初めての宝塚観劇
三十数年生きてきて、多くはなくともまあまあ演劇にはふれてきたほうかなとは思う。
幼いころは子ども向けの演劇に連れて行ってもらっていたし、福岡に劇団四季の劇場ができてからは何度か劇団四季を観に行った。大人になってからは2.5次元舞台にはまった時期もあって同じ演目を何度も観たり、その演出家つながりや俳優つながりでオリジナルの演劇も観に行くようになった。
けれどなぜか宝塚を観に行ったことはなかった。
まわりには宝塚が好きというひとがいろんな種類の友人知人に散らばっていて、話を聞くことはこれまでもよくあったし、これは観てほしい! と円盤を渡されて観たことはあるし「返すのいつでもいいよ」に甘えて借りっぱなしのものが家にあるのに、だ。
そんな中で公演3日前に友人から「チケットあるんだけどどう?」と声がかかった。
その日に用事はないしなんならずっと機会を伺っていたし、演目がベルばらって初心者には宝塚っぽさを味わえていいのでは? 行きたい! と返した。
それから当日まで何か予習すべきかを迷ったが、特別な観劇のルールはなにかあるかだけを確認し、まっさらな状態で当日を迎えた。
当日、誘ってくれた友人に日比谷シャンテにある宝塚のショップに連れていってもらい、衣装展示を見たりどんなグッズがあるかを説明してもらいながら店内をのんびり歩いた。
ベルばらのグッズがとってもかわいくてほしくなったが、レジ列がすごいことになっていたので一旦あきらめた。今日が東京公演初日なのでよけいに混んでたのかもしれない。そう、なぜか初めての宝塚なのに公演初日なのだった。
座席はB席だったが、ちょっと怖いくらいに急勾配だったのでステージが見えにくいということはまったくなく、遠い分には双眼鏡(友人に貸してもらった。ありがとう!)で見ればいいので、とりあえずわかんないから全体を観たいという初心者のわたしにはちょうどよかった。
それに座席がふわふわふわんふわん! 全然お尻が痛くならない!
トイレの個室が多いのもだけど全国の劇場はこのつくりを見習ってほしいと思ってしまった。
そんな劇場のつくりにすごーい! となりながら座席につく。
開演5分前になったら緞帳があがり、舞台が見える。それは写真にとっていいらしい。ベルばらのことをよく知らずにきても開演前の舞台からすでにベルばらっぽさにわくわくした。
開演直前となると、客席がしんとした。直前に時計は観ていなかったが、おそらく定刻通り開演したのだろうと思う。劇場側と観劇側どちらもの期待や意識の高さをかんじた。
DVDで観たことがあるとはいえど、目の前で観ることは全然違った。
一気にエンターテインメントを浴びたのもあって言いたいことがまとまらないので、いくつかピックアップして記載する。
まず、衣装がすごい。とくにドレスがかわいい! いろんな色だったり、フランスとスウェーデンで雰囲気が違ったりどっちもよくてどっちが好きか選べない。マントも裏地があってすごくよかった。
わたしはひらひらしたものが舞台上でひらひらするのが大好きなので、ダンスや殺陣でひらひらさせるのが嬉しかった。楽しい。
トップの方の衣装のギラギラさもさらに楽しくなる。
そして当然、歌もダンスもすごい。
現実感を求めているわけではなくおおげさなほどの演技がしっくりくる空気感は、舞台という非現実を観にきたと思わせる。
今回の公演はトップの方が退団する公演だった。(そう、なぜか初めての宝塚なのに退団公演初日なのだった)その方に向けて他の出演者の方が歌う場面があり、歌詞もあいまって初めましてなのに泣いてしまった。それまでにたくさんトップの方の歌やダンスを見てきたあとにそういうのを見てしまうと、よけいに胸にくるものがあった。ひとのこころを動かす歌とダンス、ささいな動きや表情、目の動きといったそれらのものは、心が動かされる。そういうちからがあった。
オーケストラピットがあり生演奏なのもそういった引き寄せるちからがあると思う。
いちばん好きなのはベルばらのラスト、マリー・アントワネットが階段をのぼっていく場面だった。これまでの場面があっての、静かでおごそかな場面になっていたように思った。
言いたいことがまとまらないが、とにかくとても楽しかった。
楽しすぎて記憶が書きながら後から後からわいてくる。きっとこれを投稿したあともアッあれも書いとけばよかった! と思ってしまいそうだ。
以前観に行った舞台で凰稀かなめさんを観たことがある。失礼ながらそのときは存じ上げない役者さんだったのだが、舞台に出てきた瞬間のうつくしい所作、流れるような殺陣(わりと野蛮めな殺陣をつける演出家の舞台なのに)(ちなみにMOTHERLANDという舞台)、ただそこにいるだけで目をひくその姿に、絶対に宝塚ご出身!と思った。
そういう方々が今日は舞台じゅうにいらっしゃったのだ。
すごかった。そればかりを繰り返してしまう。
友人はとても気を遣ってくれて「わからないところとかなかった?」と休憩時間に聞いてくれたのだが、わからないとかそういうのじゃなくとりあえずプログラムが欲しい! と言った。それくらいに前半だけでも魅了された。
そうしてあっという間に終わってしまった。とってもとっても楽しい時間を過ごすことができた。
休憩が30分なのもよかった。
ビール飲んでトイレ行ってもよゆうだった。
帰りは有楽町にきたらいつもこれというカヌレを買って帰った。
エンターテインメントはこういうことだというのを浴びたように思う。
今更わたしが言うまでもないが、これは昔からファンがいるのは当然だし今もファンが増えていくはずだ。
絶対にまた行きたい。
借りたおすすめ公演の円盤もあるしまずはそれを見ようかな。
誘ってくれた友人、ありがとう!
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