第281号(2024年10月7日) ゼレンシキーの「勝利計画」とロシアの核ドクトリン改訂論の見どころ
【今週のニュース】相変わらずじわりと進む中露軍事協力
ロシア軍が中国製軍用車両を使い始めた?
ロシア軍に中国製のZFB-05軽装甲車が配備されているという話がテレグラム等で出回っている。大手紙『モスクワ・タイムズ』ものこの話を取り上げており、全線で撮影された写真に映っているのは確かにZFB-05だという専門家の談話を紹介した。また、この専門家は、ZFB-05が中国から直接供与されたものではないとしても、アフリカあたりからブローカーを介して買ってこられるだろうという見方も示している。
今年春以降、米政府は「中国がロシアの戦争を支援している」として非難を強めてきた。他方、9月時点でもバイデン大統領は「中国からロシアへの兵器供与は確認されていない」としている。
ZFB-05もそう幅広く観察されているわけではないのであくまでも例外的な事例と考えるべきであるかもしれないが、その例外が観測気球として使われている可能性も排除できまい。今後、ドンバスの戦場に中国製兵器がどのくらい登場してくるのかに注目したい。
中国海警が北極圏に初展開
前号では、オホーツク海での演習を終えた中露艦隊がベーリング海峡を超えて北極海まで足を伸ばす可能性について指摘した。今のところ中露海軍が北極海に入ったという情報はないが、代わりに中国の海警(沿岸警備隊)が初めてベーリング海に展開し、ロシア沿岸警備隊と合同訓練を行なったと報じられている。実施海域はロシアと米国(アラスカ)のちょうど中間あたりに浮かぶセント・ローレンス島の沖合で、中露がそれぞれ2隻の巡視艇を出して行われたという。
上掲の記事にもあるように、中露は2023年に沿岸警備機関間の協力強化に関する覚書に署名しており、今回の訓練はそれに基づくものであった。
また、中露は8月、爆撃機による合同パトロール飛行をベーリング海峡よりもさらに北極側のチュクチ海で初めて行なっていた。
アラスカ沖でロシア戦闘機が米戦闘機に異常接近
10月1日には、ロシアのSu-35S戦闘機が米空軍のF-16戦闘機に異常接近する様子がNORADによって公開された。日付は9月23日とのことであるから、中露艦隊が宗谷海峡を通航してIl-38哨戒機が日本領空を侵犯した日である。どうもこの日、北太平洋ではロシアがかなり乱暴な調子で軍事活動を行なっていたようだ。
【インサイト】ゼレンシキーの「勝利計画」とロシアの核ドクトリン改訂論の見どころ
悪化し続けるドンバスの戦況
ここから先は
¥ 500
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?