第153号(2021年11月15日) ロシアがベラルーシと核シェアリング?ほか
【今週のニュース】新型MDシステムS-550とは ほか
新型ミサイル防衛(MD)システム「S-550」にプーチンが言及
『TASS』2021年11月9日
今月9日、ソチで軍と軍需産業代表者との会合に臨んだプーチン大統領は、ロシア軍にS-350、S-500、S-550を配備することの重要性を強調した。このうち、S-350とS-500はロシア軍で配備が始まったばかりの中距離防空システムと長距離防空システムであるが、S-550という名前は耳新しい。
TASSによると、これは1980年代にアルマーズ設計局(現在のコンツェルン「アルマーズ=アンテイ」)が開発していた機動式短距離弾道ミサイル防衛システムを指すという。第149号で報じたように、ロシアは大気圏外での迎撃用にアエロスタットと呼ばれるMDシステムの開発を進めており、これも移動式であると考えられている。こうなると第149号で紹介したミサイル防衛システムの構成は次のように修正せねばならないのではないだろうか。
固定式MDシステム(モスクワ防衛用)
・53T6M(大気圏内高層迎撃用)
機動式MDシステム
・S-550(大気圏内低層迎撃用)
・S-500(大気圏内高層迎撃用)
・106T6アエロスタット(大気圏外迎撃用)
対宇宙システム
・14Ts033ヌードリ(14A042ミサイルを使用する)
新型重ICBMサルマートの飛行試験は年内に1回に変更
『TASS』2021年11月9日
TASS通信が軍需産業筋の談話として報じたところによると、年内に2回予定されていた新型重ICBMサルマートの飛行試験(LKI)は1回飲みとなった模様である。代わりに2022年中にLKIと国家試験の枠内で5回の実射が予定されている由。
サルマートはまだポップアップ試験(サイロから発射されるところまで行うが実際の飛行コースには乗せない)しか行っておらず、実戦配備は幾度も延期されてきた。おそらくはウクライナのユージュマッシュ工場抜きで大型液体燃料ミサイルを開発する上での様々な困難に直面にしているためと見られ、今年第3四半期に予告されていた最初のLKIも結局は実施されず終いであった。
【インサイト】ロシアがベラルーシと核シェアリング?
前号で紹介したとおり、ロシアとベラルーシは今月初めに新たな共通軍事ドクトリンを承認しました()。これについて『独立新聞』の軍事記者ウラジーミル・ムヒンが「ベラルーシには間も無くロシアの核爆弾が登場する」という刺激的なタイトルの記事を執筆しているので紹介したいと思います。
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