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白い帆掛け船は軽々と風に乗った。 滴る緑が映り込む水面を滑るように進む。 光と闇を結んで魂…
岬からの風に目を閉じた。 頬を撫で耳をくすぐり髪を優しく梳いて。 温かな手を、指を、声を思…
中庭の睡蓮池に幻の青い花が咲いた日。 私はためらうことなく水に入り その花をむしって捨てた…
午後の館内はひんやりしていた。 微かな空調の音。 一番奥の部屋の小さな絵。 今が見頃の庭の…
鮮やかな青がめくるめく展示 鑑賞後のショップで 私は青い染料瓶を買った 素敵なものを買った…
いいか。 砂漠を渡って行くときには星を見ろ。 叔父の言葉に頷いたものの、 本当のところ星が…
ある日、僕の人魚姫が言った。 バスタブを星で満たしたい。 ヒトデの置物は重すぎたし、 金平糖は儚く溶けた。 嘆く彼女にしまいこんでいた 家庭用プラネタリウムを差し出す。 満天の星の下、 人魚姫は青く輝く尾ヒレを脱ぎ捨てた。 高原を歩くから足にするね。 得意そうな彼女は、 とてもとても可愛らしかった。
手を繋ぎ、二人でそぞろ歩く夕暮れの浜辺。 水平線の彼方に消えた流れ星。 拾いに行かなくて…
星の海を行けと母は言った。 はるか銀河の彼方に友を作れと。 漆黒の空はもう、 恐ろしき異空…
それは誕生日の贈り物。 投げ出された四肢の先には鉤爪。 尻尾へと続くのは稜線のごとき背びれ…