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とあるセブンイレブンを箱推ししている私の記録、残り3日。

大阪の、とあるまちのセブンイレブン。私が今、一番よく行くお店です。そして私はこの店を「箱推し」しています。

今日は、そのセブンイレブンでの出来事、そしてその後のことを、ここに書いていきます。文量が多いですが、これは記録でもあるので、思いのままに、好きな人達との時間を書きのこそうと思います。

・・・

少し遡り、去年のクリスマス。話の前提は、この投稿を振り返ったほうが早いので、ちょっと貼らせてください。

Xの投稿、noteやと途中で切れてると思うので、テキストでまとめると。

●週8で世話になってるセブンイレブン
●いつ会っても心地よい接客をしてくれる[店長]
●彼の見た目は「狼っぽいけど草食」BEASTARSのレゴシ風
●笑い方優しい、チロルチョコにふれる指先すら優しい
●すっかりファンになった私、いつか差し入れするのが夢
●そして時はクリスマス、気が大きくなってる私
●ついにフィナンシェを差し入れ「今日、メリークリスマス、なので!」
●満面の笑顔で喜んでいただける
●テンションおかしくなりセブンイレブン出て曲がったところでしゃがみこみXに投稿
●明日もたぶん牛乳買いに行く、緊張する、どうしようあああ

で、翌日。牛乳を買いに、また行きまして。

●牛乳買いに行く、レジにて会話交わす
●「甘いものいけましたか」「はい、甘いもの、すきです」等々
●レゴシ風お兄さん(以下レゴシさん)「あの後、不思議なことが…」
●他の常連さんに日本酒もプレゼントされた、ということを知る
●お客さんから何かもらうのははじめてで、嬉しい1日だった、と喜ぶレゴシさん
●会話の流れで、レゴシさんが[店長]ではないことを知る
●さらに、店長はレゴシさんの、お兄さんだということを知る
●「あ、眼鏡かけてはる人かな?」「いえそれは別の人ですね」ん〜?
●背丈は似てて、でもレゴシさんより寡黙で、とのこと。よく通ってるし、会ってるはずよな…んん〜〜??
●ふ、ふたごやったらどうしよう

そして。

●飲み会のためウコンの力を買いに行く私
●はじめて向こうから声をかけられる私
●しかもレゴシさん私服、シフトあがったところ
●レジには、眼鏡かけてはる別の店員さん
●3人で一緒にしゃべる
●和気あいあいとした兄弟に、眼鏡の店員さん「おかげ様で楽しいですよ」
●年末年始も変わらずみんなで働いてます、との情報
●最後、レゴシさんも眼鏡の店員さんも、手をふって見送ってくださる
●眼鏡の店員さんのおかげで、より会話が弾んだ夜
●引き続きお世話になります!

……というかんじで、一旦、報告は止めていた。「あれからどうなったの」「続報求ム」の声に応えたいし、私も伝えたい気持ちはあったが、いろんな葛藤で、しばらく投稿してなかった。

なんだけど。ちょっと事情が変わった。さらにいろんなことが起きた。周りの友人や仕事仲間には話してた。そしたら、尊敬する先輩が言ってくれた。

「しまださん、書いていいよ。そういう話は、書いていい。というか、のこしたほうがいい。大丈夫だよ。」

なので、こうしてnoteを書いています。



なお、登場人物が増えてややこしいかなと思うので、ここらあたりで呼び名を統一します。

「レゴシさん」……私がフィナンシェを贈ったレゴシ似のお兄さん🐺。

「店長さん」……レゴシ似お兄さんの、リアルお兄さん。

「マルさん」……Xの投稿にて「🦫」の絵文字で表記した、レゴシさんの同僚。眼鏡をかけてる。

……とします。ただ、レゴシさんは店長さんのこと「おにい」って呼ぶので(またそれがいい)、レゴシさんの言葉(カギカッコ内)は「おにい」のまま書いてます。


■12月26日

今日もいる、レゴシさん。1月6日まで連勤やゆうてはったもんな。お会計中、ピッピッとレジの音が数回鳴ってから、レゴシさんが声をかけてくれた。

「おにいに会えました?」
「や、まだ会えてなくて。昨日はお昼に行ってみたんですけど、マルさんでした」

私はクリスマスの一件から、マルさんとも、よく話すようになった。ってかむしろ、喋る秒数でいうと、マルさんが一番長い。マルさんもいつも、とても心地よい接客をしてくださる。

