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第148号(2021年10月11日) ロシア軍の「北極艦隊」構想 ほか

【今週のニュース】北極艦隊を設立? ロシア軍で大規模人事異動

ロシア軍の新型ミサイル・ロケットの試験動向

 10月11日、軍需産業筋の談話としてTASS通信が報じたところによると、新型重ICBMサルマートの飛行試験が年内に2回予定されている。うち1回は11月中に実施予定であるという。
 サルマートについてはこれまでポップアップ試験(サイロからの射出までやるが、実際の軌道には投入しない)しか行われておらず、飛行試験の日程は伸び伸びとなっていた。飛行試験は2022年にも継続され、その後の国家試験を経て実戦配備が予定されている。
 また、11月には955A型SSBNクニャージ・オレグによるブラヴァーSLBMの発射試験も予定されている。クニャージ・オレグは955A型の2番艦であるが、北方艦隊配備となった1番艦クニャージ・ウラジーミルと異なり、太平洋艦隊への配備が予定されている。ブラヴァーの発射試験は同艦の国家試験の一環として実施されるとのことであるから、これに成功すればカムチャッカ半島のルィバチー基地へと回航され、1隻だけ残った667BDR型(デルタIII)SSBNリャザンを代替することになろう。

 これにより、太平洋艦隊のSSBNは当面、955型2隻、955A型1隻で構成されることになる。また、昨年3月の『赤い星』で太平洋艦隊潜水艦隊司令官のドミトリエフ中将が述べたところによると、太平洋艦隊は955A型3-4番艦のスヴォーロフ元帥とアレクサンドルIII世も受領するということであるから、2020年代後半には955型2隻プラス955A型3隻の5隻体制となるようだ。
 さらにスロヴィキン航空宇宙軍司令官がショイグ国防相に対して行った報告によると、2022年にはアンガラ打ち上げロケットの大型バージョンが2回、軽量バージョンがやはり2回打ち上げられる予定である。アンガラの開発もいい加減に長引いているが、この連続発射を経てから量産に移行するという。
 このほか、10月にはツィルコン極超音速対艦ミサイルの潜水艦からの発射試験が初めて実施された(NEW CLIPSのコーナーを参照)。

新型揚陸艦ミトロファン・モスカレンコは黒海艦隊へ配備
 TASS、2021年10月8日

 前号ではロシアのオホーツク海防衛戦略に関して、建造中の新型強襲揚陸艦がどこに配備されるのかに着目した。 しかし、その直後の報道によると、問題の23900型強襲揚陸艦の2番艦ミトロファン・モスカレンコは黒海艦隊配備となるようだ。他方、過去のニュースに当たり直してみると、1番艦イワン・ロゴフは太平洋艦隊に配備されるとエフメノフ太平洋艦隊司令官が今年5月に発言していた。

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