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第66号(2019年12月23日) ゲラシモフ参謀総長と外国武官団の年末会見


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【インサイト】ゲラシモフ参謀総長と外国武官団との年末会見

 今月最初のメルマガ(第63号)ではロシア軍の訓練年度が12月1日から始まるという話をしましたが、公官庁としてのロシア国防省の予算年度はその他の政府機関と同様、1月1日に始まって12月31日で終わります。
 したがって12月は日本でいうところの年度末で結構忙しく、ロシアの役人は大晦日まで普通に働いてお正月からしばらく新年休暇。正教会のクリスマスも12月25日ではなく年明けの1月7日ですから、ロシア人はこの辺のイベントをひっくるめてノーヴィ・ゴート(新年)として祝います。
 というわけで年末には年度内の様々な総括が行われるのが通例なのですが、今回はその中でも重要なゲラシモフ参謀総長(兼第一国防次官)と外国武官団との会見を取り上げましょう。何かと閉鎖的とされるロシア軍ですが、外国の同僚たちにはある程度突っ込んだ情報を明かしており、私も外務省で専門分析員として勤務していた時代にはモスクワの武官が手に入れてきた年度末会見の資料を見て「こんなことまで教えてくれるのか」と驚いたりしていた(内容については守秘義務もあるのでここでは控えます)。
 また、この年度末会見の内容はある程度、公開されています。以下、12月17日に実施された会見の内容を国防省公式サイトから紹介してみたいと思います。なお、会見には日本を含む70ヶ国以上から約150人の武官が参加しました。

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