「マルさんってことは……あれ、何時くらいに来ました?」
「14時過ぎかなあ」
「あー、おにいは大体、表出てるのは12時までなんです。そっから僕かマルさんに交代で」
「私の昼の概念がズレてました……」
「あはは、いつも夜遅いですもんね」

朝が苦手な私、昼=15時くらいまでの認識だった。

「でもおにい、めっちゃ寡黙なタイプなんでね〜」
「じゃあ、急に話しかけたらびっくりしはりますかね…」
「いや! フィナンシェのこと言いましたし、それは大丈夫ですよ」
「“レゴシさんのお兄さんですか” とか言っても?」
「大丈夫です、大丈夫です」


■12月28日

昼の概念を改めた私、12時前にお店へ。朝食用の卵がほしいのだ。

ちなみに、マルさんは、私よりも背が低い。レゴシさんは、商品棚よりも背が高い。なので、外から「ポコン」と、頭がすぐ見えるときは、レゴシさん。見えないときは、レゴシさん以外。

なんだけど、この日はちょっとだけ頭が見えた。レゴシさんほどでもない、マルさんがつま先立ちで歩いてるわけない。これは!!

卵を取って、レジに向かう。卵に目線を落としていた私、少し上げて、名札を見る。レゴシさんと同じ苗字……! さらに上げて、顔を見る。マスクしてはるからはっきりわからないけれど、目元がそっくりである。

「あの、店長さんですか」
「あっ、ハイ…」
「レゴシさんの、お兄さんの…」
「えっ、あ、ハイ…」

びっくりしてはる、申し訳ない…でもちゃうねん、言いたいこと、ちゃんとあるねん。

「私、よく夜に来るんですけど。レゴシさんやマルさんに、とても親切に接していただいてて。いいコンビニだなあ、っていつも思ってて」
「そうでしたか…! ありがとうございます…!!」

私が画力に長けてたら、ここに今、絵を描いて、貼りたい。この「ありがとうございます」、笑って言ってくれはったんやけど、もうその目がレゴシさんとおんなじで。笑うときに、声がちょっと上ずる感じも、手を口元に持っていく動作も。マスクしてるのに手を持っていくから、ほんとに癖なんだと思う。ご兄弟だ、うわあーー!……てなった。

のも束の間、次の一言でかたまった。

「そうだ! お団子、好きですか?」

そうだ? お団子? 好きですか???笑
いや好きやけど、なんで???笑

「お団子、大好きですよ。」
「あっ良かった…! じゃああの、フィナンシェのお礼が…あ、フィナンシェのお姉さんですよね? ちょっと、もうすぐ上がるので待ってて…」
「(フィナンシェのお姉さん…!)」

そういって店長さん、レジから出て、どっか行きはって。んで、代わりにレジ奥からマルさん、出てきて。(いつの間に?笑 ちょっと笑った)

「マルさん…あの……」
「はいはい、どうも」
「なんか店長が……」
「団子でしょ。昨日から机になんか置いてあるな〜と思って。準備してたんやと思いますわ」
「え…マジで???」

