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第289号(2024年12月16日) ベラルーシ軍参戦の可能性 ほか
【今週のニュース】ロシアと周辺諸国をめぐる政治・軍事上の動き
中露がミサイル防衛対話を実施
12月11日、中露は「ミサイル防衛と戦略的安定性のミサイル面に関する協議」を北京で実施した。両国は「世界及び地域の安全保障を維持するとの観点から突っ込んだ議論を行い、特に短・中距離ミサイルについて意見交換を行った」としていることから、米国との中距離ミサイルバランスやロシアのオレシュニク中距離ミサイル(後述)についても議論がなされたのかもしれない。参加者などの詳細については一切明らかにされていない。
北朝鮮軍がクルスク戦線で戦闘を開始
12月14日、ウクライナのゼレンシキー大統領は、ロシア軍が北朝鮮兵を襲撃任務に投入し始めたとの情勢判断を明らかにした。また、北朝鮮兵は旅団などの単位で独立に運用されるのではなくロシア軍の一部に組み込まれていること、クルスク戦線以外の戦線にも投入される兆しがあることにも言及されている。
ロシアが北朝鮮に戦闘機を供与?
米インド太平洋軍のサミュエル・パパロ司令官は、ロシアから北朝鮮へのMiG-29及びSu-27の供与に関する合意が成立したと述べた。ただし、その数などについては明らかにしていない。
在シリアのロシア軍基地は維持できるのか
前号でも扱ったように、シリアのアサド政権崩壊によって、中東におけるロシアの軍事プレゼンスが危機に晒されている。ただ、ロシア軍の主要な拠点であるタルトゥースの海軍物資装備補給拠点(PMTO)とラタキアのフメイミム空軍基地だけはどうにか維持できるのではないかとの見方も浮上している。前線からは部隊を撤退させてシリアの国内情勢に介入しない代わり、域外展開拠点としての基地は維持するという取引が模索されているようだ。
ロイター通信はシリア政府内の人間の話として以上のような見立てを伝えているが(12月14日付)、なんとも興味深いことに、発信地が「タルトゥース」となっている。実際に基地交渉が行われているごく近くで取材したのだろう。
衛星画像で見ても、たしかにタルトゥースの基地自体は空になっている一方、沖合には常にフリゲートが1隻貼り付けてあることがわかる。
The situation in Tartus has remained largely unchanged since December 10, with two frigates still observed stationed offshore along the Syrian coast and no large Russian military vessels in the docks. https://t.co/YKpEJp5Qjw pic.twitter.com/T7DGgliXsL
— Christiaan Triebert (@trbrtc) December 13, 2024
一方、前日の13日には、ロシアがシリア向けの小麦輸出を停止していたことが同じくロイターの取材で明らかにされていた。政変によって支払い能力が疑問視され、実際に不払いが起きているから、ということらしいが、基地問題をめぐる圧力だった可能性も排除されまい(と考えるのは「政治脳」過ぎるのかもしれないが)。
オレシュニクをベラルーシに配備
前号で扱ったロシアの新型中距離ミサイル「オレシュニク」が、ベラルーシに配備されることになるようだ。12月6日にロシアのプーチン大統領が訪問したのに合わせ、ベラルーシのルカシェンコ大統領がその意向を明らかにした。
より正確に言えば、この話は、共同記者会見におけるルカシェンコの「お願い」から始まっている。ベラルーシ領土にオレシュニクをはじめとする新型兵器システムを配備してほしい。運用はロシア軍に任せる。しかしターゲットの選定はベラルーシの政治・軍事指導部にやらせてほしい。ルカシェンコの「お願い」をまとめるとざっと以上のようになろう。
これに対してプーチンは、ルカシェンコの「お願い」を受け入れる姿勢を示し(おっさん同士でこういう茶番劇をやるのはどういう気分なのだろうか)、実際の配備が2025年後半になるだろうとの見通しを示した。時期がちょっと先なのは「オレシュニクの量産が始まってから」とのことで、この発言を信じるならオレシュニクはまだ試作段階の兵器であるということが改めて伺われる。また、オレシュニクはロシアの戦略ロケット部隊(RVSN)が運用するという方針がここでは改めて確認された。
ベラルーシ軍参戦の可能性
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