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第33号(2019年4月12日) ロシア軍の近代化状況-1


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【インサイト】ロシア軍の近代化状況-1

 4月12日の宇宙飛行士記念日に合わせて、ロシア国防省は定例の「軍需製品統一受領日(Единый день приемки военной продукции)」を開催しました。現在のショイグ国防相のイニシアチブで開催されるようになったイベントで、四半期ごとに装備品の受領状況が報告されます。
 今回の軍需製品統一受領日に際して、国防省はクリヴォルチコ国防次官(装備担当)とイワノフ国防次官(インフラ担当)の詳細な報告レジュメを公表し、包括的かつ突っ込んだ情報が公開されました。
(注:ロシアの役所では大臣の次に第一次官が置かれ、その下に担当分野別に複数の次官が居る。国防相の場合はさらに特殊で、軍政を担当する第一次官のほか、軍令を担当する第一国防次官兼参謀総長が置かれている)。
 筆者は最近の『軍事研究』誌で8回にわたってロシア軍の装備計画である「2027年までの国家軍備プログラム(GPV-2027)」の内容を紹介したばかりでもあるので、その最新状況アップデートを兼ねて、ショイグ国防相と2人の国防次官の報告内容を2回に分けて紹介していきたいと思います。

前編の今回は、装備品の近代化状況について見ていきましょう。まずショイグ国防相の報告から装備品に関連する部分を抜き出すと次のとおり。

・第1四半期において納入された装備品は、新規生産500点以上、修理済み約50点であった。内訳は、
 -航空機:13機
 -ヘリコプター:Mi-28、Mi-35M、Mi-8各タイプ系31機
 -カリブル巡航ミサイル:48発
 -自動車:ティーグル軽装甲機動車、ウラル社製トラック、カマズ社製トラック計540輌

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