1分経たないうちに、セブンのジャンパーを脱いだ店長さんがニコニコで出てきた。

「これ、いっぱい買ったんです! 余ってるんで、よかったら!!」

レゴシさんの声がリフレインする。「でもおにい、めっちゃ寡黙なタイプなんでね〜」。

寡黙……とは……


■12月31日

大晦日である。仕事、収まりきってない私。明日からは帰省やなんやと用事が続くので、ちょっと作業しよう。しかしほどほどにして、夜はビールとだらだらしよう。

ビールの仕入れ先はもちろん、セブンイレブン。大晦日、誰がいるのかな〜。

と、しばらくパソコンをカタカタしてたら、つけてたラジオが言う。
「2023年も、残り5分を切りましたねえ!」
えっ。集中しすぎた。えっ。

ぐでぐでの部屋着に、急いでダウンコートを羽織り、玄関に用意しておいたものをポケットに入れ、セブンイレブンへ。頭は見えない。マルさんや!!

「やーー! 間に合った!!!」

レジに缶ビールを2本、コンコン、と置く。

「どうもどうも」
「マルさん、お疲れ様です!」
「いえいえ、そちらこそ」
「今日は、このあともずっと?」
「そうですね、朝になったら店長と交代ですね。レゴシ君はちょっと、体調崩しちゃって」
「あらら…」

マルさんの声、中学んときの先生に似てる。生徒にも、いつも敬語を使っていた生物の先生。

「2023年もありがとうございました。おかげ様で、今年も生活が支えられました。」と私。
「いやもう、僕らこそ、お客さんに生活支えてもらってるんで。こちらこそ、2023年もありがとうございました」とマルさん。レジを終えたビールを受け取る。

「2024年もどうぞ、」
「ええ、変わらぬご愛顧を、」
「よろしくお願い、します」
「よろしく、お願い、いたします」

お互いに、45度の最敬礼。というところで、後ろにお客さんが来た。「あっすみません」と言って横に退く。

見ると、その人もビールを2本持っていた。「カウントダウン、一緒に乾杯しますか」と声をかける勇気はなかったけど、その人もマルさんと何か喋って、笑ってた。じゅうぶんだと思った。


外に出る。いよいよ年が変わる。

10、9、8、7。ポケットに入れていたものを取り出す。
6、5、4、3。中から見えるところで、スタンバイ。
2、1、ゼロ!

小音&飛び散らないタイプ。古いやつで湿気てたのか、飛び散らないタイプゆえか、なんかうまく飛ばんかった……(笑)

セブンイレブン、本年もよろしくね。


■1月4日

三が日があけ、ジャンキーなカップ麺を食べたい気分なのでお店へ。お、レゴシさんがいる。元気になったんだ。

「あけまして、おめでとうございます」
「あけまして、おめでとうございます」

レジ横には、募金箱が増えている。

「いろいろ、大丈夫でしたか?」
「友人夫婦が、旅先で現地に。でも連絡はついてて無事です」
「そうでしたか」
「レゴシさん達は?」
「うちは、ハイ。みんなこっちなんで、大丈夫でした」

年が明けてすぐ、いろいろなことが起きた日本。世界でもずっと、起きている。心のざわざわが続いているけど、ここでの時間があると、ちょっと落ち着いて、考えられる。

「今年もいっぱい、よろしくおねがいします!」と言うと、レゴシさんは「こちらこそ。今年もいっぱい、待ってます!」と返してくれた。


■1月6日

ところで。この日、家にたくさんのお菓子が集まった。忘年会や新年会で持ち寄られるお菓子たちの残りである。そして私は、これを再編集するのが好きである。

編集というとかっこいいけど、「◯◯セット」みたいな感じで、箱にええ感じに詰め直す、という作業。「仕事のお供セット」は、手が汚れへん系の、口にポイッと入れられるやつ。「ゆっくりお茶セット」は、フォークやスプーン使う系と焼き菓子。お煎餅とか柿ピーみたいな「甘いの苦手セット」や、少量パックの「一人暮らしセット」もある。

