第279号(2024年9月9日) ロシアの核ドクトリン改訂問題と「核攻撃リスト」
【今週のニュース】ロシアの核ドクトリン改訂問題と「核攻撃リスト」 ほか
ウクライナ軍の総兵力は88万人
ウクライナ軍の総兵力は現在、88万人であることを同国のゼレンシキー大統領が明らかにした。ドイツの公共放送ARDとのインタビューで明らかにしたもの。また、このインタビューでは、約3000万人の人々がウクライナに残って働き、税金を払っていると述べ、開戦前の労働人口3700万人と比較して700万人ほど減少(多くは国外に脱出したとみられる)したことを認めた。
なお、2024年度版の『ミリタリー・バランス』では、ウクライナ軍の総兵力は「50-80万人」と見積もられていた。内訳は陸軍が20-35万人、領土防衛軍が同じく20-35万人、空挺部隊が4万人で、このほかに海軍2万人、空軍3万7000人、特殊作戦軍3000人とされている。これらの推定値の上限を取ると概ねゼレンシキーの発言と一致するが、ここでいう「88万人」には内務省国家親衛軍などの準軍事組織も含まれているだろうから、陸軍と領土防衛軍の実際の兵力はそれぞれ25-30万人というところではないだろうか。
米国での砲弾増産の動向
8月29日、AP通信は、ペンシルベニア州にあるスクラントン砲弾工場についてのレポート記事を掲載した。同工場は現在、4億ドルの費用を投じて砲弾生産ラインの増設を図っており、他の二つの工場と合わせて砲弾生産領を月産2万4000発から3万6000発へ増加させようとしている。
これら三工場はジェネラルダイナミクス(GD)の傘下にある。スクラントン工場とは別のテキサス州メスキートにある砲弾工場については6月に『ウォール・ストリート・ジャーナル』が別のレポートを掲載しており、こちらはスクラントンよりも多くの砲弾生産を可能とすべく、今秋に向けて新ラインを整備しているという。米国の目標は2025年末までに月産10万発であり、メスキート工場はその半分の生産を担う予定である。
北方領土での対日戦勝記念日行事とその周辺
9月3日、北方領土の択捉島で対日戦勝記念行事が実施された。島の中心部である紗那(ロシア名:クリリスク)で第18機関銃・砲兵師団(18PulAD)師団長のアルヒポフ大佐が挨拶を行ったことが報じられているが、これを見ると師団長は引き続き変化していないことがわかる。
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