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第198号(2022年11月14日) ロシア軍の予備兵器はどこから来るのか
【NEW CLIPS】ワグナーがウクライナ軍を徘徊型自爆ドローンで攻撃
Video of a Wagner Lancet loitering munition strike on a Ukrainian self-propelled howitzer. Reportedly an AHS Krab. 55/https://t.co/N8l4QjVG4E pic.twitter.com/HJgoPvSkwi
— Rob Lee (@RALee85) November 8, 2022
ロシア軍は最近、国産のランセット徘徊型自爆ドローンを用いてウクライナ軍の防空システムや火砲を激しく攻撃していることが知られている。上掲の動画はワグナーによるウクライナ軍のクラブ自走榴弾砲への攻撃の模様。
【今週のニュース】ロシア軍がついにヘルソンを放棄?ほか
北朝鮮からロシアへの砲弾供給 続報
前号で紹介した北朝鮮からロシアへの砲弾供給に関して、米国のカービー調整官は、この動きが実態を伴ったものであるらしいことを明らかにしている。
カービーによると、北朝鮮は中東や北アフリカ行きを偽装してロシアに砲弾を供給「しようとしている」。その数は「数十の話ではなく相当数だ」とのことで、9月に報じられたように数百万発に及ぶ砲弾供給でロシアと北朝鮮が合意している可能性が改めて浮上してきた。
ただ、カービーは、この砲弾供給がウクライナ軍の攻勢を頓挫させるようになものではないとも述べている。
パトルシェフがイランから弾道ミサイルを買い付け?
一方、プーチン大統領の側近として知られるニコライ・パトルシェフ国家安保会議書記は9日にイランを訪問し、イラン側カウンターパートと会談している。TASS通信によると、ここで話し合われたのは西側からの内政干渉、ウクライナ情勢その他であった。
ここでパトルシェフは、米国による世界支配であるとか、イランでの内政不安が西側の陰謀であると言ったお馴染みの話題を持ち出したようだが、より注目されるのは、同人がイランからの弾道ミサイル買い付け交渉を行ったのではないかとの見方である(11月8日に米戦争研究所(ISW)が紹介したもの)。
すでに広く報じられているように、ロシアはイランからシャヘド136自爆ドローン(事実上の廉価版巡航ミサイルで、ロシア側名称は「ゲラン-2」)を大量に導入してウクライナへの都市・インフラ爆撃に使用している。イラン側は、ドローンを引き渡したのは事実だが開戦前のことだと釈明しているようだが、最近回収されたシャヘド136のシリアルナンバーからは開戦後に製造されたものが見つかっている。
パトルシェフによる今回の弾道ミサイル買い付けの噂は、これに続いてイランとロシアの軍事協力がさらに進展しつつあることを示すものと言えよう。
なお、ドローンだけでなく短距離弾道ミサイルをロシアがイランから導入するのではないかという見方は早くから存在してきた。徘徊型ドローンだけならばロシアに類似品がないのでイランから調達した、という考え方も可能だが、弾道ミサイルまでということになると、ロシア軍が用いているイスカンデル-M作戦・戦術ロケットシステム用の9M723短距離弾道ミサイルが枯渇しつつあるか、仮にNATOとの大規模戦争に発展した場合には不足することが見込まれるとロシアが判断している可能性が高い。
なお、パトルシェフのイラン訪問に関しては、核合意に関する交渉が失敗した場合に備えてロシアから核物質の提供や核燃料製造に関する供給を求めたとの報道もある。
動員に関するプーチン発言
9月21日に始まったロシアの部分動員に関しては、本メルマガでも幾度か紹介してきた。最近では10月14日にプーチン大統領が動員に関してまとまった発言を行なっており、ここでは同時点における動員数が25万5000人であること、うち部隊配備されたものが3万3000人であることなどが明らかにされている。
これに続いて11月4日には、プーチンは動員の現状について以下のように述べている。
・10月までの動員で31万8000人が集まった。
・なぜ(当初の予定の30万人でなく)31万8000人かというと、志願者が多かったからである。
・このうち4万9000人が戦闘任務に就いている。
7日には、トヴェリ州知事との会見でプーチンが再び動員に触れた。同発言によると、この時点で特別軍事作戦に送られた動員兵の数は8万人で、うち5万人が戦闘に関与しているとされた。
ウクライナが停戦交渉に向けた新条件を提示
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