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第177号(2022年5月23日) 現地映像で読む択捉島駐留ロシア軍の現状 ロシア西部で軍事力強化 ほか

【NEW CLIPS】赤星チャンネルでサルマート重ICBM特集


【今週のニュース】ロシア西部での軍事力強化方針ほか

戦争に従事するウクライナ軍人は70万人 ゼレンシキー大統領

『ウクラインスカヤ・プラウダ』2022年5月21日
 ウクライナのゼレンシキー大統領は、現在、ウクライナ軍の総兵力が70万人に上っていることをウクライナのマスコミとの会見で明らかにした。
『ミリタリーバランス』2022年度版によると、開戦前の時点におけるウクライナ軍の総兵力は19万6000人(陸軍12万5600人、海軍1万5000人、空軍3万5000人、)空挺部隊2万人、特殊作戦軍1000人)で、このほかに準軍事部隊が10万2000人(国家親衛軍6万人、国境警備隊4万2000人)とされていた。単純計算すれば、これらに加えて40万人の民間人を予備役動員したということになろう。
 ロシア軍の侵攻兵力は15万人(これに加えて国家親衛軍や親露派武装勢力2-3万人)とされていたから、兵力にして3倍以上の差をつけられながら戦っていたということであり、攻勢が頓挫するのは当然であろう。逆に言えば、これだけの兵力差がありながら一時期にでも相当に広範な範囲を占拠できたのは、火力や航空戦力の優位、個々の兵器の性能差、練度等がそれなりのものであったとも考えられる。

西部戦略正面に新たな部隊配備 ショイグ国防相表明

『TASS』2022年5月20日
 5月20日、定例の国防省幹部評議会に出席したショイグ国防相は、西部戦略正面における米軍の爆撃機や艦艇の活動が活発化していることを指摘した上で、西部軍管区で年内に12個の軍事部隊及び小部隊を設置すると表明した。
 これが何を指すのかは明らかでないが、ロシア軍の区分では大きい方から連合部隊(軍管区、軍、艦隊等)、兵団(軍団、師団、旅団等)、軍事部隊(連隊、独立大隊等)、小部隊(大隊、中隊、小隊等)という区分が採用されているので、そう大きな兵力を指すわけではないのだろう。文脈からすると、おそらくは防空部隊や対艦ミサイル部隊などを念頭に置いたものと思われる。
 ショイグはまた、近い将来に戦略無人航空機(UAV)の配備がロシア軍で始まると述べたほか、2030年までに海軍及び航空宇宙軍に中距離・長距離UAV複合体を配備するための計画案を幹部評議会で検討するとも述べた

2022年中に配備される太平洋艦隊の新型艦艇

『TASS』2022年5月20日 
 ロシア海軍太平洋艦隊のセルゲイ・アヴァキャンツ司令官は、2022年中に同艦隊に配備予定の艦艇について『赤い星』のインタビューで明らかにした(ただし、『赤い星』は現在、外国のIPをブロックしていて閲覧不能であるため、TASS通信の転載された内容をここではもとにする)。アヴァキャンツ司令官によれば、年内の配備予定は次のとおりである。

・955A型弾道ミサイル原潜(SSBN)クニャージ・オレグ
・885M型多用途原潜ノヴォシビルスク
・636.3型通常動力潜水艦マガダン
・20380型コルヴェット リェーズキー
・12700型掃海艇ピョートル・イリイチェフ及びアナトリー・シュレモフ

新型偵察衛星の打ち上げに失敗

『TASS』2022年5月19日 
 国営TASS通信は、4月に打ち上げられた新型偵察衛星が軌道投入後にコントロールを失い、大気圏に突入したらしいと報じた。問題の衛星(コスモス2555)は4月25日にアンガラ1.2打ち上げロケットで軌道投入されており、新型偵察衛星EMKAの試験用2号機だったとみられている。

ウクライナに新型レーザー兵器を投入?

『RBK』2022年5月18日
 軍需産業を統括するボリソフ副首相は、ロシア軍がウクライナで新型レーザー兵器ザディラを投入していると明らかにした(18日に出演したテレビ番組での発言)。
 ボリソフによると、ザディラの特徴は以下のとおりである。

・既存のレーザー兵器ペレスウェートがターゲットのセンサーを盲目化する兵器であるのに対し、ザディラはターゲットとなるUAVを炎上させることができる
・したがって、パンツィリやトールのような高価な防空システムを用いずして対UAV戦を展開可能である
・最大5kmの距離からあらゆるクラスのUAVを破壊できる
・ザディラの開発は進行中であり、試作品がすでにウクライナで実戦投入されている
・開発は2017年8月に始まり、ロシア連邦核センターが担当している

【インサイト】現地映像で読む択捉島駐留ロシア軍の現状

戦勝記念日を祝う択捉島

 少し前のことになりますが、5月9日の対独戦勝記念日にあわせて北方領土の択捉島でも戦勝記念式典と軍事パレードが行われました。ロシアのジャーナリストが撮影した当日の映像をテレビ朝日が入手し、私もインタビューを受けがてら見せてもらったので、今回はこの映像を中心に北方領土駐留ロシア軍について考えてみましょう。
 なお、現時点では番組で使用された断片的な映像だけが以下のページで公開されていますが、いずれ全編(30分くらいあります)公開したいとのことです。

 この映像を見ると、まず択捉島の中心地・沙那(クリリスク)から少し離れた場所にある戦没者記念碑での献花式典、そこから沙那までの「不滅の連隊」行進、そして海岸の公民館(最近建てられた非常に立派なもの。私も2018年に訪れました)の駐車場で軍人たちによる徒歩行進がという順番だったようです。なお、その模様は現地メディア『サハリン・インフォ』の以下の記事でも報告されています。

北方領土駐留ロシア軍司令官の交代

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