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ロシア連邦軍事ドクトリン(2014年版)


ロシア連邦軍事ドクトリン

(2014年12月25日、大統領令2976 号により承認)


第1章 総則

1 ロシア連邦軍事ドクトリン(以下、「軍事ドクトリン」という)は、ロシア連邦の軍事的防衛に関する準備及び軍事的防衛に関し、政府が公式に採択した観点を系統的に示すものである。

2 軍事ドクトリンでは、ロシア連邦に対する軍事的危険、及び軍事的脅威に関する分析、並びにその同盟国の利益を基礎とし、軍事政策及び国防の軍事・経済的保障に関する基本規定を定める。

3 軍事ドクトリンの法的基礎は、ロシア連邦憲法、国際慣習法、国際法規範、ロシア連邦が国防、軍備管理及び軍縮の領域で結んだ国際条約、連邦憲法及び連邦法、並びにロシア連邦大統領及びロシア連邦内閣の発出する法規範的アクトである。

4 軍事ドクトリンにおいては、2020年までのロシア連邦長期社会経済発展概念及び同年までのロシア連邦国家安全保障戦略の基本規定並びにロシア連邦対外政策概念、同年までのロシア連邦海洋ドクトリン、同年までの北極圏の発展及び国家安全保障確保のためのロシア連邦の戦略その他の戦略計画文書の関連規定を考慮する。

5 軍事ドクトリンにおいては、政治的、外交的、法的、経済的、情報その他の非攻撃的性格の手段を用いる可能性が尽きた場合のみ、自国及びその同盟国の利益のために軍事的手段を行使するとの原則を固守する。

6 軍事ドクトリンの規定は、ロシア連邦大統領のロシア連邦議会向け教書演説において具体化される。また、軍事分野の戦略計画(軍事計画)の枠内で修正されることもある。

7 軍事ドクトリンは、国防及び安全保障の分野における集権的な国家指導によって実現される。その実施にあたっては、連邦の法令、並びにロシア連邦大統領、ロシア連邦の内閣及び連邦行政機関の発出する法規範的アクトに基づく。

8 軍事ドクトリンにおいては以下の用語を用いる。
a) ロシア連邦の軍事的安全保障(以下、軍事的安全保障という)
個人、社会、及び国家の死活的に重要な利益が、軍事力の行使またはその行使のおそれと関連する外的及び内的な軍事的脅威から保護されており、軍事的脅威が存在しないか、またはこれに対抗する能力がある状態
b) 軍事的危険
特定の状況下において軍事的脅威に発展しうるファクターが集中した国際的または国内的関係の状態
v) 軍事的脅威
敵対する主体間で実際に軍事紛争が発生する可能性、並びにいずれ かの国家(国家グループ)及び分離主義的(テロリスト的傾向のある)組織が軍事力の行使(軍事的強制)を行なうための高度な準備状態にある国際的または国内的関係の状態
g) 軍事紛争
国家間または国家内の対立を、軍事力を用いて解決する形態(この定義は、大規模紛争、地域紛争、局地紛争、武力紛争を含めた全ての武力衝突をカバーする)
d) 武力紛争
限定された規模の国家間武力衝突(国際武力紛争)または一国の領域内における対立勢力間の武力衝突(国内武力紛争)
e) 局地戦争
限定的な軍事的及び政治的目的を追求するために敵対国間の境界地域で行なわれる紛争であって、これらの国家のみの国益(領土、経済、政治その他) に関わるもの
zh) 地域戦争
同一地域の複数の国家が、重要な軍事的・政治的目的を追求するため、国家の軍隊又は連合軍を用いて参加する戦争
z) 大規模戦争
根本的な軍事的・政治的目的を追求して国家連合間または国際社会における最大級の国家間で行なわれる戦争。大規模戦争は、武力紛争、局地戦争及び地域戦争に世界の複数の地域から相当数の国家が参加し、エスカレートした結果として発生しうる。この戦争には、参加国の持つ全ての物質的資源及び精神力を動員することが求められる。
i) 軍事政策
ロシア連邦の防衛及び安全保障並びにその同盟国の国益を保障するために国家が組織し、実施する活動
k) 国家の軍事組織(以下、軍事組織という)
政府指導部、軍事指導部、ロシア連邦軍、その他の軍、軍事編成及び機関、有事に設置される特殊組織(以下、連邦軍、 その他の軍及び機関という)、それらの傘下にあって軍事的な方法で活動を行なう者及び国防産業コンプレクスの集合体であり、ロシア連邦の軍事的防衛及びその準備に一体となってあたる。
l) 軍事計画
軍事組織の発展、軍、その他の軍及び機関の建設及び発展に関する目的及び課題の実現、並びにその適用と全面的な保障のための手順と手段に関する規定
m) ロシア連邦の動員準備態勢
軍、その他の軍及び機関、国家経済、連邦政府機関、連邦構成主体政府の機関、地方自治体並びに一般組織が動員計画を実施する能力
n) 非核抑止力
核兵器以外の手段によってロシア連邦に対する侵略を防止するための、対外政策上の手段、軍事的手段及び軍事技術的手段の複合体


