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ネットワーク管理者必見!ダイナミックルーティングの基本から応用まで

みなさんこんにちは。
ネットワークの世界は、一見目に見えない部分がほとんどです。しかし、膨大なデータが正確に、効率的に、そして安定してやり取りされている裏には、数多くの技術が支えています。その中でも、**「ダイナミックルーティング」**は、現代の企業ネットワーク運用に欠かせない要素です。本記事では、この仕組みを分かりやすく解説し、初心者でも理解できる内容を目指しました。


ダイナミックルーティングとは何か?

まず、ダイナミックルーティングとは「動的な経路制御」のことを指します。ネットワーク内でどのような経路を通るべきか、ルーティングプロトコルが自動で学習し、最適な通信経路を選択します。

例えば、インターネット上でウェブサイトにアクセスする際、データはどのように目的地に到達するか、私たちは普段意識しません。しかしその裏では、何十台、何百台ものルーターが協力し、最適な経路を動的に選び取っています。

ルーティングプロトコルの種類

ダイナミックルーティングを実現するプロトコルには、いくつかの種類があります。

  1. RIP (Routing Information Protocol)

    • 古典的なプロトコル。距離ベクトル型のアルゴリズムを採用。

    • ルーター間でホップ数を基準に経路を決定しますが、スケールが大きいネットワークには不向き。

  2. OSPF (Open Shortest Path First)

    • 現在最も広く使われているリンクステート型のプロトコル。

    • 各ルーターが詳細なネットワークマップを保持し、最短経路を計算します。

  3. EIGRP (Enhanced Interior Gateway Routing Protocol)

    • Cisco独自のプロトコル。高速な収束時間と柔軟性が特徴。

    • 現在は限定的な用途で使用されることが多いです。

  4. BGP (Border Gateway Protocol)

    • インターネットの「大動脈」を支えるプロトコル。

    • AS(自律システム)間で経路情報を交換するために使用されます。

ダイナミックルーティングとスタティックルーティングの比較

ダイナミックルーティングの良さを理解するためには、スタティックルーティングとの比較が欠かせません。

スタティックルーティングとは?

スタティックルーティングでは、管理者が手動で経路を設定します。例えば、あるPCから別のネットワークへの通信を行う際、その経路を一つ一つ指定しなければなりません。

以下にスタティックルーティングとダイナミックルーティングの違いをまとめました。

スタティックルーティングとダイナミックルーティングの違い

例えば、10台のルーターが連携するネットワークを考えた場合、スタティックルーティングでは膨大な設定作業が必要です。一方、ダイナミックルーティングではルーティングプロトコルが自動で情報を共有し、最適な経路を選び出します。この効率の差は、ネットワーク規模が大きくなるほど顕著になります。

ダイナミックルーティングの仕組み

ダイナミックルーティングでは、ルーター同士が経路情報を交換し合い、ネットワーク全体の最新情報を共有します。この情報交換のプロセスは以下のように進みます:

  1. 経路の広告(アドバタイズ)
    各ルーターが、自分が接続しているネットワークの情報を他のルーターに通知します。

  2. 経路情報の収集と更新
    他のルーターから受け取った情報を基に、自身のルーティングテーブルを更新します。

  3. 最適経路の選択
    各プロトコルが提供するアルゴリズムによって、最短経路や最安経路が選ばれます。

  4. 障害対応
    ネットワーク内で障害が発生した場合、迂回経路を自動的に探し出し、通信の維持を試みます。

ケーススタディ:障害時の対応

あるネットワークで、A地点からB地点への通信がR1 → R2 → R3の順で行われているとします。もしR2に障害が発生した場合、スタティックルーティングでは通信が途絶えてしまいます。しかし、ダイナミックルーティングではR1が迂回経路(例:R1 → R4 → R3)を自動で学習し、通信を維持します。

経路集約によるネットワーク効率化

ダイナミックルーティングのもう一つの大きなメリットが「経路集約」です。経路集約とは、複数の経路情報を一つにまとめることで、ルーティングテーブルをシンプル化する手法です。

経路集約のメリット

  1. メモリ消費の低減
    ルーティングテーブルが簡潔になることで、ルーターのメモリ消費が減少します。

  2. 情報伝達量の削減
    経路情報が減少するため、ルーター間の通信量が削減されます。

  3. 障害の影響範囲の縮小
    経路集約により、障害時の影響が最小限に抑えられます。

自動経路集約と手動経路集約

  • 自動経路集約は、プロトコルに組み込まれたデフォルトの機能です。しかし柔軟性に欠けるため、現代ではほとんど使用されません。

  • 手動経路集約は、管理者が経路をカスタマイズして集約範囲を設定する方法です。柔軟性が高く、現在主流の手法です。

AD値とメトリックで最適経路を選ぶ

複数の経路情報が存在する場合、どの情報を採用するかは「AD値」と「メトリック」によって決定されます。

  1. AD値 (Administrative Distance)
    ルーティング情報の信頼度を示す指標で、値が小さいほど信頼度が高いとされます。

  2. メトリック
    プロトコルごとに異なる基準で経路のコストを計算します。例えば、OSPFではリンクの速度や距離が考慮されます。

まとめ

ダイナミックルーティングは、現代の大規模ネットワーク運用において、もはや欠かせない存在です。
設定の効率性、障害対応能力、ネットワークの柔軟性といった点で、スタティックルーティングを大きく上回ります。

ネットワーク技術者としてこの仕組みを理解し活用することで、より安定したネットワーク運用を実現できます。ぜひこの記事を参考に、あなたのスキルを次のステージへ引き上げてください!

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