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60点日記「雪だるま」

話の筋を気にしない、誤字脱字も気にしない、超超超不定期更新の「60点日記シリーズ」。何てことのない記録です。が、日記と言いながら、まだ2本しか更新してない。60点どころじゃないし、もはや日記でもない。…ということで。今日からは、もうちょっと書いていこうと思います。



うちの冷凍室は今、
スペースの3分の1しか入らない。

小さいタッパやアイスクリーム、あとは、ものすごくぺたんこにしたものが、それぞれ2〜3個くらい。それくらいしか入らない。



遡ること数ヶ月。家に遊びに来たN君と、昼ごはんにカレーを作った。そしたら、ミンチ肉が余った。

「これどうする? 冷凍する?」とN君。
「うん。極力ぺたんこにラップして、入れとってもらってもいい?」
「オッケー。って、この冷凍室、全然入らんやん!」
「あ、そうやねん、霜がすごいでしょ」

うちの冷蔵庫は、知人からいただいた古いもので、元々ドアの閉まりが甘い。きっと、きちんと閉まってなかったときがあったんだろう、ものすっごくたくさんの霜がついて、入るスペースが狭くなっていた。そして、その霜によって、さらにドアが閉まりにくくなり、どんどん霜は育ち、ついには容量が3分の1以下に……という状態だった。(写真ないけど、こんな感じ。)

スクリーンショット 2021-06-03 10.26.03


「ミンチ、入らなさそう?」
「いやまあ、これくらいやったら入るけど……霜、取らへんの?」
「取りたいねんけど、取るタイミングをつかめてない」
「え、じゃあ一緒に取ろうよ、今」

やさしいN君と、霜を取ることにした。


一番いいのは、冷蔵庫の中身を全部出し、電源を切って自然解凍……なのだけど、それらが入るサイズのクーラーボックスはなく、足の早い食材もたくさんあった。ので、冷凍室の中身だけをある程度取り出して、スクレーパーとゴムハンマーで削ることにした。

壁と霜の境目にスクレーパーを立てて、ハンマーでコンコン叩く。すると、ちょっとずつだけど、霜が削れていく。削れた霜は、おっきなボウルへ。何回かやっていると、だんだんと、いい感じにパコッと大きく取れたりする。気持ちが良い。(あとから調べたら、冷蔵庫に衝撃がいくので、ほんとは良くないみたい)


続けること、15分。だいたいすっきりしてきた。霜を流し台に捨てようか、というとき、N君が言った。

「これ、雪だるま作れるんちゃう」
「わ、作りたい! 私、今年まだ、作ってない」
「えー! じゃあ作ろう!」

目はパンダ豆、手は爪楊枝。赤い帽子はガスボンベの蓋。とてもいい雪だるまが生まれた。

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作ったら作ったで、溶けてほしくなくて、冷凍室へ。

「あ、食材も戻さないと」
「ほんまや」
「雪だるまが崩れないように……あれ? 結構ギリギリやわ。笑」
「ほんまや。笑」

霜は取れたけど、結局、雪だるまが場所を取るという事態に。まあでも、スペースの3分の2以上は入るようになったし、いつ開けても、かわいい気持ちになれるのが、嬉しかった。

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この様子をツイートすると、それを見た近所の小学生が遊びに来てくれた。冷凍室に住む雪だるまのことを、「春になっても死なへん雪だるまやな」と言っていた。すごく良いな、と思った。


春が来た。雪だるまは、越冬した。


・・・


数日前。
雪だるまとは、引き続き一緒に暮らしている。夜、出先から家に帰ってくると、同じく一緒に暮らすOさんが、冷凍室を眺めていた。

「どうしたの? やっぱりあんまり入らないの、困ってる?」
「いや、もっと入らなくなっちゃって、困ってる。えっと…どうすれば、雪だるまを生かしたまま、やかんを救出できるか考えてて……」

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3分の2しか入らない冷凍室が、3分の1しか入らない冷凍室になっていた。

聞けば、この日、沸かしたお茶がなるべく早く冷えるようにと、やかんごと冷凍室に入れた子がいたのだとか。ただ、そのまま夜まで忘れられており、気づいたときには、中身ごとかちこちに。底面もぴっちりくっついて動かない。「力づくで取ろうとすると、雪だるまも崩れそうで……」とのこと。(ちなみに温かいもの入れるのも霜の原因になるみたい)

「前みたいに、スクレーパーで底んところやってみる?」
「うーん、雪だるまにも振動いきそうで危なくない?」
「バーナー……はあかんな、雪だるまも溶けちゃうか」
「絶対だめだろうね、冷蔵庫も変形しちゃいそう」
「熱湯かけるとか?」
「うまく注ぐ位置を工夫して、冷蔵庫や雪だるまに直接かからないようにするといけるのかな……でも、それをするためのやかんが凍ってるね。笑」

あーだこーだ話し合いながら、その日はとりあえず就寝した。

・・・


そして、今日。
(やっと日記や……)

「どうすれば、雪だるまを生かしたまま、やかんを救出できるか」について、せっかくなので、家に遊びに来るみんなにも知恵を借りることにした。10代から30代まで、いろんな人に聞いてみた。


「やかんの周りだけバーナーで炙ったらどうかな」「バーナーは危ないけど、ドライヤーならいけそう」

うんうん、バーナーやドライヤー、やっぱり思うよね。


「少しでもやかんの中に空間があるなら、そこに急須かなにかで熱湯を注ぐのは?」「で、溶けたところをストローで飲んで、空間をさらにあける。それを繰り返せば取れそう。一人じゃ飲めないから、何人かで飲む」

ふむふむ。それ、めっちゃ楽しそうやな。


「やかんをほめて、照れさせる。きっとまっかっかになって出てくる」
「探偵ナイトスクープに依頼する」


めっちゃいい。めちゃくちゃいいですよ。


「塩化カルシウムを、やかんの周りにかける。それで溶け出した塩化カルシウムを含む液体が、雪だるまの方へ流れちゃわないかが心配ですが……」「金属の板にドライヤーを当ててあっためつつ、やかんの下に差し込んで、底面の間の氷を溶かしていくのはどうでしょう!差し込む前の金属もあっためておくと良さそうです!」

こちらは科学が大好きな友人達からの回答。さすがすぎる。

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「私も考えるから待って!」「うちの生徒達にもアイデア募ってみてもいいですか?」そんな声も集まりだして、だんだん楽しい気持ちになってきた。もう少し、このままでいようと思う。今度の休みに、みんなが考えてくれた方法を試す時間を作って、ライブ中継でもしようかなあ。



ということで、

うちの冷凍室は今、
スペースの3分の1しか入らない。


ずっと死なない雪だるまとやかん。それから今日は、アイスクリームが3つと、知らない間に誰かが置いた、小さいサンタクロースが入ってる。

「どうすれば、雪だるまを生かしたまま、やかんを救出できるか」

このミッションが無事に終わったら、溶けたやかんのお茶で乾杯して、みんなとアイスクリームをおいしく食べて、お祝いをしようと思う。そして、冷凍室のスペースを、3分の2くらいまでには、戻そうと思う。

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【追記】
この日記を書いてる間に、「うちの生徒達にもアイデア募ってみてもいいですか?」の続きが届きました。4人の子ども達が話し合った結果がこちら。

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すばらしき回答。アイスは最初に食べることにします。
 
 

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