第2章 ロシア連邦の軍事的危険と軍事的脅威

9 現在の段階における世界情勢の展開は、グローバルな競合、価値観の方向性及び発展モデルをめぐるさまざまな分野での国家間及び宗教間の緊張、国際関係全般の複雑化によるグローバル及び地域的レベルでの経済及び社会的プロセスの不安定性によって特徴づけられる。新たな経済成長及び政治的求心力の中心への段階的な移行が進んでいる。

10 多くの地域紛争が制御されずに放置されている。ロシア連邦と国境を接する地域を含め、これらの紛争を軍事力で解決しようとする傾向が存在する。現在の国際安全保障アーキテクチャ(システム)はすべての国家に対して平等に安全保障を提供していない。

11 情報空間及びロシア国内領域における軍事的危険及び軍事的脅威が変化する傾向が生まれた。ロシア連邦に対する大規模戦争が行なわれる蓋然性は低下したにもかかわらず、ロシア連邦に対する軍事的危険は増加している。

12 主要な外的軍事的危険
a) 北大西洋条約機構(NATO)の軍事的ポテンシャルが増強されていること、国際法規範に違反したグローバルな役割が付与されていること、ブロックのさらなる拡大を含めて NATO 加盟国の軍事インフラがロシア連邦の国境へ接近していること
b)個別の国家及び地域における情勢が不安定化していること、並びにグローバルかつ地域的安定が弱体化していること
v) ロシア連邦及びその同盟国と隣接する国家の領域内(その接続水域を含む)において、ロシア連邦に対する圧力を目的とすることを含めた外国政府の兵員が展開 (増強)されていること
g)グローバルな安定性を弱体化させ、既存の核ミサイル分野の相互関係を破壊する戦略ミサイル防衛システムの配備及び展開、「グローバル攻撃」の概念の実現、宇宙空間への兵器配備の意図、精密誘導兵器による非核戦略システムの配備
d) ロシア連邦及びその同盟国に対する領土要求及びそれらの国家に対する内政干渉
e) 大量破壊兵器、ミサイル及びミサイル技術の拡散
zh) 個別の国家による国際条約違反並びに兵器の禁止、制限及び削減に関して以前に締結された条約の不履行
z) ロシア連邦及びその同盟国に隣接する国家の領域内において国連憲章及びその他の国際法規範に違反した軍事力の行使が行われていること
i) ロシア連邦及びその同盟国に隣接する国家の領域内において武力紛争の火種及びエスカレーションが存在(発生)していること
k) 国際的な対テロ協力が不十分な状況下でグローバルな過激主義(テロリズム)が増加していること及び新たに発生していること、放射性物質及び毒性物質を用いたテロが実行される差し迫った危険、国境を越えた犯罪組織の大規模化(特に非合法な武器及び麻薬の流通)
l) 民族間及び宗派間の緊張の火種の存在(発生)、ロシア連邦の国境及びその同盟国の国境に隣接する地域での国際的な武装過激主義グループ、外国の民間軍事企業の活動、領土をめぐる対立、世界の各地域における分離主義及び過激主義の伸長
m) 国際法に違反して国家の主権、政治的独立性、領土的一体性に敵対し、国際社会、安全保障、グローバル及び地位的な規模の安定性に脅威を与える活動を行なうための軍事的及び政治的目的における情報通信技術の利用
n)ロシア連邦に隣接する国家において、ロシア連邦の国益に脅威となる体制や政策を打ち立てること(正統な政府機関の転覆によるものを含む)
o)外国及びその連合国の特殊機関及び組織による、ロシア連邦を弱体化する活動

13 主要な内的軍事的危険
a) ロシア連邦の憲法体制の強制的な変更、内政及び社会的状況の不安定化、ロシア連邦の政府組織の機能・重要な政府施設・軍事施設・情報インフラの妨害
b) ロシア連邦の主権の弱体化、その統一及び領土的一体性の毀損を目的としたテロ組織及び個人の活動
v) 国民に対する情報感化に関する活動。特に祖国防衛に関する歴史的、精神的、愛国的伝統の弱体化を目的として若い国民を狙ったもの
g) 民族間及び社会的な対立、過激主義、人種的宗教的憎悪または敵対の喧伝

14 主要な軍事的脅威
a) 軍事的及び政治的情勢(国際関係)が激しく先鋭化すること、及び軍事力行使の条件が生まれること
b) ロシア連邦の政治指導部及び軍事指導部の活動が妨害されること、その戦略核戦力、ミサイル攻撃警戒システム、宇宙空間監視システム、核兵器貯蔵施設、原子力エネルギー施設、原子力施設、製薬及び医療産業施設及びその他の潜在的に危険性のある施設が破壊されること
v) 非合法武装組織が設立もしくは訓練されること、ロシア連邦及びその同盟国の領域内におけるそれらの活動
g) ロシア連邦及びその同盟国に隣接する国家の領域における演習を通じた軍事力の行使
d) 部分的及び全面的な動員、政府指導機関及び軍事指揮機関の戦時体制への移行を含む個別の国家(国家グループ)の軍の活動活発化

