高めながら長く働くことができます。しかし、今の企業には、長く働いた人を粗末に扱うような企業が少なくありません。働く人のプライドが傷ついていくような仕事のしかた、会社のあり方では、顧客に満足など提供できるはずもありません。そんな会社はいくら儲かっていようと、規模が大きかろうと「一流」とは言えないような気がします。そんな会社は今は良くても、やがて人手不足が深刻になっていけば、手ひどいしっぺ返しを食らうことになるでしょう。
私が研修や顧問をさせていただいている顧客企業には、社員6名の事務所から1,000名を超える大手子会社まで、幅広いバリエーションがあるのですが、たとえ無名であっても小さくても、その会社が一流の企業になるためのお手伝いなら、一緒に働くことそのものが楽しいものになり、それ自体が仕事の報酬の一部にもなっていると思います。学生や求職者には、ぜひ知名度や規模にとらわれない、働き甲斐のある「一流の会社」を見る目を養ってほしいと思います。