中でも、一番チカラを入れて作ってしまったのがこちら、「セブンイレブンセット」。もちろん、レゴシさんたちへの「お年玉」と称したお裾分けである。

折り紙は家にローソンのしかなかった

クリスマスプレゼントにフィナンシェ…はいいとしても、こんな大物(?)、怪しいかな、どうかな……と心配だったけど、ちょうど今日は店長さん。中身のいきさつを説明すると、受け取ってくださった。「え、何これ!? すご! アハハハ!!」と爆笑していた。


■1月11日

ここ数日の私は、「冷蔵庫の中身をいかに空っぽに近づけるか」という観点で、自炊をしていた。明日から2週間以上、大阪を離れるため。

これだけよくセブンイレブンに行ってるもんだから、2週間も来なかったら心配されるだろうか。そこまでじゃなくても、「あれ、そういえば来ないね」となるだろうか。ちょっと顔出して、声かけとこうかな。いや〜自意識過剰かな。

炭酸水を買いに、お店へ。マルさんだ、マルさんがいた。かくかくしかじか。

「おお〜いいですね。いってらっしゃい。お気をつけて」
「はい、いってきます!!」
「みんなにも言うときます」
「あはは、よろしくお願いします(笑)」


■1月22日 

さて問題です。大阪にいない私は、一体どこにいるでしょう。

セブンイレブンです。でも、タイのセブンイレブンです。着いて最初に入る店に、セブンイレブンを選んだ私。

かなり暑かったので、アイスを買うことに。タイのセブンイレブン、アイスいろいろあった。あ、これにしよ。何味かわからんけど。

パンダ。なんかおもしろい顔してる。いただきまーす。

ああ、はいはい。黒いところはチョコ味、白いところはミルク味。とてもおいしい。しかも50円くらいだった。

でも、なんか……

食べれば食べるほど、アイスクリームが、スクリームになっていく。
スクリーム、わかります? これね。

パンダアイス、とても良かった。帰ったらレゴシさんたちに、パンダアイスの話、絶対しよっと。


■1月24日

パンダアイスをInstagramにアップしたら、タイ暮らししてた友人が「セブンイレブンのそれ、おいしいよね! チョウチョもあるよ!」とのことで。見つけて、買っているところです。開けます。

すげえ、棒が2本ついてる。わけられるやん。パピコみたいな感じになってる。帰ったらレゴシさんたちに、チョウチョアイスの話も、絶対しよっと。


■1月27日

帰国&帰宅。久しぶりのセブンイレブン in 大阪へ。レジに行くと、「あっ! タイ行ってたんですよね」と、レゴシさん。

「いいな〜、僕まだ海外行ったことないんですよ」
「タイすごく良かったですよ。セブンイレブンもいっぱいあった!」
「おお!」
「っていうか、真っ先に行ったのがセブンイレブンでした」
「アハハ! 売ってるもんとか、やっぱ違いました?」
「えーとね、違うんですけど、同じのもいっぱいありましたよ。たとえばこれとか……」

「え! ブラックサンダーや! えー!!」


タイのセブンイレブン、日本のお菓子いっぱい売ってたよ、という話。「おーいお茶」も「ほろよい」もあって、人気だったよ、という話。店員さんもここみたいに、いい人たくさんだったよ、という話。

久しぶりだったから、嬉しくて、いつもより話してしまった。仕事の邪魔になったらあかんから、ゆうても3分くらいやけど、こんな、おみやげ話をする間柄になるなんて、1ヶ月前は想像もしてなかった。

ちなみに、チェンマイの宿近くのセブンイレブンは、トカゲの赤ちゃんがよく迷い込んでて面白かった。そのたびに店員さん、そっとすくって外に逃がしてた。そのあいだはレジ不在なんだけど、みんなにこにこ見守りながら待ってて、いい時間だった。