15 現代の軍事紛争の特徴及び特質
a) 軍事力、政治的・経済的・情報その他の非軍事的性格の手段の複合的な使用による国民の抗議ポテンシャルの広範な活用と特殊作戦
b) 精密誘導型兵器及び軍用装備、極超音速兵器、電子戦兵器、核兵器に匹敵する効果を持つ新たな物理的原理に基づく兵器、情報・指揮システム、無人航空機及び自動化海洋装置、ロボット化された兵器及び軍用装備の大量使用
v) グローバルな情報空間、航空・宇宙空間、地上及び海洋において敵領域の全縦深で同時に活動を行なうこと
d) 軍事活動を実施するまでの準備時間の減少
e) 垂直的かつ厳密な指揮システムからグローバルな部隊及び指揮システムネットワークへの移行による部隊及び兵器の指揮の集中化及び自動化
zh) 敵対する国家の領域内において、常に軍事活動が行なわれる地域を作り出すこと
z) 軍事活動に非公式の軍事編成及び民間軍事会社が関与すること
i) 間接的及び非対称的な手段の利用
k) 政治勢力、社会運動に対して外部から財政支援及び指示を与えること

16 核兵器は核軍事紛争及び通常攻撃兵器を用いた軍事紛争(大規模紛争及び地域紛争)の発生を阻止するための重要なファクターに留まる。


第3章 ロシア連邦の軍事政策

17 ロシア連邦の軍事政策の主要な課題は、連邦の法令、2020 年までの国家安全保障戦略及び軍事ドクトリンに基づいてロシア連邦大統領が規定する。

18 ロシア連邦の軍事政策は、ロシア連邦の防衛及び安全保障並びにその同盟国の利益の確保を目的として、軍事紛争の抑止及び防止、軍事組織、軍、その他の軍及び機関の形態及び能力の改善、動員準備態勢の向上を志向する。

軍事紛争の抑止及び防止に関するロシア連邦の活動

19 ロシア連邦は、国際法及びロシア連邦が締結した国際条約に基づいて軍事紛争の抑止及び防止、ロシア連邦及びその同盟国の軍事的防衛のために、軍、その他の軍及び機関の即応体制を確保する。

20 核軍事紛争及びその他の軍事紛争は、ロシア連邦の軍事政策の基礎として規定しない。

21 軍事紛争の抑止及び防止に関するロシア連邦の基本的な課題は次のとおりである。
a) 軍事的及び政治的領域における現代的な技術及び情報技術の利用を含めたグローバル及び地域レベルにおける軍事的及び政治的状況の評価及び予測
b) 政治的、外交的その他の非軍事的手段を用いた、考えうる軍事的危険及び軍事的脅威の中立化
v) グローバル及び地域的安定性の確保及び十分なレベルの核抑止力の確保
g) 軍、その他の軍及び機関を軍事力行使の充分な準備状態に保つこと
d) ロシア連邦、政府機関、地方自治体の機関及び一般組織のそれぞれの活動領域における経済動員準備態勢を戦時の課題解決に必要な水準に保つこと
e) ロシア連邦の防衛に関する国家、社会及び個人の連携強化、ロシア連邦市民の軍事的及び愛国的教育の実効性を向上させるための試作の開発及び実現並びにロシア連邦市民の軍事的義務のための訓練
zh) パートナー国の拡大、国連憲章、国際慣習法及びロシア連邦の締結した国際条約に基づく国際安全保障の強化に関する共通利益を基礎としたそれら諸国との協力の拡大並びに BRICS(ブラジル連邦、ロシア連邦、インド、中華人民共和国及び南アフリカ共和国)加盟国との相互関係の拡大
z) 集団安全保障条約機構の枠内における集団安全保障システムの強化及びそのポテンシャル強化、独立国家共同体(CIS)、全欧安保協力機構(OSCE)及び上海協力機構(SCO)の枠内における国際安全保障分野での相互関係強化、アブハジア共和国及び南オセチア共和国との相互防衛及び安全保障を目的とした相互関係、欧州安全保障の分野に関する EU(欧州連合)及びNATO(北大西洋条約機構)との対等な対話の確保、アジア太平洋地域における集団的な互恵関係に基づいた新たな 安全保障モデルの確立に関する共同行動
i) 核及びミサイル兵器の削減及び制限に関してロシア連邦が締結した国際条約の遵守
k)通常兵器の管理に関する合意の締結及び実現並びに相互信頼の強化に関する施策の実施 l) ロシアが対等な形で参加するミサイル防衛システム設立の必要性を含めた、考えうるミサイル攻撃対処の分野における二国間及び多国間の互恵的なメカニズムの構築
m) 戦略ミサイル防衛システムの展開、宇宙空間への兵器配備及び精密攻撃兵器を用いた非核戦略システムの配備による軍事的優位を獲得しようとする個別の国家(国家グループ)の試みへの対抗策
n) 宇宙空間にあらゆる兵器を配備することを防止するための国際条約の締結
o) 共通の技術的理解に基づいた宇宙空間での安全な活動を含む、宇宙活動の安全規制に関する国連の枠内における規範的合意
p) 国際的な相互関係を含む、地球近傍空間における物体及び事象のモニタリングに関するロシア連邦のポテンシャルを強化すること
r) 国連の管轄下及び国際(地域)機関との相互関係の枠内において平和維持活動に参加すること
s) 生物兵器禁止条約及び化学兵器禁止条約の遵守を管理する国際的なメカニズムを創設し、適用すること
t) 国際テロリズムとの戦いへの参加
u) 国際法に違反して国家の主権、政治的独立性、領土的一体性に敵対し、国際社会、安全保障、グローバル及び地域的な規模の安定性に脅威を与える活動を行なうため、軍事的及び政治的目的で情報通信技術が利用されるリスクを低減させること

