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第67号(2020年1月6日) 2020年、ロシアの軍事支出は?
存在感を増す「軍事大国ロシア」を軍事アナリスト小泉悠とともに読み解くメールマガジンをお届けします。
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【インサイト】2020年、ロシアの軍事支出は?
あけましておめでとうございます。
昨年中はもう一回メルマガを発行するつもりでいたのですが最後の月曜日は祝日扱いで発行日に当たっておらず、ちゃんとご挨拶できずに年を越してしまいました。相変わらず間抜けで恐縮ですが今年もよろしくお願いいたします。
新年一発目は、昨年12月に出た2019年度ロシア連邦法第380号『2020年度及び2021-2022年の計画年度におけるロシア連邦予算について』(以下、連邦予算法)を元にロシアの軍事支出とその中身を考えてみたいと思います。
この法律のタイトルからも明らかなように、ロシアの連邦予算は3カ年計画として策定されています。正確にいうと、どこの国でも作られる次年度予算に加えて、続く2年度分が「計画予算」として策定され、向こう3年間の予算計画が示されます。
「計画予算」はあくまでも「計画」なので状況を見て変更される前提ですが、ロシア政府がどこに金を重点投資しようとしているのか、どこを削ろうとしているのかといった大雑把な指標は読み取ることができます。
また、連邦予算法の中では省庁別だけでなく政策分野別にも予算配分が示されます。例えば国防は「大項目02」とされ、国防省(省庁番号187)だけでなく、他の役所に割り振られる国防関係の予算などもここに分類されます。
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