ネットワークの品質を守る「QoS」ってなに?
みなさん、こんにちは。
今日は、ネットワークの世界で重要な「QoS(Quality of Service)」についてお話しします。「名前だけ聞いたことがあるけど、具体的には何?」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。そこでこの記事では、難しそうに見えるQoSをわかりやすく、そして親しみやすく解説します。
普段の生活で、動画が止まったり、ウェブサイトがなかなか開かなかったりしてイライラすること、ありますよね?それって、ネットワークの中で何か問題が起きている可能性があります。その問題を防ぐための技術が「QoS」です。
では早速、QoSがどんな役割を果たしているのかを一緒に見ていきましょう!
QoSとは?
QoSは、「ネットワークのサービス品質を管理し、通信を安定させる技術」のことです。ネットワーク上では、多種多様なデータが同時に流れています。例えば、オンライン会議の音声データ、動画ストリーミングの映像データ、さらにはメールやチャットのテキストデータなどです。これらが同時に流れる中で、重要なデータが遅れたり、失われたりしないようにするためにQoSが必要です。
ネットワーク機器(例えばルーターやスイッチ)は、基本的にデータを「到着順」で処理します。この方式を「FIFO(First In First Out)」といいます。しかし、トラフィック量が増えると、重要なデータが遅れたり、場合によっては失われたりすることがあります。これを解決するのがQoSです。
渋滞(輻輳)とは?
ネットワークにおける「輻輳(ふくそう)」とは、トラフィックが集中して、データの流れが滞る状態のことを指します。簡単に言うと、道路が渋滞しているような状況です。どんなに広い道路でも、車が多すぎると動きが鈍くなりますよね?ネットワークも同じで、トラフィックが過剰になるとデータが正常に流れなくなります。
輻輳が発生すると、重要なデータが後回しにされたり、最悪の場合、失われたりします。例えば、オンライン会議中に音声が途切れるのは、こうした輻輳が原因かもしれません。
QoSの基本モデル
QoSを理解するには、3つの基本的なモデルを押さえる必要があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
1. ベストエフォート
ベストエフォートは「可能な限り最善を尽くします」という意味です。特に優先順位を付けず、データを平等に扱います。これは公平に見えますが、重要なデータが埋もれてしまうリスクもあります。
2. IntServ(Integrated Services)
IntServは、ネットワークのリソースを「予約」する方式です。通信を始める前に帯域やCPUを確保し、データをスムーズに流せるようにします。ただし、管理が複雑で、大規模な環境には向いていません。
3. DiffServ(Differentiated Services)
現在最も一般的に使われているのが、このDiffServです。この方式では、データを分類し、優先順位を付けて効率的に通信を管理します。
DiffServの詳細な仕組み
DiffServは、以下の4つのステップを通じてネットワークを効率的に動かします。
1. 分類(Classification)
まず、トラフィックを分類します。このとき、IPアドレスやポート番号、トラフィックの種類などを使います。
2. マーキング(Marking)
分類されたトラフィックに「タグ」を付けます。このタグにより、優先順位を決めます。マーキングには、Layer2(L2)とLayer3(L3)の2種類の方法があります。
L2マーキング: イーサネットフレームの情報を使う方法。ただし、適用範囲が狭いため、あまり一般的ではありません。
L3マーキング: IPv4ヘッダーのToSフィールドを使う方法。これは細かく優先順位を設定でき、現在よく使われています。
3. キューイング(Queuing)
次に、トラフィックをキューに入れます。キューとは、データを一時的に保管する場所のことです。輻輳が発生した場合、このキューが溢れると「テールドロップ」と呼ばれる現象が起き、データが廃棄されます。
4. スケジューリング(Scheduling)
最後に、どの順番でキューのデータを送るかを決めます。優先度の高いデータを先に処理することで、重要な通信が途切れにくくなります。
DiffServを活用する利点
DiffServを導入することで、ネットワークのパフォーマンスが大幅に向上します。例えば、以下のようなメリットがあります。
オンライン会議: 音声や映像データが優先されるので、途切れが減ります。
リアルタイム通信: 音声通話やビデオチャットで、遅延が少なくなります。
業務効率: 重要なビジネスデータが優先されるので、通信の安定性が向上します。
また、DiffServでは**PHB(Per Hop Behavior)**という概念も登場します。これは、各ネットワーク機器がトラフィックの優先順位に基づいて動作する仕組みです。これにより、全体の通信がスムーズに進むようになります。
QoSを日常に活かすには?
「QoSってすごい技術だな」と感じていただけたでしょうか?でも、実際のネットワーク管理では、QoSの設定がなされていない場合もあります。もし自宅や職場の通信環境が不安定だと感じたら、ルーターやスイッチのQoS機能を活用してみるのも手です。
まとめ
今回の記事では、QoSの基礎知識をわかりやすくお伝えしました。ネットワークの裏側で行われている工夫を知ることで、私たちの生活がいかに技術によって支えられているかを実感できると思います。
最後に、この記事のポイントをおさらいしましょう!
QoSはネットワークの品質を安定させる技術。
輻輳とは、ネットワークの「渋滞」のこと。
QoSのモデルには、ベストエフォート、IntServ、DiffServがある。
DiffServは、「分類」「マーキング」「キューイング」「スケジューリング」の手順で通信を管理する。
これを機に、ネットワークの仕組みに興味を持っていただけたら嬉しいです。それでは、また次回の記事でお会いしましょう!
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