論理的な文章作成
技術士2次試験においては、常に論理的であることが求められるはずです。
我々のような工学の粋を極めようと考えている者であれば、定量的な事実から客観的に推論し、それを言葉にしなければなりません。従って、本稿では論理的な文章作成についてーいつでも思い出せるためにー記します。
サムネのように、脳みそが溶けたような状態に陥ってはダメです。
1.チャーチルのメモ
当時、イギリスの宰相にあったチャーチルは、大量の書類に目を通す必要がありましたが、その1つ1つがとても長く、要点が分かりづらいため、時間の無駄だと言っています。そこで、次のようなメモを残しています。
①報告書は、要点をそれぞれ短く、歯切れのいいパラグラフにまとめなさい。
②複雑な分析、統計に基づく報告書の場合、要因の分析などは付録のしなさい。
③正式な報告書ではなく、見出しだけをならべたメモを用意し、必要に応じて口頭で補いなさい。
④「次の諸点を心に留めておく必要がある」、「~の可能性も考慮すべきである」といった文言は無駄である。省くか一言で言いきりなさい。
これらの指摘は、そのまま技術士試験に当てはめることができます。筆記試験では、試験官は大量の答案を読む必要があるわけですから、当然読みやすいほうが良いです。しかし、ただ読みやすいだけだと中身がありませんから、そこに専門性と言う付加価値を補う必要があります。論理的であり、専門性を有している文章を作成することが出来れば、筆記試験合格に近づくと考えます。
2.どのように書く?
いろいろと制限があると、文章は書きづらいと思います。特に、試験時間は長くありませんから、書き始めたらほぼ一発勝負のようになってしまうと思います。
技術士試験は、題意に沿う必要がありますから、聞かれている内容に対する目標規定文を考え、それに対する理想と事実を書いて、理想に近づくための問題点を書きます。
(1)目標規定文の決定
(2)理想と事実
(3)問題点(課題)
例えば、前年度の筆記試験では以下のような問いが出ています。
ここで聞かれていることは、「生産性の向上」です。そして問(1)では、「多面的な立場から課題を抽出し分析」とありますので、目標規定文は、「生産性の向上を妨げている事実」について記す必要があります。従って、私が考える目標規定文は次の通りです。
1) 担い手不足(人が足りていない)
2) 技術継承不足(熟練技術者の離職に伴う技術の空洞化)
3) 一品受注生産方式(そもそも生産性が悪い)
次項にて、もう少し詳しく触れていきます。
3.論理的な文章
(1)目標規定文
本来の目標規定文の意味-これはあくまで造語であり、正式な日本語ではない-とは、主題の後に来る、(これから書こうとする)主張を一文にまとめたものです。原則、一文目に書くと、それ以降に書いている内容のおおよそをつかむことが出来ます。
しかし、ここでは、目標規定文を題意に対する課題(上記の1)~3))として捉え、あくまで本文中には入れません。なぜなら、そうした方が(私が)書きやすいからです。
技術士試験において、題意に沿って論理的に文章作成する上では、目標規定文を正確に設定することが必要不可欠です。その対策として、一般的には「骨子法」と呼ばれる方法があります。しかし、コツが分かればこれを丸暗記する必要はないらしいです。技術士試験で必要な目標規定文の設定には、「人・モノ・金・法・技」を基にすれば、大きく外れることはないと思います。私の場合、課題が出された時に次のように考えます。
①その課題に対して人(担い手、技術者)が足りないのではないか
②その課題に対してモノ(生産性、耐久性)が足りないのではないか
③その課題に対して金(財源)が足りないのではないか
④その課題に対して法(法律、制度、規定)が足りないのではないか
⑤その課題に対して技(高度技術、技術力)が足りないのではないか
(2)理想と事実
目標規定文が決まりましたら、理想と事実について記す必要があります。技術士試験においては、国土交通省白書にて言及されていることから出題されるケースが多いです。白書の内容は、ほぼ理想だらけです。日本の現状の問題点を指摘して、それに対する対策を示していますが、その対策の本質的な課題までは触れていないわけです。ですので、白書では「生産性を向上させましょう!」と書かれていても、「いやいや、ちょっと待って」と思うことがあるかもしれません。これが理想と事実です。理想と事実のギャップに課題が生まれます。なので、それを記しましょう。
(例文についてはまた今後)
理想と事実を書く上で大切なことは、自分の意見を入れないことです。論理的な文章とは、事実に基づいて書くため、自分の意見は最後に少し述べれば良いのです。
一方で、文章を書く上で、理想と事実の部分がウェイトを占めることになると思います。ここでちぐはぐになると、次に繋ぎにくくなります。よって、次のことを意識しましょう。
一文は50字以内。
論理的な文章はもとより、読みやすい文章と言うのは、一文が短いです。自分が考えているもやもやを一文で表せるような練習が必要となります。
(3)問題点(課題)
最後に問題点を書きます。理想と事実のギャップから、もう書くべきことは決まっていますから、大切なことは言い切ることです。チャーチルのメモにもありましたが、憶測ないし中途半端な推論は邪魔です。言い切りましょう。もし、履き違えことがあれば、それは題意を捉えきれていないのです。
4.逆茂木型の文章
日本語の特性として、思いついたことを順番に書いて文章を作成すると、逆茂木型の文章になります。どういう文章かと言うと、全体を読んで、やっと内容が分かる文章のことです。これを避けるために、目標規定文があり、論理的な文章の作成方法と言うものがあります。
技術士試験では、これを避ける必要があります。繰り返しますが、試験官は多くの文章を読まないといけないので、トピック毎の文章と言うのは、早い段階で何を書いているのかを伝える必要があるからです。避けるための具体的な方法は以下の通りです。
①修飾節の扱いには注意する。
②なるべく、前文とのつながりを浮きだたせるような接続詞から書き始める。
5.その他のテクニック
①漢字表記とかな表記
特に、接続詞で用いられている漢字は、あえてかな表記にした方が読みやすい傾向があります。
予め→あらかじめ、即ち→すなわち、及び→および、出来る→できる
追記予定
6.まとめ
メモ書き程度で書いたので、特に読み直していません。絶対にどこかで更新します。
技術士試験について偉そうにいろいろかいてきましたが、私自身、初受験の身なので、継続して勉強に励もうと思います。
今回のこの内容は、主に問題ⅠおよびⅢに焦点を当てています。
よかったら参考にしてください。