■2月1日

この日は、大きく動いた日。

仕事仲間と宅飲みをした私。会議終わりにご飯行って、「もうちょい喋りたいな〜」となり、その流れになった。

仲間のひとりが言う。
「そうや! ここって例の『箱推しセブンイレブン』近いんちゃうん」

また別の仲間も言う。
「あ、しまださんがXで書いてたやつですよね?見ました見ました」

私、「近いよ! 買い出し、レゴシさんとこ行きましょー!」とルンルンでみんなを先導。

「到着、ここでーーーす!」「わー!」

……がしかし、このときの私、すでにだいぶ酔っており。商品をぼんぼんカゴに入れまくっては、仲間に「いやこれはいらんやろ!笑」と一部戻され、という具合。

そしてお店には、レゴシさんとマルさんがいて。マルさんは制服でレジに、レゴシさんは私服でその横に。たぶんちょうど、交代が終わったタイミングだったっぽくて。

「あ!おつかれさまですー!」とレゴシさん。
「どうも〜、あら今日は勢揃いで」とマルさん。

へろへろの私、このへんから記憶があいまい、かつ、途切れ途切れに。みんなを家に呼んで、楽しかったことは覚えてるけど、気付いたら、ベッドじゃないところで寝てた。そして全員帰ってた。うわ、やってもた。

仲間からの置き手紙。と、置きマステ…?



■2月2日

急いで、仕事仲間に連絡して、聞く。

「全然大丈夫やで! いつものアンタやった」
「おかしなことなかった?!」
「いつもおかしいよ」
「そういうんじゃなくて!笑 たとえば同じこと何回も言って困らせてたり、誰かが嫌がることしちゃってたり、」
「してないしてない。でも同じことは何回も言ってたな」

そ、そうか……。

「で、いろんなオモチャ並べて『これは◯◯さん、これは△△くんにあげる』って、渡していってた」

あ、ああ……(笑)

「あとは『セブンイレブンがなくなる、嫌や〜』ってのも、ずっと言ってたよ」

………!



仲間曰く、事の一部始終は、こう。

まず、店入ったあたりから、私のテンションがやたらとハイに。レゴシさんとマルさんに声をかけられ、「あのね、今日はみんなで飲んでて、それで今は買い出しでね、だから、私の大好きなみんなのこと、紹介しよーっと!って思ったの!!」と言っていたそうで。(モノマネで教えてくれた)

マジでさいあく。終わりや。恥ずかしすぎる。「ふたり、困ってなかった…?!!」と聞くと。

「いや、ニコニコしてたし、アンタのその感じにも、めっちゃ笑ってはったよ。んで、私が『レジ終わったでー行くでー』て言っても、全然反応ナシで。まあでも楽しそうやから、とりあえず私らタバコ組が一服する間だけほっとくか〜ってなって」

うん、うん…それで…?

「で、吸い終わったから『はいはい回収しまーーーす』って、連れて帰った」

お、おお…… 助かった、ありがとう…

「でも回収したとき、めっちゃ顔固まってた。『ほんとに? それ、ホントなんですか??』って泣きそうな顔で言うてて。とりあえず水飲ませよ思て、回収したんやけど、覚えてるかな、『もうすぐ店、閉める』って。店員さんたち、『僕らも昨日聞いて、びっくりしてるんです』って言ってたよ」

「いつ?」

「えーと、今月の21日? 22日かな? ごめん、私も飲んでたし曖昧やわ。確かめてみて」


■2月3日

仕事を終えて、今日もセブンイレブンへ。レゴシさん、いた。

「こんばんは」
「あっこんばんは」
「あの、昨日私、めっちゃくちゃ酔ってしまってて」
「あはは、楽しそうでしたね」
「実はあんまり覚えてなくて、なんかヘンなこと言ってないか心配で」
「あ、そんな酔ってたんですか!笑 言ってないですよ、全然」
「それならよかった…んですけど、あの、お店、閉めるって、聞いて」
「はい、びっくりですよね」
「22日、でしたっけ……?」
「21日ですね。で、週末までに業者さん来て片付け…って感じです」