平時、侵略の危機が差し迫った事態及び戦時における軍、その他の軍及び機関の使用及び基礎的な任務

22 ロシア連邦は、自国及びその同盟国に対する侵略の撃退、国連安全保障理事会及びその他の集団安全保障機構の決定に基づく平和の維持(回復)並びにロシア連邦国外のロシア連邦市民の保護を目的とし、国際慣習法及びロシア連邦が締結した国際条約に基づいて、軍、その他の軍及び機関を使用することを妥当だと見なす。

23 平時における軍、その他の軍及び機関の使用は、平時においては大統領の決定に基づき、ロシア連邦の法令に定められた手順に従う。当該の軍、その他の軍及び機関の使用は、軍事及び政治的並びに軍事及び戦略的な状況を考慮に入れた将来に関する継続的分析に立脚し、決定的、合目的的及び複合的に実施される。

24 ロシア連邦は、連合国家の参加国に対する軍事攻撃または軍事力を用いて行なわれる任意の行動を連合国国家に対する侵略と見なし、対応措置を実施する。

25 ロシア連邦は、CSTO(集団安全保障条約)加盟国に対する軍事攻撃を全CSTO 加盟国に対する侵略と見なし、当該の場合において、集団安全保障条約に依拠した措置を実施する。

26 軍事的な性格を有する戦略的抑止力の実施枠組みにおいて、ロシア連邦は精密誘導兵器の使用を考慮する

27 ロシア連邦は自国及びその同盟国に対して核兵器及びその他の大量破壊兵器が使用された場合並びに通常兵器によるロシア連邦への侵略で国家が存亡の危機に立たされた場合の対抗手段として、核兵器を使用する権利を持つ。
核兵器の使用はロシア連邦大統領が決断する。

28 軍、その他の軍及び機関に対して与えられた任務は、ロシア連邦国防計画、ロシア連邦大統領令、ロシア連邦軍最高司令官の命令及び指令、その他のロシア連邦の法規範的アクト及び国防に関する戦略計画文書に従って準備及び実施される。

29 ロシア連邦は、平和支援作戦に参加するため、CSTO集団安全保障理事会の決定に基づき、CSTO平和維持部隊に兵員を派遣する。ロシア連邦は、CSTO加盟国に対する軍事的脅威に適時対応し、かつCSTO安全保障理事会の定めるその他の課題を解決するため、CSTO即応部隊及びCSTO中央アジア緊急展開部隊に兵員を派遣する。

30 国連の付託またはCISの付託による平和維持作戦を実施するため、ロシア連邦は連邦の法令及びロシア連邦が締結した国際条約の定める手順に従って兵員を派遣する。

31 ロシア連邦及びその市民の利益を保護し、並びに国際的な平和及び安全保障を助長するため、国際慣習法、国際法規範、ロシア連邦が締結した国際条約及び連邦の法令に基づき、ロシア連邦の国境外において軍の部隊を機動的に使用することができる。

32 平時における軍、その他の軍及び機関の基本的な任務は次の通りである。
a) ロシア連邦の主権、領土的一体性、及び領土の不可侵を保護すること。
b) 軍事紛争の防止を含む(核及び非核手段による)戦略的抑止
v) 戦略核戦力、それらの機能及び使用を保障する戦力及び装備並びに指揮システムの構成、戦闘準備態勢及び動員準備態勢が、いかなる状況下においても侵略者に対して堪え難い打撃を行なえる水準に保つこと。
g) ロシア連邦軍最高司令官に対し、航空宇宙攻撃についてリアルタイムで報告を行なうこと。国家指導機関、軍事指導機関及び部隊に対し、軍事的危険及び軍事的脅威について通告を行なうこと。
d) 軍、その他の軍及び機関が部隊集団をして潜在的に危険な戦略方面に事前展開する能力及びその戦闘任務を行なうための準備態勢を保持すること。
e)ロシア連邦の重要施設の航空宇宙防衛の保障及び航空宇宙攻撃を撃退する準備態勢を保障すること。
zh) 戦略的な宇宙空間において軍の活動を保障する人工衛星群を展開及び保持すること。
z) 重要な国家施設及び軍事施設、通信施設及び特殊貨物施設を保護及び防衛すること。
i) 軍、その他の軍及び機関の新たな軍事インフラ施設を建設し、かつ既存施設を近代化及び発展させること、並びに国防の目的で部隊(軍種)が利用する軍民共用施設を選定すること。
k) ロシア連邦の国境外においてロシア連邦市民を軍事攻撃から保護すること。
l) 国際的な平和及び安全保障を維持(回復)するための作戦に参加すること、平和に対する脅威を防止(除去)するための手段を講じること、国連安全保障理事会及び国際法に従って同様の決定を行なう権限を有するその他の機関の決定に基づいて侵略(平和の破壊)行動を抑制すること。
m) 海賊との戦い及び船舶の安全な航行の保障。
n) 世界の海洋におけるロシア連邦の経済活動の安全を保障すること。
o) ロシア連邦の領域内におけるテロとの戦い及びその領域外における国際テロ活動の制圧
p) 領域防衛及び民間防衛に関する措置を実施する準備を行なうこと。
s) 非常事態への対処及び特殊施設の復旧に参加すること。
t) 非常事態体制の保障に参加すること。
u) 北極におけるロシア連邦の国益を保障すること。

