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第59号(2019年10月25日) ロシア軍のドローン対策


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【質問箱】ロシア軍のドローン対策

 このコーナーでは、読者の皆様からメールや質問箱にお寄せいただいた質問にお答えしていきます。

●質問
 おととい発売されたCoDというゲームの新作に、中東にてイスラム武装組織がC4を載っけた固定翼の小型ドローンを作戦に組み込んで、いわゆる“礼儀正しい人々”の基地を奪うという場面がありました。
 流石にハインドではないですが、ロシア正規軍(言っちゃった)のヘリもそいつで落としとりまして。
 ジャミングとかないのかなと思ったりしたんですが、現時点でそのような攻撃が会った場合に彼らはどのような方法で対処するのでしょうか?

●小泉より
 いやー、僕はゲームやらないんですよね。大学生の頃に現実逃避のために1日15時間「提督の決断IV」やってたのを除くと。
 なので CoDというゲームも知らなかったんですが、これはなかなかリアルな設定だと思います。より正確にいうと、実はご質問の状況に近い事態が最近、シリア駐留ロシア軍基地で発生しており、おそらくそれがゲームのシナリオに反映されたのではないかと思います。
 2018年4月18日の『フォーサイト』電子版でこの事件について扱ったことがあるので、その中から要点を抜粋してご紹介しましょう。

「さらに最近では、シリアのロシア軍基地もドローンによる攻撃の脅威を受けるようになってきた。
2017年12月31日、ロシア空軍主力が展開するシリア西部のフメイミム基地が反体制派武装勢力による迫撃砲とロケット砲の攻撃を受け、少なくとも2名の戦死者と航空機若干が被害を受けるという事態が発生したが、のちの報道によると、この当時、ドローンが基地周辺を飛行していたとされる。おそらくは武装勢力が遠距離から攻撃を行うためにドローンで基地の様子を観察し、砲兵観測に用いたのだろう。
 フメイミム基地にはこのような事態に備えてドローンの飛行を妨害する電子妨害システムが配備されていたが、航空機やヘリコプターが離着陸する際には邪魔にならないようシステムを作動させないことになっており、その隙を突かれたようだ」

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