今月の21日…。あと20日もない。

「……さ、さみしいです! とてもさみしい!」
ほんまに悲しい顔で言ったら困らせると思い、ちょっと元気に言った。
「私、毎日きます!!」
今だってほぼ毎日行ってるのに、ヘンなことを言ってるなと思った。

レゴシさんは「はい、毎日待ってます」と言った。


■2月9日


レアなことが起きていた。お店に、レゴシさん、マルさん、店長さんの全員が揃っていた。店長さんは、何やら棚をぐるぐる回りながら、真剣な顔で、チェックリストを作っていた。

「今日は3人とも!」
「そうなんです、いろいろ忙しくて」
「そっか…閉める準備……みたいな感じですか、」
「そうですね。今ある商品をどうしていくんかとか、仕入れる量の調整で」
「こういう時、なるべく売り切れたほうがいいんですっけ」
「はい、だからどんどんセールします。アイスも、一部半額にしてますよ」
「アイス! 半額!」

商品の種類によっては、値下げが少ししかできないルールのものもあるけれど、できるものについては、なるべく売り切るためにも下げていくのだとか。

ちなみに、私がクリスマスにフィナンシェを渡した頃には、彼らの妹さん含め、バイトの方が他にも2〜3人いた。けれど、閉店が決まったこともあり、今は店長、レゴシさん、マルさんの3人で回しているみたい。


■2月11日

各棚に、セールのお知らせが貼られている。「限界値下げ」「この棚、半額です」などなど。文具も、調味料も、生理用品も、めちゃくちゃ安い。たくさんあっても困らないものなので、カゴの中に、多めに入れさせてもらう。

ぼちぼちレジに向かいながら、目が合ったレゴシさんに言う。

「めっちゃ安くなってますね」
「でしょ」
「これとか100円以下で、びっくりしました」
「はは、ほんまですね。100均より安いセブンイレブンです」

レジにカゴを置く。

「いっぱいありがとうございます。でも気ぃ遣わんといてくださいね!」
「いえいえ! 日用品ありがたいなーって。友達にも渡そうと思って」
「ぜひぜひ! たぶん、他の棚も安くなってくんで」


■2月14日

バレンタインデー。そんなん、あげるに決まってるやろ。

「ガトーショコラ、ありますか!」
「あいよ、あるよ〜。何個する?」

よく行くカフェのお姉さんから、ガトーショコラを買う。個数を伝えると、「あ、セブンイレブンやろ?笑」とバレる。

そうです、店長さんと、レゴシさんと、マルさんのぶんです。チョコいけるかな〜って思ったけど、ちゃんと事前に聞いてある。みんな、甘いの、好きだもんね。

カフェのお姉さんに「いってらっしゃーい」と見送られ、そのままお店へ。店長さんだ。

「ハッピーバレンタインです。みんなでどうぞ!」
「わ、やったー…!ありがとうございます…!!」

やったー、だと??? すみません、可愛いぞ。

「近くのカフェのやつです。すごくおいしいんですよ」
「えー! 嬉しいです。どこだろう、カフェ」
「ここのちょうど反対側の……ナポリタンとかハヤシライスも激ウマですよ」
「あっち側の道、あんまり行ってなかったです!今度通ってみます!」


■2月16日

1週間を、切った。いよいよ実感が迫ってきて、本当にさみしくなっていた。お店には、棚とにらめっこしながら何かを書き込んでいる店長と、レジ係でマルさんがいた。

店長さんやレゴシさんには、まだそんなにメソメソしてない。けれど、マルさんは何故か、「さみしいです」を、ちゃんとさみしい顔で言える相手だった。

お会計中、マルさんが言った。

「どれくらいまで、聞きはりました?」
「どれくらい、っていうのは…」
「僕らの、閉店後の話とか」
「えっ、いえ、まだ何も聞いてないです…!」

ちょうど後ろにお客さんもいなかったので、マルさんは丁寧に説明してくださった。このお店は21日の「15時」で閉店すること。なくなった後に何ができるかは、この場所のオーナーしか知らず、3人も聞かされていないこと。