33 侵略の脅威が差し迫った状況下における軍、その他の軍及び機関の基本的な任務は次の通りである。
a) 侵略の脅威を低減させ、かつ戦略的展開を実施する目的で戦闘準備態勢及び動員準備態勢の水準を向上させるための追加の複合的措置を実施すること。
b) 規定された準備段階において核抑止のポテンシャルを確保すること。
v) 軍の戦略的な展開。
g) 戒厳令体制の保障に参加すること。
d) 領域防衛に関する措置を実施すること及び規定された手順に従って民間防衛に関する措置を実施すること。
e) 集団防衛に関する国際的義務並びに他国に対する軍事攻撃の撃退に関する国際的義務を国際法規範及び当該国の要請に従って履行すること。

34 戦時における軍、その他の軍及び機関の基本的な任務は、ロシア連邦及びその同盟国に対する侵略の撃退、侵略者に対する部隊(軍種)による攻撃及びロシア連邦の国益に合致した条件下における軍事行動の停止の強制である。

軍事組織の発展

35 軍事組織の発展に関する基本的な任務
a) 平時、侵略の脅威が差し迫った状況及び戦時の課題に従い、これらの目的に合致する財政、物資その他の資源を考慮して軍事組織の構造、構成、構成要素の数を示すこと。当該の資源の計画数及び提示の時期については、ロシア連邦長期社会経済発展計画に関する文書に反映する。
b) 国家指導システム及び軍事指導システムの機能の効率性及び安全性を向上させること。国防及び安全保障の領域における任務に関する決定に基づいて連邦政府の行政機関、ロシア連邦構成主体政府の行政機関及びその他の国家機関の間の情報上の相互関係を保障すること。
v) ロシア連邦の航空宇宙防衛システムを改善すること。
g) 財政、物資その他の資源の合理的な利用に立脚して軍事組織に対する軍事的及び経済的保障を改善すること。
d) 軍事計画を改善すること。
e) ロシア連邦の領域防衛及び民間防衛を改善すること。
zh) 兵器、軍用装備、特殊装備、物資及び技術的資源を含む動員資源予備の設置に関するシステムを改善すること。
z) 兵器、軍用装備及び特殊装備の運用システム及び修理システムに関する効率性を改善すること。
i) 軍、その他の軍及び機関並びに軍事教育及び人員訓練機関の物資、技術、社会、医療及び科学的な保障に関する統一的構造を設立すること。
k) 軍、その他の軍及び機関の情報安全保障システムを改善すること。
l) ロシア連邦市民の軍における勤務に向けた訓練を通じ、その権威を高めること。
m) 外国政府とロシア連邦との軍事及び政治的並びに軍事及び技術的な協力関係を保障すること。
n) 軍、その他の軍及び機関の動員基盤を発展させること、及び動員配備を保障すること。動員予備人員の訓練及び動員予備のための人的資源に関する手法を改善すること。
o) 部隊及び住民に対する放射能、化学及び生物防御システムを改善すること。

36 軍事組織の発展に関する基本的な優先課題
a) 軍事組織の指揮システムを改善すること及びその機能の効率性を向上させること。
b) 常時即応体制にある兵団、部隊及び編成の人員充足、装備及び補給を必要な状態に保障し、かつそれらの訓練状態が要求された水準となるよう保障すること。
v) 人員訓練及び軍事教育の質を向上させ、かつ軍事科学を強化すること。

37 軍、その他の軍及び機関の建設及び発展に関する基本的な任務は、予測される軍事的脅威、軍事紛争の内容及び特性、平時、侵略の脅威が差し迫った状況及び戦時における任務並びに政治的、社会的及び経済的人口動態、軍事技術環境及びロシア連邦の能力を考慮して、その構造、構成、数及び装備を、現代的(将来的)な種類の兵器、軍用装備及び特殊装備に適合させることである。

38 軍、その他の軍及び機関の建設及び発展は、以下の必要に基づくものである。
a) 軍、その他の軍及び機関の構成及び構造を改善すること並びに軍人の定数を最適化すること。
b) 軍、その他の軍及び機関における常時即応状態の兵団及び部隊と、動員配備のための兵団及び部隊の合理的な比率を保障すること。
v) 作戦訓練、戦闘訓練、特殊訓練及び動員準備の質を向上させること。
g) 軍、その他の軍及び機関の軍種及び兵科に属する連合部隊、兵団及び部隊間並びに連邦政府行政機関、ロシア連邦構成主体政府の行政機関及びその他の国防に関連する機関との相互関係を改善すること。
d) 現代的な種類の兵器、軍用装備及び特殊装備(物資及び技術的資源)並びにそれらに関する質的な習熟を保障すること。
e) 軍、その他の軍及び機関の技術、後方及びその他の保障システムを統合及び協調させること。
zh) 人員の教育、規律及び訓練並びに軍事科学に関するシステムを改善すること。
z) 祖国を愛し、高度な専門技能を有する軍人を訓練すること。軍における勤務の権威を高めること。

