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技術士2次試験_選択科目対策(1)

技術士試験は問題ⅠとⅡ、Ⅲで時間が分けられています。後半戦である問題Ⅱ、Ⅲのうち、問題Ⅱに関しては、条件反射レベルで解答していかないとⅢに割く時間が無くなり詰む可能性が非常に高くなります。一方で、専門性が問われる問題なので、Ⅰ、Ⅲとは異なり論理的な文章作成は必要ありません。従って、本記事では専門分野であるコンクリートについて、試験で必要とされるであろうポイントをピックアップし、試験対策とします。
文章のボリュームは大きいですが、内容は軽くて薄いはずです。

1. コンクリートの施工

1.1 暑中コンクリート
暑中コンクリートとは、日平均気温が25℃を超えることが予想される期間に打設するコンクリートのことを指す。以下に、施工工程での問題点を記す。
①材料・配合
外気温が高く、水和反応が促進されることが予想されるため、スランプロスが発生する。打開策として、凝結遅延剤を混和する。
また、練り混ぜ時の材料は出来る限り温度が低い状態を保つ。例えば骨材の場合、直射日光が当たらないよう屋根を設けたり、冷水の散布や液体窒素で冷却する方法がある。
②運搬
時間以内に運搬できるような施工体制とする。緊急時の連絡体制を整えること。出荷してから攪拌時間が長いと、打設時にスランプロスが発生することで、ポンプ圧送が滞り、結果的に初期欠陥を伴う可能性が高くなる。従って、効率的な配車計画とする。
③打ち込み
コンクリートの打設温度が高いと、セメントの水和反応が促進されるため凝結が早くなる。これに伴い、運搬時や水分の蒸発によってスランプロスが発生することから、打ち込み時にコールドジョイントが発生しやすくなる(先行打設したコンクリートとの一体化不足)。以上より、練り混ぜを開始したコンクリートは可能な限り早く打ち込む必要がある。コンクリート標準示方書では、外気温が25℃を超える場合、練り混ぜ開始から打設終了までを1.5時間としている。
④養生
養生中のコンクリートは、急激な水分の蒸発によるプラスチック収縮ひび割れに注意する必要がある。対策としては、水分の供給を十分に行って湿潤状態を保つことが重要である。施工上、湿潤状態を保つことが難しい場合は、直射日光や風当たりを防ぐ環境上の工夫を行う。

1.2 寒中コンクリート
寒中コンクリートとは、日平均気温が4℃を以下になると予想される期間に打設するコンクリートのことを指す。以下に、施工工程での問題点を記す。
①材料・配合
セメントの種類は普通ポルトランドセメントまたは早強ポルトランドセメントを用いることを標準とする。骨材については、出来る限り冷やさないようにする。氷雪が混じった状態で練り混ぜ行ってはならない。温める過程で、セメント及び骨材を直接加熱してはいけない。水に関しても、冷水の状態ではなく、温水を用いると良い。この時の温度は40℃以下を目安にする。
初期凍害防止対策として、AE剤(AE減水剤、高性能AE減水剤)を混和してAEコンクリートを適用する。
②運搬
同上。
③打ち込み
コンクリート標準示方書では、外気温が25℃を以下の場合、練り混ぜ開始から打設終了までを2.0時間としている。
打ち込み時は鉄筋、型枠に氷雪が付着していてはならない。
④養生
コンクリートが初期凍害を受けなくなるとみなされる圧縮強度を得るまで、凍結させないように養生する(大体5N/mm2)。コンクリートが初期凍害を受けるとその後の養生がしっかりしていても、要求される強度、耐久性、水密性を確保することが出来なくなる。具体的な養生方法としては、硬化時の水和熱の放熱を抑制する保温養生と、ジェットヒーター等を用いてコンクリートを温める給熱養生がある。保温養生では、熱伝達率が小さく品質の良いものを適用する。給熱養生では、局部加熱とならないような配置計画とすることが留意点である。また、どちらの養生に関しても、一気に養生を辞めると、表面の温度差を起因として温度ひび割れが発生するため、終了時も計画的に行う必要がある。
また、コンクリート標準示方書では次の文言がある。強度が得られるまでのコンクリートの温度は5℃以上に保ち、さらにその後2日間は0℃以上に保たなければならない。

