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会社内でのオッサン(=自分)の生存戦略

私は独立する前にはアパレル・スポーツ用品小売業で21年半働いておりました。地元ではご存知の方も多いのですが、この会社は昔は紳士服店で、昭和の時代はスポーツ事業はまだ赤字で、ビジネススーツが収益の柱でした。その後本社勤務になり、人事部と商品部という部署で長く勤めてきたのですが、その間事業はどんどん変わっていき、やがて業績の9割以上がスポーツ用品という状況になって、40歳を超えてから、初めてスポーツ店の店長をすることにもなりました。

私は洋服屋では店舗運営を経験していますが、スポーツ店の現場経験は乏しく、商品については売場の若手の方が良く知っています。商品も良くわからない本社の管理部門のオッサンが店長で来る、となったら、その店のスタッフにとってはかなり煙たいことだったと思います。

一方、私は私で、現場で武器にできることを考えました。経営を改善する方法も接客も知っているつもりでしたが、店全体を変えるにはスタッフの協力を引き出さなければならず、現場でド素人と思われていたら私が何を言っても説得力がありません。売る力、商品知識、管理能力、何でも良いのですが現場でオッサンの私が戦える自分なりの武器を見つけなければなりません。

そこで、色々考えた挙句に「靴」に目をつけました。年代を問わず、一般の方でもアスリートでも、たいてい靴は使います。競技の専門家にはなれませんが、靴の専門家にはなれるかもしれない。そこで足と靴と健康協議会という団体とシューフィッターの資格を見つけ、たまたま自社に資格者がいなかったので自費で勉強して社内第1号の資格者になりました。この時私はもう42歳でした。

結果的に全店で最も古かったこの店はそれまで営業してきた20年余りの中でバブル期も超える史上最高の業績を上げることになるのですが、その経験のおかげで私は独立した後もシューフィッターとして活動することができています。東北各県の自治体にも呼ばれていますし、那須塩原市では定期的にセミナーをやりながら市の生涯学習講座の講師をし、個人のお客様も何人かいらっしゃいます。40代から始めたことがいつの間にかライフワークみたいになっているんです。自分でも本当に不思議なことです。

この体験は、シニアが職場でどう生き残っていくかのご参考にしていただけるんじゃないかと思っています。年配の社員でも、好きな商品やサービスで活躍できる場所は今の組織の中に何かしらあると思います。また、好きでなくとも、やる意味のある仕事、手の回らない仕事なども社内にはあるはずです。一般的にはクレーム処理や安全管理や顧客対応などが代表的なものですが、どのようなことも、突き詰めていけばプロの領域はあります。40代、50代でもし今の職場にやりがいを見つけられない方がいらっしゃったら、まだ注目されていない専門分野を探してみてはどうでしょう。平均余命で考えても、50代ならまだ人生は30年以上もあるんです。数年かけて勉強し直しても、健康でさえいれば十分学んだことを活用する時間があると思います。

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