39 軍、その他の軍及び機関の建設及び発展に関する任務は、以下の方法によって達成される。
a) 軍事政策の策定及びその後の実現 。
b) 軍、その他の軍及び機関に対する効率的な軍事及び経済的保障並びに充分な支出
v) 国防産業コンプレクスの機能に関する効率の向上。
g) 軍、その他の軍及び機関の指揮システムに期待される機能の保障。
d) 軍、その他の軍及び機関の必要を満たす国家的経済力の保持。
e) 動員基盤を、軍、その他の軍及び機関の動員展開を保障する状態に保持すること。
zh) 平時、侵略の脅威が差し迫った状況及び戦時において機能を果たすことができる常時即応状態の民間防衛部隊の発展。
z) 軍事施設、政府施設、特殊施設及び住民の生活を保障する施設、交通及び通信の機能並びに人の生命及び健康に対して高度の危険を及ぼしうる施設を保護及び防衛するための領域部隊の編成。
i) ロシア連邦の領域外を含めた、軍、その他の軍及び機関の駐屯(駐留)システムをロシア連邦の締結した国際条約及び連邦の法令に基づいて改善すること。
k) 戦略方面及び作戦方面において組織化された軍事インフラのシステムを設立する
こと。
m) 軍、その他の軍及び機関の情報安全保障の効果的な保障。
n) 高等軍事教育機関及びロシア連邦市民の軍事訓練に関するプログラムを実施している連邦国家高等教育機関の構造の改善並びにそれらに対する現代的な物資技術教育基盤の配備。
o) 軍、その他の軍及び機関の軍人、市民、退役軍人、その家族及び文民勤務者に対する社会保障の水準の向上。
p) 連邦の法令によって規定された軍人、市民、退役軍人及びその家族の社会保障及び生活水準の向上の実現。
r) 契約軍人及び徴兵として軍事勤務を行なう軍人の充足システムの改善。特に軍、その他の軍及び機関の兵団及び部隊の戦闘能力を保障する兵士及び下士官の充足並びに契約軍人の充足を優先する。
s) 組織性、法秩序及び軍事規律の強化並びに汚職の防止及び根絶。
t) 市民の徴兵前訓練並びに軍事及び愛国教育の強化。
u) 国防の領域における連邦政府行政機関及びロシア連邦構成主体の行政機関の活動に対する国家的及び市民的統制の保障。

ロシア連邦の動員準備及び動員準備態勢

40 ロシア連邦の動員準備態勢は、規定された動員計画の期限に従って準備を実施することで保障される。
 ロシア連邦の動員準備態勢に関する水準は、予想される軍事的脅威及び軍事紛争の性質に依存し、必要な量の動員準備を実施すること、軍、その他の軍及び機関に対して現代的な兵器を供給すること及び軍事技術ポテンシャルを充分な水準に維持 することによって達成される。

41 動員準備の主要な目的は、軍事攻撃に対する国家の保護並びに戦時における国家の要求及び国民の需要を満たすためのロシア連邦の経済、ロシア連邦構成主体の経済及び地方自治体の経済の準備、政府機関、地方自治体の機関及びその他の機関の 準備、軍、その他の軍及び機関の準備である。

42 動員準備の主要な課題は次の通りである。
a) 戦時における厳格な国家指導の保障 b)動員期間、戒厳令下及び戦時における財政、金融、税制及び金銭的待遇に関する特例措置を含めた経済その他の手段の使用について規定する法規範的基盤の整備。
v) 戦時における軍、その他の軍及び機関の要求並びにその他の国家の要求及び国民の需要を保障すること。
g) 動員が宣言された場合に軍への移管またはロシア連邦の経済的利益のために利用される特別編制を設立すること。
d) ロシア連邦の産業ポテンシャルを戦時における国家の要求及び国民の需要を満たす水準に保持すること。
e) 軍、その他の軍及び機関に対し、戦時の条件下において課題を解決するための経済的領域における追加の人的資源、物資及び技術的資源を保障すること。
zh) 軍事行動の結果、被害を受けたり破壊された施設の復旧作業を組織すること(兵器、軍用装備及び特殊装備を生産するための産業能力の復旧を含む)。交通網に偽装を施すこと。
z) 戦時に資源が不足した状況下において、食料品及び非食料品を住民に供給すること。

第4章 国防の軍事的及び経済的保障

43 国防の軍事的及び経済的保障の主要な課題は、軍事的及び経済並びに軍事的及び技術的なポテンシャルを安定的に発展に発展させ、軍事政策の実現、及び平時、侵略の脅威が差し迫っている状況及び戦時における軍事組織の要求を満たすために十分な水準に保持する環境を整備することである。