2. 特殊なコンクリート

2.1 マスコンクリート
①概要
部材寸法が大きく、セメントの水和熱による温度上昇を考慮して施工する必要があるコンクリートのこと。
コンクリート標準示方書では、「広がりのあるスラブの場合は厚さが80~100cm、下端が拘束された壁の場合は厚さが50cm以上あるコンクリート」をマスコンクリートの目安としている。
マスコンクリートで留意する必要のある現象としては、温度ひび割れがある。温度ひび割れについては、温度応力解析によって構築するコンクリートの経時変化を確認し、必要な対策を検討しなければならない。
②温度ひび割れ
温度ひび割れは、コンクリートが硬化する過程で、なんらかに拘束されることで発生する。その拘束要因として、内部拘束型と外部拘束型の2つがある。
内部拘束型とは、水和熱によって温度が上昇したコンクリートの内外温度差によって生じる。特に外気温が低い場合はコンクリート表面も低くなるため、表面ひび割れが発生する。材齢初期に確認されやすいため、保温養生等を行って防ぐ必要がある。
外部拘束型とは、温度降下時の収縮作用が、先行打設したコンクリートや岩盤に拘束されることで生じる。このひび割れは、部材を貫通する可能性があるため未然に防ぐ必要がある。発生時期は、材齢がある程度進んだ段階で発生する。対処方法としては、温度降下量を低減する必要があるため、パイプクーリングによって冷水をコンクリート内部に循環させて、水和促進時期の温度上昇を抑制する必要がある。
③その他
マスコンクリートでは、ひび割れを許容する代わりに有害なひび割れは発生させない対処方法として、ひび割れ誘発目地の設置が挙げられる。壁状コンクリート(ボックスカルバートの側壁など)に適用することが多く、計画的にひび割れの発生箇所を制限することが出来るため、温度ひび割れを抑制することが出来る。

2.2 高流動コンクリート
①概要
フレッシュ時の材料分離抵抗性を損なうことなく、流動性を著しく高めたコンクリートのこと。締固め作業を必要としない、自己充填性を有しており、型枠の隅々までコンクリートを充填することが出来る。
これらの利点から、近年の耐震化に伴う高密度配筋や、担い手不足によるコンクリート工の省人化の観点から、適用する場面が増えている。高流動コンクリートは、流動性を確保するための高性能AE減水剤(または高性能減水剤)と材料分離抵抗性を確保するための方法として粉体系、増粘剤系、併用系を組み合わせて製造する。
②施工上の留意点
高流動コンクリートは、メリットが多い分、施工上の留意点が多い。
製造時は、骨材の表面水率の変動がフレッシュ性状に及ぼす影響が大きいため、細骨材の表面水率変動を極力小さくする必要がある。
高流動コンクリートは通常のコンクリートに比べて、粘性が高く、ブリーディングが少ないため、表面仕上げをするときは、水を噴霧しながら仕上げる必要がある。
養生については、直射日光、急激な乾燥、急激な温度変化を避け、湿潤状態に保つ。
流動性が高く、凝結も遅くなる傾向にあるため、長時間にわたって側圧が減少しにくい。このことから、型枠のグレードに関しては液圧が作用するとして設計しなければならない。

その他、軽量コンクリート、吹付けコンクリート、水中コンクリート、水中不分離コンクリート、ダムコンクリート、舗装コンクリート、短繊維補強コンクリートについては、出題回数が少ない(または無い)ため省略