そして、なくなるのはなくなるけれど、3人はバラバラになるわけではないこと。店長が上に交渉した結果、3人揃って、新しい町のセブンイレブンで、また一緒に働けること。

「みんなで?」
「そう、みんなで、新しい町に行きます」
「そっか……! なくなるのはさみしいけれど、それはよかった……!」


マルさんは続けた。

「レゴシ君は今回はじめてのコンビニですけど、僕と店長はもう、長いんです。この店舗に来る前から、セットで動いてて」
「そうだったんですか」

「僕はもともと、ブランクっていうんですかね、休む期間もらいながら今日まで来てて。でも店長は、そういう部分も理解してくれはったんです。今まで何回抜けたかわからん。けど、戻るたびに、いつも通りに迎えてくれて。僕は、店長がいるから働けてるようなもんです。だから、次もついていきたいって僕が言ったし、店長も、一緒に行こって言ってくれたんです。ね? 店長」

マルさんは、棚のところにいる店長に言った。店長は振り返って「え、何が」と言った。

「今私、マルさんから、店長のめっちゃいい話を聞いてました」
「えー! 何? 何ですか?笑」
「僕が店長の、金魚のフンやという話ですわ」
「アハハ、何それ」
「お二人がずっと一緒に働かれてて、とてもいい関係ということを伺ってました」
「ああ〜。はい、そうですね、もう長いですね」
「そろそろ、手え繋いだろかおもてるんですけどねえ」
「それは! 棚が! 本棚が変わります!!」
「「アハハハ」」

この日はちょうど、仕事仲間と買いに来てた。隣で聞いていた仕事仲間は、お店を出たあと、私に言った。

「今まで、家の近所とか、会社の最寄りとか、コンビニが閉店するところは何度か見てきたけど、正直、『あー、なくなっちゃったか〜』くらいで、それ以上を思ったことがなかった。でも今回、ここのことをアンタから聞いて、意識するようになって、今はじめて『さみしい』って、思ってる。だから、アンタはもっとさみしいやろうな」


■2月17日

お店の棚が、いよいよ空っぽになってきた。冷蔵のものは結構揃ってるけど、そうじゃない棚が、どんどん空っぽになってきた。それを見て、気付いた…というか、決心することがあった。

お店の中の風景が変わっていく。でも、私は変わらないことにする。

というのも、ここ最近は「安くなってますね」とか「減ってきましたね」とか、つい話題にしやすくて、一言目で言っちゃってた。けど、なんか違う。もちろん、自然な流れでそうなったら喋るけど、これまで通り、今日も明日も、普通の話を、みんなとしよっと。

「こんばんは」
「こんばんは」
「おつかれ様です」
「おつかれ様です」
「今日はサラダ、たくさん食べるんです」
「サラダ、いいですねえ。たくさん食べてください」


■2月18日

大阪の、とあるまちのセブンイレブン。私が今、一番よく行くお店です。週8くらいで通ってます。そして私はこの店を「箱推し」しています。ここで働く3人が、とても素敵だからです。

名前は、レゴシさん、マルさん、そして店長さん。レゴシさんはおおらかで、よく笑う人で、チロルチョコを掴むその手も優しい人です。マルさんは素直な気持ちで話しやすくて、みんなのことを何でも知ってる人です。店長さんは従業員想いで、仕事内容じゃなくその人の人生を見守っていて、ちょっと天然さんで面白いです。


このnoteは、3人との記録。思いのままに、好きな人達との時間を書きのこしました。今日も、ビールと牛乳を買いに行きます。今日は誰がいるんやろ。楽しみ。


閉店まで、あと3日。


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