44 国防の軍事的及び経済的な保障の課題は次のとおりである。
a) 軍、その他の軍及び機関に対し、国家の軍事科学上のポテンシャルに基づいて兵器、軍用装備及び特殊装備を供給すること、これらに対して財政、物資及び技術的 資源を集中すること及びこれらの利用効率を軍事組織の任務が達成するために充分な水準に向上させること。
b) 軍、その他の軍及び機関の発展及び使用並びに作戦、戦闘、特殊及び動員準備態勢に関する計画(プログラム)に必要な物質的手段を適時かつ完全に保障すること。
v) 国家の軍事的及び経済的活動を調整することにより、国防の保障に関する利益、当該の生産領域における軍民の経済セクターの統合、軍事、特殊及び両用目的の知的活動の成果の法的保護に関して国防産業コンプレクスを発展させること。
g) 信頼醸成措置並びに世界におけるグローバル及び地域的な緊張の緩和のために外国政府との軍事的及び政治的並びに軍事的及び技術的協力を改善すること。

軍、その他の軍及び機関に対する兵器、軍用装備、及び特殊装備の供給

45 軍、その他の軍及び機関に対する兵器、軍用装備、及び特殊装備の供給に関する基本的な課題は、相互に連携の取れた一貫性のある兵器システムを開発し、軍、その他の軍及び機関の任務及び目的、それらの形態及び使用並びにロシア連邦の経済 的能力及び動員能力に適合した状態を保持することである。

46 軍、その他の軍及び機関に対する兵器、軍用装備、及び特殊装備の供給に関する課題は次のとおりである。
a) 軍、その他の軍及び機関に対して現代的な種類及びシステムの兵器、軍用装備、 及び特殊装備を供給(再供給)し、それらの状態が戦闘使用に適合する状態に保持すること。
b) 共通型コンポーネントを使用して多機能(多目的)型の兵器、軍用装備、及び特殊装備を開発すること。
v) 情報敵対活動を行なうための戦力及び装備を発展させること。
g) 現代的な技術を使用し、世界的な水準の情報プラットフォーム機器及びロシア連邦の情報空間を構成する軍、その他の軍及び機関の統一情報空間を質的に改善すること。
d) 軍、その他の軍及び機関の兵器システムの機能面、組織、及び技術面の統一化を保障すること。
e) 新型の精密誘導型兵器、その対抗手段、航空宇宙防衛手段、通信、偵察及び指揮手段、電子戦手段、無人航空機コンプレクス、ロボット化攻撃コンプレクス、現代的な輸送航空機及び兵士用個人防御システムを開発すること。
zh) 基盤的情報指揮システムを開発すること、かつこれを兵器指揮システム及び戦略、作戦、及び戦略、作戦、作戦及び戦術、作戦規模の指揮機関用自動化コンプレクスと統合すること。

47 軍、その他の軍及び機関に対する兵器、軍用装備、及び特殊装備の供給の実現に関しては、国家装備プログラム及びその他の国家プログラム(計画)で規定する。

軍、その他の軍及び機関に対する物資の保障

48 軍、その他の軍及び機関に対する物資の保障、それらの備蓄及び補給は、統一され、かつ調整された技術及び後方保障システムの枠内で実施する。

49 平時における軍、その他の軍及び機関に対する物資の保障の基本的な課題は、各戦略方面における物理的及び地理的な環境並びに輸送システムの能力を考慮し、軍の戦略的展開及び軍事活動の実施を保障する物資予備の備蓄、階層的な配備及び補給を行うことである(経済の各領域及び産業組織の戦時体制への移行時間を考慮する)。

50 侵略の脅威が差し迫った状況下における軍、その他の軍及び機関に対する物資の保障の基本的な課題は、戦時の状況及び基準に基づいて部隊に対して物資を配布することである。

51 戦時における軍、その他の軍及び機関に対する物資の保障の基本的な課題は、次のとおりである。
a) 部隊集団の目的、手順、それらの編成時期、及び予想される軍事行動の継続期間を考慮して物資の予備を配布すること。
b) 産業組織が兵器、軍用装備及び特殊装備を納入及び修理する能力を考慮し、軍事行動を実施する際の兵器、軍用装備、及び特殊装備の損耗を補充すること。

国防産業コンプレクスの発展

52 国防産業コンプレクスの発展に関する基本的な課題は、国防産業コンプレクスが国家経済における多角的な高度技術セクターとして、軍、その他の軍及び機関に対して現代的な兵器、軍用装備、及び特殊装備を供給し、世界の高度技術品及び高度技術に関する市場においてロシア連邦の戦略的なプレゼンスを保障することができるよう、その機能の効率性を保障することである。