3. 耐久性

3.1 アルカリシリカ反応
①概要
コンクリート中の水酸化アルカリと骨材中のアルカリ反応性骨材が化学反応を起こすことでアルカリシリカゲルを生成することである。このアルカリシリカゲルは吸水膨張性を有しているため、雨水等によって膨張し、コンクリート表面の引張応力を上回ることでひび割れが顕在化する。無筋コンクリートの場合は亀甲状のひび割れが発生し、鉄筋コンクリートの場合は主筋に沿ったひび割れが発生する。
②新設構造物に適用する劣化対策
骨材の反応性試験(化学法、モルタルバー法等)において、「無害」と判定された骨材のみを扱う。
コンクリート中のアルカリ総量を3.0kg/m3以下にする。
水の侵入を防ぐために、表面保護工を行う。または、水かかりが少なくなるように排水工を設ける。
③劣化後の対策
これ以上の吸水膨張を防ぐため、表面保護工を行い、水が浸透しないようにする。
アルカリシリカ反応そのものを抑制するため、亜硝酸リチウムを注入する。

3.2 塩害
①概要
コンクリート中に浸透した塩化物イオンが一定の濃度以上になると鉄筋の不動態皮膜を破壊する。その後、鉄筋が水や酸素を接触することで、鉄筋が腐食・膨張し、コンクリート表面にひび割れが発生する。
②新設構造物に適用する劣化対策
被覆鉄筋を用いる。
練り混ぜ時にコンクリートに含まれる塩化物イオンの量を規制する。(0.3kg/m3以下)
飛来塩分の侵入を防ぐため、表面保護工を適用する。
③劣化後の対策
塩化物イオン濃度が高い部分をはつり、断面修復をする。
電気化学的工法として、脱塩工法を適用する。(劣化因子の除去)
鉄筋の腐食進行を抑制するため、電気防食工法を適用する。
鉄筋の不動態皮膜を再生させるため、亜硝酸リチウムを注入する。

3.3 中性化
①概要
高アルカリ環境下であるコンクリートの中に二酸化炭素が侵入すると、水酸化カルシウムなどのセメント水和物と炭酸化反応を起こす。そうすると、細孔溶液中のpHが下がることで鉄筋の不動態皮膜が破壊される。この露出した鉄筋に二酸化炭素や水が接触することで鉄筋が腐食・膨張し、コンクリート表面にひび割れが発生する。(pH11以下で不動態皮膜が破壊)
②新設構造物に適用する劣化対策
フライアッシュセメント用いない。
高温・低湿な環境にしない。(中性化速度の低下)
③劣化後の対策
中性化領域を回復するため、再アルカリ化工法を適用する。
基本的には塩害と同じ

3.4 凍害
①概要
寒冷地帯で発生するコンクリートの劣化現象のことである。コンクリート中の水分が凍結による膨張、日射による融解(凍結融解作用)を繰り返し受けることで、ひび割れや剥離・剥落が発生する。
②新設構造物に適用する劣化対策
AE剤を用いたAEコンクリートとする。AE剤によってエントレインドエアの連行を促進する。対凍害性は気泡間隔係数が小さいほど向上する。
水の侵入を防ぐため表面保護工を行う。
③劣化後の対策
これ以上の水の侵入を防ぐため表面保護工を行う。

4. 補修・補強設計

4.1 調査項目
①机上調査(資料調査など)
対象構造物の建設年度、設計基準、設計条件、構造諸元、配筋図などを調査する。調査結果については、次に記す現地調査結果を踏まえて現状との整合性を取り、施工計画を立案する。
②現地調査
対象構造物の供用状況について調査する。机上調査における設計条件通りの供用がされているかの確認を行う。また、施工時の仮設方法についても調査する。欠陥が明らかな場合は、必要な非破壊検査、微破壊検査、コア抜きを行い、コンクリートの状態を調査する。設計図書が無い場合は、電磁波レーダーを用いた配筋探査、コンベックスや巻き尺を用いた寸法の測量を行う。

