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第280号(2024年9月30日) 中露の海軍演習とロシア海軍機による日本領空侵犯


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ロシア軍の定員が1.5倍増 150万人体制へ

 9月16日、ロシアのプーチン大統領は大統領令第792号「ロシア連邦軍の定員の設定について」に署名した。その名のとおりロシア軍の定員を決定するものである。これによると、ロシア軍全体の新たな定員は238万9130人、うち軍人は150万人ちょうどとされた。発効は12月1日以降となっている。

 今回の戦争が始まる前のロシア軍の総人員は189万7694人、うち軍人は101万3628人とされていた。これに対して開戦後には以下のとおり、矢継ぎ早に定員の増加が図られてきた。

2022年度大統領令第575号
2023年1月1日以降のロシア軍総人員を203万9758人、うち軍人を115万628人とする
2023年度大統領令第915号
2023年12月1日以降のロシア軍総人員を220万9130人、うち軍人を132万人とする

 今回の大統領令はこれに次ぐものであり、軍人の数が150万人と開戦前のほぼ1.5倍になることが予定されている。2022年12月の国防省拡大幹部評議会でセルゲイ・ショイグ国防相(当時)が提起した軍事力増強計画に沿ったものと見られるが、ショイグ計画における増員の達成期限は2026年とされていたから、(少なくとも定員の設定は)1年以上前倒しとなった。これだけ急速な兵力増強が行われるのはソ連崩壊後初めてであり、ウクライナでの戦争が影響していることは明らかであろう。

 問題は、その実現可能性だ。この戦争が始まってからプーチン政権は動員を1回しか実施しておらず、それも国民の強い反発に遭遇している。この結果、プーチン政権は追加の動員を行わずに志願兵(契約軍人)を高給と引き換えにかき集めるという方法を採用してきた。その死傷率は極めて高く、また質的にも相当の問題があることが推測されるものの、とにかく大量の犠牲と引き換えに戦果を上げられればよいという考え方である。

 したがって、今回の定員増も同じようにして達成されると見るべきであろう。9月20日に「契約軍人によるロシア連邦軍の充足に関する省庁間国家安全保障会議附属委員会」が設置されたのも、志願兵の募集をさらに強化するための措置であると考えられる。

ロシア陸軍の再編続く

 兵力の増強は、当然のことながら部隊編制の拡大を伴う。今年3月には、師団14個と旅団16個の合計30個兵団と諸兵科連合軍2個を年内に設置するとの方針がショイグによって明らかにされていた。

 この方針に従い、8月には陸軍第1軍団が第51諸兵科連合軍に、同第2軍団が第3所兵科連合軍に改編された。このほか、既存の連合部隊(諸兵科連合軍及び軍団)の隷下にあった旅団が師団に改編されたり、師団・旅団が増設される動きが報じられている。

2025年度のロシア連邦予算案 国防費はさらに増大へ

『ブルームバーグ』が2025年度のロシア連邦予算案の概要を掴んだと報じている。これによると国防費は13兆2000億ルーブルと対前年度比で2兆4000億ルーブルの増加となった。連邦予算全体での比率は4割、対GDP比は6.2%に達する。このほかに国家親衛軍や国境警備隊といった準軍事部隊の予算を含めた公安・法執行予算は3兆5000億ルーブルほどとされているから、広義の軍事支出は15兆ルーブル以上に達するのではないかと思われる。

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