53 国防産業コンプレクスの発展に関する課題は次のとおりである。
a) 大規模な研究及び生産機構を設立しかつ発展させることを基盤として国防産業コンプレクスを改善すること。
b) 兵器及び軍用装備の開発、生産、及び修理の分野における政府間協力のシステムを改善すること。
v) 戦略的及びその他の種類の兵器、軍用装備、及び特殊装備の生産に関して、国家兵器プログラムを考慮し、ロシア連邦の技術的独立性を保障すること。
g) 兵器、軍用装備及び特殊装備の生産及び運用に関して、それらのライフサイクルの全段階において物資及び資源(完全に国産の製品及びコンポーネントを含む)を供給する保障システムを改善すること。
d) 将来型の兵器、軍用装備、及び特殊装備の開発を可能とする優先的技術の複合体を形成すること。
e) 国防産業コンプレクスのうち、戦略的な意義を有する組織に対する国家的コントロールを維持すること。
zh) 科学技術基盤及び生産技術基盤の刷新を可能とするイノヴェーションへの投資活動を活発化すること。
z) 現用及び将来型の武器、軍用装備及び特殊装備の開発、生産、及び修理を保障し、並びに従来は十分な能力を有していなかった原理的に新しい種類の兵器、軍用装備、 及び技術を開発するための技術的飛躍または従来を上回る科学技術上の蓄積を可能とする軍用及び民生用の基盤技術及びキー技術を確立、維持、及び導入すること。
i) 軍、その他の軍及び機関に対する兵器、軍用装備、及び武器の供給に関する効率を向上させ、かつ国防産業コンプレクスの動員準備態勢を保障するための国防産業コンプレクスの発展に関するプログラム策定及び特定計画策定システムを改善すること。
k) 将来型の兵器、軍用装備、及び特殊装備を開発及び生産すること、軍用製品の品質及び競争力を向上させること、さらに兵器、軍用装備、及び特殊装備の全ライフサイクルにわたる管理システムを確立すること。
l) 連邦の需要に対する製品の調達、作業の実施、及び役務の提供に関する契約メカニズムを改善すること。
m) 国家国防発注を受注した組織に対し、連邦の法令で規定された経済的な刺激策を実施すること。
n) 国防産業コンプレクスの効果的な機能及び発展を保障する組織的及び経済的なメカニズムの導入により、その構成組織の活動を改善すること。
o) 国防産業コンプレクスの人材を改善し、かつ知的ポテンシャルを強化すること。 国防産業コンプレクス従業員の社会的保護を保障すること。
p) 優先的な兵器、軍用装備、及び特殊装備を規定の量及び品質で開発及び生産するために国防産業コンプレクス構成組織の生産及び技術上の準備態勢を保障すること。

ロシア連邦と外国政府との軍事的及び政治的協力もしくは軍事的及び技術的協力

54 ロシア連邦は、対外政策上及び経済的な合目的性、並びに連邦の法令及びロシア連邦の締結した国際条約に基づき、外国政府との軍事的及び政治的協力もしくは軍事的及び技術的協力(以下、「軍事的及び政治的もしくは軍事的及び技術的協力」 という)並びに地域機関を含む国際機関との軍事及び政治的並びに軍事及び技術的協力を実施する。

55 軍事的及び政治的協力の課題は次の通りである。
a) 国連憲章を頂点とする国際法の支配に基づき、グローバル及び地域レベルで国際安全保障及び戦略的安定性を強化すること。
b) CSTO 加盟国、CIS 加盟国、アブハジア共和国及び南オセチア共和国との同盟関係並びにその他の諸国との友好的なパートナー関係を形成及び発展させること。
v) ロシア連邦の参加する地域的安全保障システムの設立に関する対話プロセスを発展させること。
g) 平和維持部隊へのロシア軍人の派遣を含めて、各地域において紛争状況を防止し、平和を保全及び強化すること。
d) 大量破壊兵器及びその運搬手段の拡散対策に関与している諸国及び国際機関との対等な関係を保全すること。
e) 軍事的及び政治的目的で情報通信技術を大規模に使用することによって発生する軍事的危険及び軍事的脅威に対抗するための国家的アプローチに関与している諸国との対話を発展させること。
zh) ロシア連邦の国際的義務を履行すること。

56 軍事及び政治的協力の基本的な優先課題は次の通りである。
a) ベラルーシ共和国との協力
国軍の発展及び軍事インフラの使用に関する活動調整
連合国家の軍事ドクトリンに基づく連合国家の防衛力保持に関する施策の策定及び合意
b) アブハジア共和国及び南オセチア共和国との関係
相互の防衛及び安全保障のための相互関係
v) CSTO 加盟国
集団安全保障及び相互防衛を保障するため、CSTO の集団安全保障システムにおける戦力及び装備を改善する努力を結集すること。
g) CIS 加盟国
地域的及び国際的安全保障の確保並びに平和維持活動の実施
d) SCO 加盟国
相互の空間における新たな軍事的危険及び軍事的脅威に対抗するための取組みの調整並びに必要な法規範基盤の整備
e) 国連、その他の国際機関(地域機関を含む)
平和の保全(回復)に関する任務の準備についての計画及び実施プロセスにおいて、軍、その他の軍及び機関の代表者を平和維持任務の指導部に参加させること。軍備管理及び国際安全保障の強化に関する国際的合意の策定、合意、及び実現に参加すること。軍、その他の軍及び機関による平和維持(回復)作戦への部隊及び人員の 参加を拡大すること。

57 軍事的及び技術的協力の課題は、連邦の法令に基づいてロシア連邦大統領が決定する。

58 軍事的及び技術的協力の基本的な方向性は、ロシア連邦大統領による各年度のロシア連邦議会向け教書演説によって形成される。

軍事ドクトリンの規定は、軍事的危険及び軍事的脅威の性質、国防及び安全保障の領域 における課題並びにロシア連邦の発展の条件に関する変更を伴って修正されることがある。

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