4.2 業務手順と留意点
①机上調査
対象構造物の机上調査を行う。建設年度が古いと設計図書が無いケースがある。この時は、建設時に携わった関係者(電力会社等)が所持している可能性がある。
②現地調査
対象構造物の現状調査を行う。山岳部や海上等、車や足だけでは簡単に辿り着けない場所に位置しているときは、AIによるひび割れ検出を搭載したドローンを用いるなど、業務を省力化することを考える。
③復元設計(主に補強設計の場合)
調査結果を基に、対象構造物の復元設計を行う。当初基準では問題なくても現行基準では性能を満足できないケースがある。所定の性能を確保できるような補強設計を行う必要がある。
④補修・補強設計
対象構造物の今後の要求性能を明確にしたうえで、LCCが最少となるような設計を行う。施設が複数ある場合は、施設ごとの性能評価を行い、供用状況を勘案しながら、補修・補強の優先順位を決めるアセットマネジメントを適用する。
⑤複合劣化
供用状況によっては、複合劣化について懸念する必要がある。塩害とASR、凍害とASR等
それぞれの劣化要因については、劣化予測が可能だが、複合劣化となった場合は劣化予測が困難となる。仮に出来たとしても実情との乖離が大きい。従って、現状の劣化から、構造体に与える影響の大きいほうから対策をする等、調整する必要がある。

4.3 関係者との調整について
①調査会社
該当施設の機密情報などを除いた上で、可能な範囲の資料を共有し、机上調査の段階から参加してもらい、必要とするデータや大まかな業務の流れの意思疎通を行って手戻りを少なくすることが重要である。
②施工会社
調査会社との現地調査の段階から参加してもらい、供用状況や施工に関する構想を共有する。劣化度によって、行う補修補強の種類が変わってくるため、柔軟な対応ができるよう意思疎通を図ることが重要である。
③管理会社
道路を占有する場合は道路管理者、河川の中に仮設を行う場合は河川管理者に事前に相談を行う。施工計画はなるべく早く提出し、工事が滞りなく進むように留意する。

5. プレキャスト化と現場打ち

5.1 プレキャスト化
建設業における一品受注生産は非常に生産性が悪く、様々な課題が取り上げられている。そのうち、担い手不足による省力化・省人化を実現化するための解決策が部材のプレキャスト化である。しかし、適用にあたっては検討項目が多い。
①仮設ヤードの確保
プレキャスト部材を仮置きし、クレーン等の重機を配置できるほどのスペースがあるかどうかを検討する。部材が大きくなれば、クレーンのサイズも大きくなるため、配分を考える。
②搬送ルートとプラント
プラントから現場までの搬送ルートについて、搬送が可能かどうか検討する。また、プレキャスト部材がプラントから安定供給出来るかどうかも併せて検討し、複数のプラントを用いる時は詳細な検討を行う必要がある。特殊車両を用いる場合は、道路管理者ごとに事前に申請を行う。
③分割方法
プレキャスト部材の分割位置については、所定の性能を満足するように決める。部材が大きいと分割個数は少ないが、クレーンの性能や搬送の可否によっては理想な分割ができない可能性もある。また、設計上有利な分割が出来なくなった場合は再度検討し、断面力が小さいところで分割をする。
④継手方法
分割個数が多くなると継手箇所も増える。また、分割個数が多いと、劣化因子の侵入する箇所も増えるため、継手部には適切な処置が必要となってくる。具体的な方法として水の侵入を防ぐため、シーリングを行う等が挙げられる。
また、部材同士の継手に関しては、適切な方法を選定する。

5.2 現場打ち
全ての構造物をプレキャスト部材で構築できれば苦労することは無く、現実的に課題が多いため、現在でも現場打ちが主流であることに変わりはない。その上で、現場打ちにおける作業短縮のための検討項目を記す。
①鉄筋のプレハブ化
鉄筋を先組みすることで、型枠設置後すぐにコンクリートを打設することが出来る。型枠工と鉄筋工の並行作業を実現する考え方である。留意点としては、作業を行えるほどの十分な施工ヤードがあるか、吊り上げ時に鉄筋がずれたりしないか、吊り上げるほどのクレーンを手配できるか等が挙げられる。また、途中で設計変更となった場合は、手戻りが大きい。
②高流動コンクリート
同上。
③高強度コンクリート
早強セメントを用いて強度発現速度を早くし、養生期間を短くする。コンクリート構造物は、部材(基礎、梁、壁など)単位で目標とする脱枠までの強度があるため、これを確実にクリアするために、高強度コンクリートを適用する。


一発書きだったので疲れました。
後ほど修正・加筆します。。。(9/13)
追記・微修正(9/15)

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